
2013年11月に登場したSONYの初代α7以降、フルサイズセンサーを搭載した手の届きやすいミラーレスカメラは長らくSONY製のみだった。なお、ドイツのカメラメーカー「Leica」がフルサイズのミラーレスカメラをいくつか出しているが、値段は全て80万円以上。「手が届きやすい」とは言えないと思うのでノーカンで許してほしい。
しかし2018年8月23日にNikonが「Z6」と「Z7」を発表。その興奮さめやらぬ9月5日、今度はCanonが「EOS R」を引っさげて参戦。SONY一択だったフルサイズミラーレス界は戦国時代に突入した……。ということで、買い替えを考えている筆者が各機種のスペックをまとめてみたぞ!
・合計5機種をピックアップ
もちろんNikonからは「Z6」と「Z7」で、Canonからは「EOS R」が比較対象だ。そしてSONYからは、筆者の独断と偏見で「α7RⅢ」と「α9」をピックアップさせていただいた。この5機種を比較して、どれにするか考えていこうと思う。
・初めてなら「α7RⅢ」か、より手ごろな「α7」
ちなみに、これが初めての本格的なカメラで、フルサイズセンサーを搭載したミラーレスをご所望される方のうち、高い画素数に魅力を感じるなら「SONY α7RⅢ」とお好みのレンズ。
そこまで画素数はいらない方なら、より手ごろな「SONY α7Ⅲ」がお勧めだと思う。どちらも今の時点でレンズが豊富で、他社製のアクセサリーなども出回っているので何かと便利だ。
両方とも発売されてから時間が経過しているため、ネット上で沢山レビューを見ることができる。自分が一番気になるポイントについて買う前に詳しくわかるため、安心して購入できると思う。
・今年中なら「SONY α7RⅢ」か、「Canon EOS R」
ここで先に結論だけ言うと、筆者的には今年中に買うなら「SONY α7RⅢ」か「Canon EOS R」かなぁという気がしている。Nikonのモデルについてはバッテリーの容量と、SDカードが使えないところなどがちょっと気になるのだ。
というわけで、ここから先は細かいスペックや機能について、各メーカーのHPに記載されている内容をまとめていこうと思う。ただ、比較ポイントは多すぎて全てを書こうとするとキリが無い。そこで本記事では以下の7項目に絞ってまとめた。また、動画については考えないものとする。
1:価格
2:サイズと重さ
3:画素数
4:静止画撮影可能枚数(バッテリーの持ち具合)
5:バリアングル液晶モニター(ぐるぐる回るモニター)とタッチパネル
6:瞳AF(瞳に自動でピントを合わせてくれる機能)
7:ボディ内手ぶれ補正の有無
・価格
買い替えのときに重視するポイントは複数あるが、なかなか「これこそ最重要」というのは難しい。ただ、予算に関してはちょっと他とは別ではないだろうか。さすがに無理という値段は誰しもあると思う。
なお、全て本体のみの価格。これが最初の1台という方は、別にレンズも必要な点に気をつけてほしい。SONYの2機種は記事を書いている2018年9月7日のAmazonを参照。Nikonの2機種についてはNikon公式の販売ページを参照。Canonについては参照元が公式HPなため、あくまでオープン価格。でもネット上では237000円という「うわさ」。
SONY α7RⅢ:319800円
SONY α9:369800円
Nikon Z7:437400円
Nikon Z6:272700円
Canon EOS R:オープン価格
・サイズと重さ
ミラーレスカメラ最大の利点は、小さくて軽い点だと筆者は思っている。手のサイズにもよるとは思うが、個人的には特に小さいほどいい。掲載するサイズは全て「幅×高さ×奥行き(mm)」の表記で、重さはバッテリーとメモリーカード込みのものだ。
SONY α7RⅢ:約126.9×95.6×62.7mm(グリップからモニターまで)、約657g
SONY α9:約126.9×95.6×63.0mm(グリップからモニターまで)、約673g
Nikon Z7:約134×100.5×67.5mm、約675g
Nikon Z6:約134×100.5×67.5mm、約675g
Canon EOS R:約135.8×98.3×84.4mm、約660g
・画素数
画素数に関しては色々意見があると思うが、高画素であればあるほど良いとは筆者は思わない。高画素=高画質ではないし、高画素になるほど暗い場所での撮影が苦手な傾向がある。
また、画素数に比例して写真1枚1枚のサイズは増し、相応のスペックのPCでないと重たくて加工や編集などやっていられない。しかし、高画素ゆえの解像感などは無視できないのも事実で悩ましいポイント。なお、写真に影響のある画素数のみ掲載していく。
SONY α7RⅢ:約4240万画素
SONY α9:約2420万画素
Nikon Z7:4575万画素
Nikon Z6:2450万画素
Canon EOS R:約3030万画素
・静止画撮影可能枚数
ここでの撮影可能枚数とは連写機能ではなく、バッテリーの持ち具合の目安となるほうのこと。つまり、1つのバッテリーで静止画を何枚撮れるかだ。これが極端に低い場合、1日の撮影中に何度もバッテリーを入れ替えないといけない。
参考までに、筆者が愛用する初代α7Rはとても燃費が悪い。今年1番撮影した例では、9時から17時まで開催のイベントのためにフルチャージのバッテリーを4つ用意。開会から閉会までほぼ起動しっぱなしで733枚撮影。帰宅時には残り20%くらいだった。なお、全てファインダー使用時の数字のみ記載する。
SONY α7R:約270枚←上で述べた使用状況とあわせて参考までに
SONY α7RⅢ:約530枚
SONY α9:約480枚
Nikon Z7:約330枚
Nikon Z6:約310枚
Canon EOS R:約370枚
・バリアングル液晶モニターとタッチパネル
筆者はサブでオリンパスのOM-D E-M5 MarkⅡというカメラを使っているのだが、こちらはモニターがバリアングル(ぐるぐる回る)でタッチパネル機能を有している。
スマホから写真に興味を持つ方も多いと思われる昨今、タッチパネルで直感的に操作できればスムーズにカメラに慣れやすい気がする。バリアングルなら自撮りやテーブルフォトなどでも便利だし、ファインダーを覗けないときに超強力。人によっては一番重要かもしれない。
SONY α7RⅢ:タッチパネルのみ
SONY α9:タッチパネルのみ
Nikon Z7:タッチパネルのみ
Nikon Z6:タッチパネルのみ
Canon EOS R:両方あり
・瞳AF(瞳に自動でピントを合わせてくれる機能)
瞳AFとは、カメラが人物の瞳にAF(オートフォーカス)してばっちりピントを合わせてくれる機能。手前の瞳にピントを合わせるのは人物のポートレートを撮る基本。それを自動でやってくれるめちゃくちゃ便利な機能だ。
動きが予測できない小さい子供や、ペットの顔を自然体で撮影したいなら必須だと思う。なお、筆者が昔使っていたNikon D800というカメラにはこの機能が無かった。
しかし、顔認証AF(顔を自動で検出する機能)はできたのでそれを使い、被写体が止まっている時は手動で瞳にピントを合わせていた。当時は無くても良いと思っていたのだが、一度体験すると便利すぎてもう戻れない。
SONY α7RⅢ:有り
SONY α9:有り
Nikon Z7:無し
Nikon Z6:無し
Canon EOS R:有り
・ボディ内手ぶれ補正の有無
まず、手ぶれ補正の種類から説明しようと思う。カメラの手ぶれ補正には、「レンズ内手ぶれ補正」と「ボディ内手ぶれ補正」がある。前者はレンズの中に手ぶれをおさえてくれる機能があり、後者はそれがカメラ本体に備わっているというもの。
補正の効き具合に関しては、最近はもうどれも優秀だ。搭載しているか否かこそ重要だと思う。Canonの場合、手ぶれ補正は全てレンズ内に搭載されているので、専用のレンズを使う限りは「手ぶれ補正有り」となる。
SONY α7RⅢ:有り
SONY α9:有り
Nikon Z7:有り
Nikon Z6:有り
Canon EOS R:無し(レンズ内に搭載)
・最後に
先にも書いたが、細かいことを言えばもっと機能面や外観などどこまでも出てくる。それでも今回ピックアップしたのは各社の看板モデルのようなもの。心配しなくてもそれなりの水準に仕上がっていると思う。
そこで今回は、モデルチェンジ以外では変更ができなさそうな部分のうち、この機会にミラーレスに興味を持った方にとって重要そうなポイントを個人的に選んでみたつもりだ。後は店頭などで試してみないとわからないところも多いと思う。
とまあこうやって迷ってる時が一番楽しかったりするのは良くあること。とりあえず筆者は9月15日と16日に開催される「EOS R SYSTEM PREMIUM SESSION」にて「EOS R」を触って、また迷おうと思う。
参照元:SONY [1] [2] [3] [4]、Nikon [1] [2] [3]、Canon [1] [2] [3] [4]
執筆:江川資具
▼「防塵防滴性能」(塵や水滴への耐性)については、全機種ある程度はもっている。この写真は、平成26年の台風第13号の真っ只中、ひどい雨に打たれながら筆者のα7Rで撮った写真を切り抜いたもの。型落ちしまくりだが、フラッグシップ機はどこもだいたいこの程度の耐性はあると思う。こんな無茶は非推奨だし、あくまで参考までに。
江川資具

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