第100回目を迎えた甲子園がアツい。その中心にいるのは東北勢として初の優勝を目指す秋田県代表の金足農業高等学校、さらに言えばエースとしてチームを牽引する吉田輝星投手だ。
そんな吉田投手のルーティンが時折見せる「侍ポーズ」だが、各種メディアによれば大会を運営する高校野球連盟(以下・高野連)が吉田投手に対し侍ポーズの自粛を要請したという。正直、あまりにも意味がわからないので「侍ポーズの何がダメなのか?」高野連に問い合わせてみることにした。
・侍ポーズとは
まず知らない人のために「侍ポーズ」について説明しよう。侍ポーズとは吉田投手とセンターの大友選手が見せるルーティンワークのことで、守備に就く際、マウンドとセンターでタイミングを合わせ、刀を抜くポーズをキメる動きのことを指す。
金足農業高等学校の快進撃も手伝い「侍ポーズ」は一種の名物になっていたが、日刊スポーツによれば高野連は侍ポーズの自粛を要請。自粛を通達された後の準決勝では “控えめな侍ポーズ” を決める吉田選手が話題になっていた。
というか、そもそもなぜ高野連は侍ポーズを自粛するよう要請したのか……? 相手を挑発しているわけでもないのに何がダメだというのか? 過去には「ハンカチ王子」の例もあるし、それ込みで甲子園を楽しんでいる人も多いハズ。納得がいかないので高野連に電話し「侍ポーズの何がダメなのか?」聞いてみることにした。
──吉田投手に対し侍ポーズを自粛するよう要請したのは事実なのでしょうか?
「……はい、事実です」
──侍ポーズの何がダメなのでしょうか? 過去の「ハンカチ王子」とは何が違うのでしょうか?
「はい、まず侍ポーズの自粛要請は過去の事例と比較したものではありません。なので “ハンカチ王子とどう違うか?” についてはお答えできません」
──なるほど。では今大会で侍ポーズがダメな理由はなんなのでしょうか?
「はい、高校野球では “野球とは関係ないパフォーマンス” は不必要であると考えております。侍ポーズは野球とは関係ありませんので、自粛を要請しました」
──侍ポーズは “野球とは関係のないパフォーマンス” だと捉えたのですね?
「はい、その通りです」
──ただ、守備に就く際のルーティンワークに過ぎないという意見もありますが、その点についてはいかがでしょうか?
「先ほど説明した通り、我々としてはパフォーマンスとして捉えております。野球をする上で必要なものとは考えておりません」
──そもそもなぜパフォーマンスがダメなのでしょうか? イチロー選手は打席に入る際、独特のポーズをしますよね?
「高校野球とプロ野球は比較できません。高校野球には高校野球なりの “野球像” がありますので、今回の侍ポーズはそれにふさわしくないという判断をいたしました」
つまり、高野連には高野連なりの “高校野球像” があり、それに触れるようなパフォーマンスはしてくれるな、ということのようであった。
・高校野球らしさとは?
高野連の言う通り、高校野球には高校野球なりの良さがあることは事実である。ただその一方で、時代にマッチしない古ぼけた価値観がいまだに幅を利かせていることもまた事実だろう。
高校野球らしさとは何なのか? 高校生らしさとは何のか? 高野連だけが一方的にその価値観を定めるのではなく、幅広い議論が必要な時期に来ているのかもしれない。