今月10日から大相撲春場所が大阪市の『エディオンアリーナ大阪』で開催される。普段は両国近辺に住んでいるお相撲さんたちが、場所の2週間前くらいからその地方に移動して宿舎生活をしていることを知らない人も意外と多いのではないだろうか。その期間に力士たちは稽古しつつ地元の人と交流したり、イベントに出演してPRしたりと忙しく過ごしているのだ。
3月3日、梅田にある巨大な商業施設『グランフロント大阪』で『春がキタ! うめきた場所 in グランフロント大阪 2019』と題したイベントが行われた。
大阪出身の大関・豪栄道をはじめ御嶽海、妙義龍、錦木、阿武咲、琴奨菊、佐田の海、嘉風、友風、琴恵光といった人気力士がタダで見られるとあって、会場には約5500人が詰めかけ大盛況である。
・見どころを凝縮した感じ
この1日だけのために立派な土俵が特設されており、つい「いくらかかったんだろう」と無粋な計算をしてしまった。
イベントはじゃんけん大会から始まり……
相撲甚句(じんく)に……
髪結い実演とつづき……
なんと初っ切り(しょっきり)まで!
初っ切りとは相撲の反則技を面白く実演する見せ物で、さながらお相撲さん演じるコントのようなもの。力士同士がケンカし始めるお決まりの展開に、分かっちゃいるけど笑ってしまう。巡業などの目玉として行われているので、これは本当に皆さん一度は見てほしいと思う。
決まり手実演でお腹いっぱいになったところで、お待ちかねの関取登場だ。
この日のイベントは本来巡業で丸1日かけて行う流れを、なんとか2時間にギュッと凝縮した内容だった。そのため、初めて相撲を見る人は短時間で「いいとこどり」ができたのではないかと思う。
逆に相撲ファンにとっては「このタイミングで歌うはずのない歌」や「たたくはずのない太鼓」が聞けたので、珍しいもんが見られてラッキー! という感じだったのではないだろうか。
・角界一丸となって場所を盛り上げる
力士は関取になると大銀杏(おおいちょう)という、マゲの先を広げたおなじみの髪型を結って取組みを行うので、この日のように普通のチョンマゲ姿で戦う姿が見られたのはレアであった。関西出身の豪栄道や妙義龍が登場するとひときわ大きな歓声が上がる。
昨年22歳の若さで初優勝を果たした貴景勝はご当地の兵庫県出身なので、「貴景勝は来ないのかしら?」と期待する声が客席のあちこちから聞こえてきた。調べてみるとちょうどこの日、貴景勝は別の場所で化粧廻しの贈呈式に出席していたもよう。場所中の関取はとっても忙しいのだ。
2時間という枠の中で関取衆の登場時間はほんの30分ほど。残りの時間を甚句や初っ切りで盛り上げたのは、実は全員同じ佐渡ヶ嶽部屋に所属する幕下以下の力士の方々であった。息の合ったパフォーマンスをするにはかなりの練習時間を要するため、おそらく宿舎で相談を重ねてきたのだろう。
多くの客が関取を目当てに来場する裏で、若いお相撲さんたちが頑張っているのを想像するとジーンとくる。どの業界でもこのようにして「推し」は誕生するものだ。佐渡ヶ嶽部屋の皆さんが関取に昇進する日がきたら、私はこの日を思い出して泣いちゃうかもしれない。
・大相撲は今……
私が狂ったように大相撲に熱中していた7年前頃は相撲人気が下火で、好きだというと周囲に驚かれたものである。単純に相撲に興味がないのなら仕方ないのだが、あの頃「昔は見ていたが今は見ない」と公言する人がかなりの数いた覚えがある。その人たちの言いぶんを要約すると「モンゴル人ばかりが強いから」という理由が大半を占めていたように思う。
モンゴル人力士だって葛藤しながら頑張っているという話は、好みの問題なのでここでは省く。2016年まで10年間日本人力士は幕内優勝できなかったので、相撲ファンのテンションが下がっていたのも事実だ。しかし日本人が普通に優勝するようになった今、あの頃の嘆きの声ほどには、喜びの声が聞こえない気がするのはどういうわけだろうか。
相撲ファンになりたての頃「期待の若手」と言われていた力士たちがいつのまにか「ベテラン」と呼ばれる年代になり、かくいう私も「最近の相撲よく分からない」と以前より興味が薄れた時期もあった。
しかし紆余曲折あって、現在は自分より10も年下の若手力士に夢中である。稀勢の里は引退しちゃったが、今場所にでも優勝しそうな若手がゴロゴロしている。今場所返り入幕を果たした豊ノ島も35歳でまだまだ頑張っている。一度離れたオールドファンも、今こそ戻ってくるときだ。見ちゃえば大相撲は、やっぱり面白い。
ただし今場所のチケットは15日間全日完売しているので、ひとまずは中継でガマンだ!
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
▼22歳の阿武咲と35歳の琴奨菊
▼境川部屋コンビの人気は根強い
▼施設内に特設されたちゃんこ屋台に長蛇の列が
▼佐渡ヶ嶽部屋の直伝ちゃんこ(500円)つみれがおいしすぎて材料が知りたい……
亀沢郁奈
























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