11月。早いもので2018年も残すところ約2カ月をきった。ちょっと早いが、今年を振り返ってみると、私生活で一番変わったことは彼女と同棲を始めたことかもしれない。ネットでの彼女募集で出会った子安辺美々さん(仮名)である。
出会ったのも今年である美々さん。初めて同棲をする私(中澤)にとって、同棲生活そのものが衝撃の連続なのだが、この度、美々さんのオカン(お母さん)に挨拶することになった。だがしかし、私は現役バンドマンでネット記者の上、植毛手術中である。これ、大丈夫なんだろうか?
・不安要素1:ネット記者
親ならば、当然娘の彼氏にはまともな職業を求めるだろう。そんな中、ネットメディアの記者なんて、怪しいこと山の如しなのではないだろうか。私の両親も、事あるごとに「大丈夫か? その仕事……」と聞いてくるし。
・不安要素2:植毛中
なおかつ、私は植毛中である。こういう仕事をしていて特に痛感するのが、外見は思いっきり人間のイメージを左右するということ。デコに植毛跡の残るハゲ状態は普通ではない。シンプルに「キモすぎて無理」と思われないかが心配だ……。ここだけの話、職務質問をされたことも1度や2度ではない。
・会うしかない
さらに言うと、私は36才にしてバンドマンである。ただでさえ、これまで彼女の親に好かれたことがないのにハンデがヤバイ。これもはや役満だろ……。
とは言え、今更あがいてもどうしようもないのも事実である。ファーストコンタクトで嫌われるなら、何度も会って徐々に慣らしていくしかない。そういう気持ちで挑むことにした。
予約したのは、浅草の『うな鐵(てつ)』のランチ。オカンはどうやら鰻が食べたいらしいという美々さん情報と、静かに話せるところというのを考慮し、テーブル席が事前予約可能だったこの店に決めた。
服はスーツにすべきだろうか? うちの親は美々さんに会う時タキシードを着てきたし正装すべきところなのか? 何もかも初めてすぎて分からない。悩みすぎて吐きそうになったので、結局ガンズ&ローゼズのバンドTで挑むことにした。
当日、待ち合わせした東京メトロ浅草線浅草駅の改札に向かう。長い階段がドキドキを加速させる。どんな人だろうか? いかん……緊張しすぎて不審オーラが増しているような気がしてきた。突然、「娘をかどわかしやがって!」と掴みかかられたらどうしよう。
と、その時! 改札前に立っていた人物がこちらに手を振る。それに気づいて駆け寄っていく美々さん。オカンだ! 服装は……
ジーパンにシャツのラフな格好!
カジュアル!! よ、良かった…くだけた雰囲気の人のようだ。さっそく、軽い挨拶を済ませて店に向かう。怪訝な顔はされていなかったので、どうやらファーストコンタクトは「変人」と思われなくて済んだようである。
窓から午後の光が入る予約席。値段が値段だけに『うな鐵』には優雅な雰囲気が流れていた。着席して改めて挨拶。流れで仕事や植毛のことなど包み隠さず話す。意外と平然とした様子で聞いている美々さんのオカン。そうこうしているうちに注文したうなぎが到着した。食べてみると……
ウマイ。ふわっふわや! こんな上等なうなぎを食べたのは初めてだ。うなぎのウマさに話が盛り上がる。気づけば、美々さんのオカンも笑顔が見えるように。
良かった。無事に終わりそうだ。と、その時! 突然、怒声が響いた。マジかよ……予想だにしなかったアクシデントは次ページで。
執筆・イラスト:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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