出来れば乗りたくないけれど、生きていくためには避けて通れないもの……それが「満員電車」だ。乗車率100%超えはあたり前、文字通り “身動きが取れない” ことも多々あるが、それでも譲り合いの精神でなるべくなら気持ちよく過ごしたいものである。だがしかし……。
あなたは混雑した電車の中でこんな人を目撃したことはないだろうか? ガンガン乗客が乗ってきているのに「ここから絶対に1歩も動かねえ」的に仁王立ちしている人を……。果たして彼らは何と戦っているのだろうか?
・奥の方は比較的空いている
一言で「満員電車」と言っても、実際は「マジでぎゅうぎゅうゾーン」と「比較的余裕ありゾーン」が存在するものだ。簡単にいうとドア付近は激混みで、電車の中(座席の方)に進むにつれ人の密度は確実に軽減していく。
通勤時や退勤時には1つの車両に同じタイミングで何百人の人が乗り込むわけだから、そりゃあ混むに決まっている。なので私は満員電車に乗るとき、なるべく電車の中に入っていき “次の人のスペース” を確保しているつもりだ。
・一歩も動かない「仁王立ち族」
ただ、そんなときに限って “彼ら” は現れる。彼らの後ろに目をやるとそれなりにスペースは空いており、わずか数歩後退してくれるだけで数人が乗車できそうな入り口(拠点?)から、かたくなに動こうとしない「仁王立ち族」のことだ。
なぜあと数歩下がれない……? 心の中でいつも思うが、実際はなかなか口には出来ない。ヒドいときは両腕でつり革を掴んで “無言の意思表示” さえしている仁王立ち族は一体何と戦っているのだろうか? さては車両の守護神気取りなのか?
つい先日こんなことがあった。かなり混雑した車内に乗り込んだ私の目の前に現れたのは、両サイドのドアとドアの真ん中にポジショニングする仁王立ち族。先述のように両腕はつり革をガッチリ掴んでおり「おい……俺は絶対に動かないからな?」的なオーラをビンビンと発していた。
・絶対に動かない男と遭遇
ただし時刻は帰宅ラッシュ時。彼の後ろにはまあまあスペースがあるのに、彼の前方はぎゅうぎゅう状態であった。やむなく私は背中を向けグイグイと彼に突っ込んでいった(というか、乗ってくる人波に押された)のだが、気付けば彼の顔が数十センチのところにあるではないか。
その仁王立ち族は40代後半から50代前半の男性で、めちゃめちゃ私を睨んでいる。いわゆる “メンチを切る” というヤツだ。「なんだコイツ」と思った私は目を逸らさずに、
「お、どうした? なんかあった?」
……と尋ねた。するとその仁王立ち族は体を巧みに揺らし、スルスルと電車の奥の方に消えていった……なんじゃそりゃ!!!!!!!!!!
今となっては彼が守りたかったものが何であったかはわからない。というか、実は全ッ然 “鉄壁ガード” ではなかった。どうか電車の中で「ここから一歩も動かねえ」と決めている人たちよ、本当に興味ないから何歩か下がってもらえないだろうか?
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.