鍋でジュースを煮詰めて、鍋底にたまった砂糖の量に驚愕する写真や動画がネットで話題になった。真っ茶色に変色した想像を超える物体に、誰もが手に持ったペットボトルを強く握りしめたはずだ。
日本はこれから本格的に梅雨を迎える。降りしきる雨に四季の彩りを感じるところだが、もしその雨に何か別のものが溶け込んでいたら、どうしよう? 空から落ちてくる水滴を鍋で煮詰めたら、どうなるのだろう?
そこで筆者はバケツを買い、雨をかき集めて実験を始めた。
※先に申し上げておくが、この実験はやらないことをオススメする。アホな筆者だから安易にやってしまった。真似しないように。
・本物の天然水とそん色ない採れたての雨水
6月10日、東京は朝から本降りだった。さっそく道端にバケツを置かせてもらい、雨を採集することに。
それから数時間後、バケツを確認すると……
おっ、けっこうたまっているぞ~。けれども土などの不純物も底にたまっている。そこで場所を変えて、今度は一晩待ってみた。
翌11日、午後になってバケツを確認すると、半分くらいたまっている。欲張っても仕方ないので、ここでバケツを回収することに。家に持ち帰って、空のペットボトルに雨水を入れてみると……
案外キレイだ。まさしく採れたての天然水(※飲めません)。
本物の天然水と並べてみても透明度にそん色はない(※飲めません)。うっかり飲んでしまいそうだ(※飲めません)。
うーん……。冒頭の「もしその雨に何か別のものが溶け込んでいたら、どうしよう?」というのは考えすぎだったか?
でもせっかく集めたし、とにかく煮詰めてみよう。
どうみても真水にしか見えない。そこでちょっとなめてみた。
無味無臭だが……なんだろう……子どもの頃に川遊びしたときを思い出す。なんと表現すべきか……ざらつく風味?
破たんした日本語だが、とにかく川の水をごくっと飲んだ感じ。ほんのり苦い気がする、ように感じる、ような気がする。うん、わからんから火を点けよう。
・まさかちょっとだけ体調が悪くなりました
火にかけてものの数分、雨水が沸騰した。なんだか袋ラーメンを投入したいですなぁ。グツグツ沸騰するお湯の音に癒される。
さらに数分後、確実に水の量が減ってきた。風呂の鏡も曇る。
ここで体の異変に気がついた。無味無臭なので何も心配していなかったが、少しだけ鼻の奥がツーンとする。
いよいよ完全に蒸発する頃になると、目も若干ピリピリした。二酸化硫黄(SO2)や窒素酸化物(NOx)などの酸性物質が溶けた「酸性雨」のせいか? うーん……筆者は専門家じゃないのでわからん。
すべての確証がないまま、雨は完全に干上がった。鍋底を確認すると……
そりゃそうだ、なにもない。
鍋の底を指でなぞると、バケツの底にたまっていた土などの不純物がザラついた。
・結論
雨水を煮詰めても何も出てこない。「ジュースに溶け込んだ大量の砂糖」なんて驚愕はまったくなかった。しかし……少々の酸っぱさに体が反応した……気がする……ように感じた。
東京をはじめとする都会は、排気ガスなどで基本的に大気が汚れている。その影響でたぶん鼻の奥が少しツーンとしたのだと思う。たぶん。もし自然が豊かな場所で同じことをしたら、また違った結果になったかもしれない。
東京は人の心だけでなく、お空も少し汚れているのかもな~。ティッシュで鼻をチーンとかみながら、そんなことを感じました。読者のみなさんは、決して都会の水を集めて煮詰めるなんてマネをしないように。
参考リンク:気象庁
Report:いのうえゆきひろ
Photo:Rocketnews24.
▼ここからはまったくどうでもいい余談。実は筆者、当初はこのバケツで雨水を集めようとした。
▼しかし、実際に記事で使ったのはこちら。ん? 何? 「バケツの色が違う」って? いいところに気がついた。
▼筆者がマンションの横の敷地にバケツを設置して数時間後。様子を見に行くと……ないやんけ!!!
▼慌てて管理会社に問い合わせると、「バケツ? 知らないですね」との返答が。えぇ~……まさかバケツ盗まれたん?
▼どこ行ったんだろうか……。