人間とは不思議なもので、大トロばかり食べていると飽きてくる生き物だ。あっさりした赤身だけを食べたくなることもある。ロッテの「パイの実」で言えば、「たまにはサクサクのパイ生地の部分だけを堪能してみたい」なんて願望を抱いたことのある人もいるはずだ。

急に「パイの実」の話をぶっ込んだのには理由がある。さる5月7日、ロッテが「パイの実」の40周年を記念して、史上初の「チョコの入っていないパイの実」、その名も「おおきなパイのみ」を発売したのだ。一体どんな見た目と味なのか。実物を入手したのでご覧いただきたい。

・レア感がすごい

オンラインショップ限定かつ数量限定の「おおきなパイのみ」、お値段は8個入りで864円だ。

40周年記念ということもあってレアな商品なのだが、いつもの「パイの実」とは様子が違うパッケージからもレア具合がひしひしと伝わってくる。

通常の「パイの実」だと「こんがり香ばしいパイ、実りました」となっている宣伝文が、「おおきなパイのみ」だと「こんがり香ばしいパイ “だけ” 実っちゃいました!」というさわやかな異常事態宣言に変わっており……

普段のパッケージでは朗らかに笑っているリスが、「パイのみ」になると「あれ? チョコが消えた!?」と少なからぬ動揺に見舞われている。リスには申し訳ないが、こちらとしてはワクワクしかしない。

チョコを含んでいないがゆえに「パイのみ」であるこの商品、忘れてはならないのが「おおきな」という形容も冠している点だ。

普通の「パイの実」と箱のサイズを比べてみれば、その差は歴然。「おおきなパイのみ」の方が名前を裏切らず数段ジャンボ

期待の大型パッケージを裏返すと、「おおきなパイのみ」を使ったさまざまなアレンジレシピが書いてある……が、アレンジの前に、ひとまずは食べてみないと始まらない。というか早く中身が見たい。食べたい。


・食感がすごい

そんなわけで、ウキウキ実食タイムに移るとしよう。

通常とは異なり、「おおきなパイのみ」は個別包装になっており……

お目見えしたパイは、パッケージのサイズそのままに1つ1つがボリューミー。8個入りとだけ聞くと少ない感じもしたが、このサイズなら十分だろう。

普通の「パイの実」よりも二回りくらい大きいものの、形はなんとまぁそっくり。まるで親パイと子パイだ。

さて、気になるお味の方はどうか。大きなパイに一口かぶりついてみると……何だこれ! サクサク感がすっっっごい!!

そしてマジでチョコが入っていない! 疑っていたわけではないが、見ていて不思議な気持ちになる。しかしそんなのどうでもよくなるくらいに……サクサク感がすっっっごい。

良質なクロワッサンを食べているかのような味わいだ。普通の「パイの実」よりもパイの層自体が広いし、チョコにさえぎられない分、純粋なパイの味を存分に楽しめる。歯がパイ生地のみを小気味よく突き破っていく食感は、「おおきなパイのみ」ならではと言えよう。

チョコがないことが全くマイナスに働いていないどころか、むしろそれが「パイの実」を越えるサクサク感につながっている。良い意味でまるで別物だ。これはとんでもなく画期的な商品なのでは……?

こうなるとアレンジレシピの方も気になってくる。このプレーンでいて奥深い味わいには、無限の可能性が秘められている気がしてならない。


・アレンジしてもすごい

「おおきなパイのみ」のパッケージ裏には、クリームシチューやおはぎ風などの和洋を問わないアレンジが書いてあったが……

今回は比較的用意しやすそうな、オリーブオイルと塩をかけるレシピたこ焼き風のレシピの2種類にチャレンジ。

まずは前者を実食。オリーブオイルも塩も、「おおきなパイのみ」の素朴な風味をほどよく華やげてくれそうで、食べる前から美味しいだろうなと予想しつつほおばる。

いや、うんんんんまっ……!! 美味しいどころではない。うんんんんまっ……!! 

味を例えるなら、塩味で仕上げたラスクに近いだろうか。食感はもちろんラスクより軽く、けれどオリーブオイルのおかげでしっかり洋風で……ほっぺたがボトボト落ちるような美味しさだ。

興奮冷めやらぬまま、今度はソースとマヨネーズ、青のりをふりかけて、たこ焼き風のアレンジに。こちらは調味料やトッピングの主張が強い分、どんな味になるか未知数だが……

うん、美味しい。元の味があっさりめなので、ちゃんとたこ焼き風になっている。先ほどのオリーブオイル&塩の衝撃には負けるが、こちらも十分美味しい。

そして、なんだか食べていて楽しい。サクサクのたこ焼きというのが新しすぎて、笑いながら軽食感覚でパクパクいけてしまう。味が濃いものを食べたい時はこちらの方がおすすめだ。すごいぞ、アレンジの幅が広すぎるぞ「おおきなパイのみ」。

ちなみに、普通の「パイの実」も同様にたこ焼き風アレンジにしてみたところ、チョコとソースがバッチバチにケンカし合って極めて微妙な味だった。やはりチョコがないというのは大きな差であり、「おおきなパイのみ」は「パイの実」とは別物と言っていい。


・限定なのがもったいない

そのまま食べてもとんでもない美味しさだったが、アレンジを経てさらなる可能性を見せてくれた「おおきなパイのみ」。長年愛されてきた定番のお菓子であっても、1つ要素が変わるだけで味も全く変わる。お菓子の世界の深さとロッテの商売センスには驚かされるばかりだ。

「おおきなパイのみ」は数量限定だが、2019年5月13日現在はまだ購入できるもよう。しかし売り切れてしまった場合は再販を願うしかない。多くの人が味わうべき美味しさだと思うので、チャンスが訪れた際には、皆さんにもぜひ実物を食べてもらいたい。

参照元:ロッテ オンラインショップ
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.