日本の「笑いの殿堂」といえば、なんばグランド花月(通称:NGK)である。よしもとクリエイティブ・エージェンシーが運営する笑いの劇場だ。そのNGKに、なんと安倍晋三首相が足を運んだらしい! 詳しいことは知らないけど、吉本新喜劇に現れたとかいうニュースが報じられた。
マジかよ! 首相も爆笑したのか!? これは行ってみるとしかない! ということで、たまたま大阪にいた私(佐藤)は、人生で初めて新喜劇を観に行ってきたぞ!
・1度も行ったことがなかった
中国地方(島根県)出身の私にとって、大阪は割と馴染みが深い。島根から都会に移住するとなると、広島か大阪が一般的で、卒業後すぐに東京に出る人はそこまで多くない。現在は付き合いの古い親友が住んでいることもあって、年に1回程度、大阪を訪ねる機会がある。
とは言っても、大阪の事情に明るい訳ではなく、大阪を代表する名所の1つ、NGKにも1度も行ったことがなかった。そんななかで安倍首相が行ったと知り、この機会に行くしかないと思った次第だ。
・強力なラインナップ
私が訪ねたのは、安倍首相が訪ねた翌日の日曜日。チケットはソールドアウトしているのかと思ったら、幸い立ち見で入れると判明。ちなみにこの日の出演者は、パンクブーブー、ヒューマン中村、ハイヒール、中田カウス、テンダラー、月亭八方、宮川大助・花子。そして吉本新喜劇である。めちゃくちゃコッテリとしたラインナップやないかい!
・これぞ「芸」
ホールの入り口には、この日、出演の “お歴々” の等身大パネルが! これだけでも圧巻である。大阪お笑い界のアベンジャーズといっても過言ではないだろう。
ホールに入ると、まさに宮川大助・花子師匠の漫才の真っ最中。客席から「ドッ!」という笑いが連発。間の取り方や、客さばきの上手さ。そして、途切れることなく繰り出される言葉の数々は、まさに芸術的といっていい。これぞ「芸」である。
さっき始まったと思ったら、20分の出番はアッという間に終わり。師匠2人の軽妙なトークで笑いの世界に導かれ、時が経つのを完全に忘れてしまった。
約10分の休憩の後に、ついに来た! 人生で初めて観る吉本新喜劇。私の郷里では、公演を収録した内容を日曜日の昼間に放送していた。懐かしさに浸っていると、あのテーマ曲『Somebody Stole My Gal』が流れ出した!
ホンワカパッパ♪ ホンワカホンワカホンワカホンワカホ♪
この曲を劇場で聞く日が来るなんて! 小学校の頃に土曜の昼飯がチキンラーメンでも、新喜劇をテレビで見られたら、それで結構機嫌よく過ごせたもんだよ。母親が昼飯の手を抜いたことの怒りを、笑いで抑えることができたもんだ。
私の心はこの瞬間に小学生に戻っていた。すると幕が上がり、その向こうには大邸宅を模したセットが。そこからの45分間は、やはりアッという間だった。
笑いもさることながら、ほっこりと心温まるエピソードが織り込まれているのが、新喜劇の特徴のひとつ。最後には「ええもん観た」、そう思わせてくれるからこそ、ここまで長きにわたって、大阪の人だけでなく全国各地から観光客が足を運んでいるのだろう。
今回は立ち見だったとはいえ、3000円で観られるなんて。
・笑いに行った訳じゃなかったのか……
なお、安倍首相はNGKへ観劇に行った訳ではなかった。2019年6月に行われる「G20」への協力の呼びかけで、新喜劇に出演したとのことである。てっきり笑いを求めてNGKに行ったのかと思ってしまった……。いずれにしても、さすが笑いの殿堂、NGKのすごさを知ることができて良かった。