スシロー、くら寿司などなど、高コスパな回転寿司チェーン。寿司だけに限らず、ラーメン、スイーツ、コーヒーなども揃える充実のラインナップは、食のアミューズメントパークと化している。

私(中澤)は、そんなチェーンに行けば大満足になるわけだが、マニアいわく「スシローの後には必ず『京樽』に行く」という。マニアが回転寿司からお持ち帰り寿司へハシゴする理由とは? 聞いてみたところブチギレられたでござる

・デザートとしてのバッテラ

今回話を伺ったのは、自称くら寿司マスターの30代会社員男性・鮮魚久良々(せんぎょくらら)さん。10年以上、なおかつ週1回以上のペースでくら寿司やスシローに通う回転寿司マニアである。

先日、そんな鮮魚さんとスシローに行ったところ、食べ終わって店を出た直後にお持ち帰り寿司の『京樽』へ。さっき寿司食べたばっかりやないか

鮮魚久良々「これはデザートです」

──そう言って鮮魚さんが購入したのはサバの押し寿司。普通に寿司である。なんでスシローで買わなかったんですか?

鮮魚久良々「よくぞ聞いてくれました。実はそこがスシローやくら寿司に物申したいポイントなのですよ」

──と言うと?

鮮魚久良々「今私が購入したのはバッテラ(税込530円)です。サバの押し寿司に白板昆布を乗せたものですね。昆布の甘みとサバの風味がハーモニーを奏でる大阪を代表する寿司です」

──鮮魚さん大阪出身ですもんね。

・ブチギレ

鮮魚久良々「はい。バッテラは子供の頃からの大好物です。にもかかわらず、スシローやくら寿司には売ってない! 本社大阪なのに!! ちょっとは元禄寿司を見習え!」

──あっ! 確かはま寿司にサバの押し寿司ありましたよ。

鮮魚久良々「はま寿司の場合ネタが厚すぎます。通常の寿司なら喜ぶべきところですが、バッテラの場合、あれだけ身が厚いと白板昆布の風味がサバに負けてしまうんですよね。

個人的には、あくまでバッテラは風味を味わうもの。ネタの迫力や食べ応え以上に、サバと酢飯と昆布の甘みが奏でるハーモニーの美しさが重要です。良いバッテラは頬張った瞬間この3つの味が融合したように溶け合うんです。その三位一体の瞬間は、私の知るバッテラ好きたちの間で『奇跡のトリニティ・ランデブータイム』と呼ばれているんですよ」

──知らんがな

鮮魚久良々「そういう意味でも、『京樽』のバッテラは上品なワルツを踊っていると言えるでしょう。しかも、東京に店舗が多い。比較的どこにでもある。私のようなバッテラ難民にとって救世主的存在です」


──とのことだった。まさか『京樽』にバッテラ需要があるとは知らなかったが、確かに、東京の寿司屋でバッテラはあまり見かけない。鮮魚さんと同様大阪出身の私も懐かしくなったためバッテラを購入してみた。

ところで、『京樽』でバッテラ以外にもう1つサバの押し寿司を見かけた。「鯖押鮨(税込648円)」である。

その肉厚具合に惹かれてこちらも購入したが、食べ比べてみたところ、鮮魚さんの言っている意味が分かった気がした。サバの味が前面に出てくる。

ハーモニーを味わうか、サバ自体を味わうか。それは好みの問題だが、どちら用のサバ寿司も購入できる京樽は、まさにバッテラ難民約束の地。回転寿司からのハシゴも仕方ないのかもしれない。

Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼白板昆布が重要

▼ハーモニーのバッテラと、サバ自体を味わう鯖押鮨

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