先週末に新潟県湯沢町の苗場スキー場で開催された「フジロックフェスティバル」。国内外から多くのアーティストが出演するフジロックは、言うまでもなく音楽が主役のイベントである。しかし、中にはライブも見ずに、ダラダラと飲んで遊んでいるだけの輩もいるらしいのだ。
けしからん。まったくもって けしからん。そんなことよりライブを見ろと言いたい。個人的に特に けしからんと思うのが、「ドラゴンドラ」とかいう長~いゴンドラに乗ってしまう連中だ。そんなもん、時間の無駄でしかないだろ。あまりにも けしからんので、実態を探るべく乗ってみることにした。
・長すぎるゴンドラ
「ドラゴンドラ」とは、フジロックの全エリアが見渡せる日本最長のゴンドラのことだ。往復1500円、片道約25分もかけて山頂にあるエリアを目指すという、非常に けしからん乗り物である。
・けしからんので乗ってみた
2018年7月29日、土曜日。フジロック2日目に参加した私(あひるねこ)が会場に入って最初にしたことは、「ドラゴンドラ」のチケットを買うことだった。過去のフジロックではライブを見ることだけに集中してきた私にとって、この行為は屈辱以外の何物でもなかったことを強調しておきたい。
・初めての「ドラゴンドラ」
さて、「ドラゴンドラ」の乗り場は、屋内ステージ「レッドマーキー」の横から斜面を登ったところにある。
ここがまた、なかなかどうして急斜面だ。もはや軽い登山ではないか。こんなことに体力を使いたくはないのだが……。
ようやく乗り場まで辿り着くと、そこには結構な数の人がゴンドラ待ちの列に並んでいた。待てやコラァァァァアアア! ライブ見ろやァァァァアアア!!
沸々と怒りを感じていると、いよいよ私の番が回ってきた。そうか、こいつが噂の「ドラゴンドラ」か……。本意ではないが、しょーがねーから乗ってやる。
と、乗り込んだ瞬間、一気に加速する「ドラゴンドラ」。うおおお、速ええええ!
・広がる大パノラマ
その後グングンと上昇し、広大な苗場の山々が眼下に広がり始める。お、ステージが見えるぞ! フハハ、人がゴミのようだ。いろいろな場所からいろいろな音がゴンドラ内に響いてくる。
だが、しばらくするとライブの音も聞こえなくなり、ゴンドラ内はゆったりとした穏やかな静寂に包まれ始めた。
今まで気付かなかったが、こんなに大きな山だったのか。湖や渓流を眺めながら、雄大な自然にしばし身を委ねる。
とは言え、ジェットコースターのようにアップダウンを繰り返すため、意外にもスリルがあるのが「ドラゴンドラ」の特徴だ。こればっかりは乗ってみないと分からないと思うが、恐怖を感じるほどの傾斜である。大迫力!
・山頂に立つ
さあ、いよいよ山頂だ。ゴンドラを降りると、山頂エリア「DAY DREAMING and SILENT BREEZE」が私を待っていた。ほう、涼しくてなかなかいい場所だな。
のんびりとした雰囲気のこのエリアでは、草むらに寝転がっている人が多い。まあとりあえず……ビールでも飲むか。すぐそばには観客との距離が近い小さなステージがある。そこで鳴らされるダンス・ビートに揺られながら飲む生ビール。至福である。
・分かった気がする
台風の影響が心配される今年のフジロックだったが、私が山頂にいる間は運よく太陽が顔をのぞかせていた。ビールを飲みながら何をするわけでもなく過ごす時間は大変に心地良く、わざわざここまでやって来る人の気持ちが少しは理解できたように思う。
その後、結局1時間ほどいただろうか。すっかり骨抜きにされた私は、目当てのアクトを見るべく重い腰を上げ、騒がしい下界へと戻ったのである。ドラゴンドラ? クソ最高じゃん。次に来た時も乗らせてもらうぜ。またな、フジロック……。