喫煙……それは筆者にとって非常に縁のある行為。筆者の周りは常にタバコに溢れていたし、そういうめぐり合わせなのではないかというレベルでタバコにまみれた人生を送ってきた。いや、正確には喫煙者にあふれており、筆者がまみれているのはあくまで副流煙。筆者自身に喫煙の習慣はなく、30年来の筋金入りな非喫煙者である。
ここまできたら、死ぬまで喫煙者になることは無いだろう。そんな筆者だが、先日タバコみたいな煙を吸うエナドリがあるとの情報を小耳に挟んだ。タバコに興味は無いし、ニコチンにも飢えていない。しかしエナドリは気になるしカフェインには飢えている……ということで好奇心を優先させて吸ってみたぞ!
・カフェインミストサプリ
吸うエナドリとは『EAGLE ENERGY』という製品。ネットサーフィンをしていたらたまたま見つけたもので、どうやら世界初の吸引型エナジードリンクらしい。とりあえずAmazonにて、エナジードリンク味を1580円で購入。
1本だけ買ったのだが、なかなかイイ感じの箱に入っていた。もっとチープな感じで、適当にフィルムとかでパックされてるだけかと思っていたが予想外である。そして、箱には英語で18歳以上が対象であることや、妊婦や授乳中の女性は避けるべきとの表記が。
中身を取り出してみると、今度は日本語で説明が書かれていた。どうやらこのタバコ的なシロモノ、カフェインミストサプリというのが正式な呼び方らしい。だいたい英語で書かれていたことと同じような注意書きが日本語で記されている。
さて、どうやって吸うのか……と思ったら、どうやらこれも本体ではなく、ケースだったようす。なかなか厳重な梱包だ。小さい子供がわけもわからず吸ったりしないようにだろうか? 赤いプラスチック製のキャップを引き抜いていよいよ本体とご対面。
外箱にはLEDが光るとかなんとか書いてあったし、電源を入れたりする必要があるのだろうか? どうすればいいのかさっぱりわからんのでググってみると、どうやら穴の開いている方から吸えばいいらしいことが判明。スイッチも無しに光るとか……小さいくせになかなかハイテクじゃないか。
よしよし、それでは吸ってみよう。と思ったのだが……ここで問題が!
この家、禁煙じゃん(^q^)
・どこで吸えばいいかわからない
ご存知の通り、禁煙とはタバコを吸う行為を禁じる言葉。今筆者の手元にあるのモノは、限りなく見た目も仕組みも加熱式タバコに近い。しかしタバコではないし、ナス科に属する植物的な意味でのタバコとも縁遠いもの。
それでも煙は出るようだし……と、ここで在米時に見かけた、禁煙な路上で何やらタバコのようなものを吹かしている兄ちゃんと、右手にドーナツ、左手にスタバを装備して歩いてきたポリスのやり取りを思い出した。
ポリス「Hey(ドーナツをかじりつつ)ここは禁煙エリアだぜ」
兄ちゃん「YOブラザー、安心しな、こいつはタバコじゃねぇ」
ポリス「WHAT? ……オーケー、もうちょっと隠れて吸いな」
兄ちゃん「オーケーブラザー」
今からおよそ10年ほど前の当時、兄ちゃんが何を吸っていて、ポリスにとって何がオーケーだったのかは永遠の謎である。しかしあのドーナツポリスと兄ちゃん的には、タバコでないかぎり禁煙エリアでもオーケーな可能性があるということだ。確かに禁煙の家で魚を焼いてタバコどころではない量の煙を出していても、やはりタバコではないので怒られない。
他にも気になる点はある。この吸うエナドリが、電子タバコや加熱式タバコみたいに臭いが出るのかわからないのだ。非喫煙者の筆者的には、電子だろうが加熱だろうがその臭いは普通のタバコと同じくらいに強烈。部屋とか布団に臭いがつくリスクは避けたいところ。
仕方が無いのでどこか喫煙所にでも……と思ったが、場所に心当たりが無い。喫煙者からすれば「そんなの幾らでもあるだろ」となりそうだが、喫煙の習慣が無い者にとって喫煙所など全く記憶に残らないものだ。
非喫煙者のまま行動範囲内の喫煙所の場所を覚えるのと、古代ギリシャ語を1から学ぶことのどちらが楽かとなれば、恐らく後者だろう。それほど非喫煙者的に喫煙所は意識と興味の範囲外である。とりあえずその日はあきらめて、出かけた先で喫煙所を見つけたらそこで試すことにした。
・喫煙所デビュー
そのまま数日が経過したある日、近所のショッピングモールでトイレを利用したときにトイレのそばで喫煙所を発見。このショッピングモールにはよく来るしトイレも何度か利用しているが、全く気づかなかった……! なんかスタッフ用の入っちゃいけない場所とかだと思っていた。
幸い『EAGLE ENERGY』は鞄に入れっぱなしである。ここまで思っていたより、文字数的にも実際の日数的にも長かった気がする。非喫煙者にとって喫煙のハードルは、たとえ吸う煙がタバコ由来のものでなくとも結構高いことを思い知ったが、いよいよその時はやってきたようだ。
喫煙者が多い場所で簡易的に喫煙所に割り当てられたベランダなどに入ったことはあるが、しっかりと専用に備え付けられた喫煙所に入るのは生まれて初めてな気がする。そうか、ついに喫煙所デビューか……。言うほどの感慨は特に無いまま筆者は中に入った。
クサッ! たばこクサッ!!!
換気とかは全力で行われているはずだが、臭いものは臭い。あと空気がイガイガする。めっちゃ呼吸器官全般にダメージを与えそうな感じだ。しかしこの汚染レベルなら、こちらも心置きなく煙を蔓延させることができるというもの。また強めの臭いとかが出ても害は少ない気がする。
少し緊張したが、封印されたままだった『EAGLE ENERGY』を取り出し……吸った!
えっヤバ! すっごい煙出てる。
あとめちゃくちゃ光る。
光るのはおいといて、煙ってタバコもこんなものだっけ? 喫煙所には筆者しかいないので、他の喫煙者の様子からふつうの煙の量と見比べることが出来ないのが残念だ。吐き出した煙は当然目に近いため、普段外から見て想像していた煙の量と比較して大量に見えているだけな可能性もあるが、とにかく煙の量が印象的。
・エナドリ感はある
肝心の味については、エナドリの味が確かにする。喫煙者がタバコの味がどうとか言っているのを耳にするたび「煙に味もクソもねぇだろ味覚死んでんじゃねーのか?」などと思っていた。
間違っていたのは筆者の方だったようだ。マジでエナドリ味の煙である。モンスターやレッドブルの缶を開けた瞬間に飲み口からフワッと香る、あのエナドリ感あるエアーを想像して頂ければだいたいあっていると思う。また、タバコの副流煙は吸い込むと咳き込むのに対して、『EAGLE ENERGY』の煙は肺まで吸い込んでも咳き込むことは無かった。
カフェインミストということだし、たぶんこの煙は水蒸気なのだろう。灰などが含まれているであろうタバコの煙とは、根本的にモノが違う気がする。とはいえ、そもそも空気以外を積極的に吸い込む習慣の無い筆者的には、ささやかながら肺の辺りに違和感を感じる。かなりささやかな違和感なので、精神的な問題かもしれない。
また、臭いに関してはエナドリ的なにおいこそするが、加熱式タバコや従来のタバコほど強烈ではないし、しつこく臭いが付きまとうことも無い……と思う。あくまで主観なのでこの辺は参考程度に。
・効果はよくわからない
先述の通り風味的な意味でエナジー感はあるものの、カフェインやガラナの効果……あるいはエナジーチャージ力については正直よくわからない。気体を吸うだけなので、ドリンクと違い胃袋的な意味での摂取感が無いのも、感じ方に影響を与えている気がする。プラシーボ的なアレだ。
ちなみに、本記事を執筆するにあたって編集長(GO羽鳥)に相談したところ、なんと彼も数年前にエナジー感を期待して吸ったことがあったそう。さすがは初代エナジーマンである。そんな彼の感想はこんな感じ。
GO羽鳥「私が吸ってみた感想は……ちょっとよくわからなかったです(笑) 味がエナジーなだけなんじゃないか疑惑というか……。」
・吸いすぎに注意!
最後に一つ、めちゃくちゃ危険なのでやってはならないことが一つあるのでお伝えしよう。それは……
吸いすぎに注意!
これはカフェインがどうとか、エナジーがどうとかそういう意味ではない。筆者、記事のためフレーバーや、肺の違和感の度合いなどを確かめようと、短い時間でかなり長いこと吸いまくっていた。20分くらいにわたり、ひたすらスパスパやっていたのである。
そうしていると、ある瞬間から出てくる煙が超高温に! 軽く舌をやけどしてしまった。そういえばケースにも、15秒以上の点灯で熱を帯びるとか、やけどがどうとか書かれていた。ケースの記載は故障についてのものだが、吸いまくってひたすら稼動させ続ければ行き着く結果は同じようなもの。
これは仕組みが似ている加熱式タバコとかでも同じようなものなのだろうか? もしかして喫煙者的にはあるあるネタだったり? この手の商品を試そうという非喫煙者はそんなにいないと思うが、タバコ経験値が限りなくゼロな筆者としては全く未知のアクシデントだった。
まあやけどといっても、せいぜいアツアツのおでんを口に入れてしまったとき程度のもの。ぶっちゃけたいしたことは無いが、危険であることに変わりは無いので興味を持って試してみようという方は気をつけて欲しい。
ところでふと気になったのだが、喫煙者の方はこの手のドリンク系のタバコっぽいものにシフトして禁煙とかできたりしないのだろうか? 見た目的にも、行為的にもタバコと大体同じような気がする。こういうヤツを吸って気分を紛らせながらニコチン抜きしつつ、最終的に脱喫煙……みたいなのって喫煙者目線だとどうなんです?
参照元:EAGLE ENERGY
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.