数カ月前、ある大学がネットを騒がせたことを覚えているだろうか? 事の発端は「うどんや 蛞蝓(なめくじ)亭」を名乗る飲食店によるツイート。50名分の予約を当日になって無断キャンセルされたとして、その恨み節を料理の写真と共に Twitterに投稿したのである。
ツイートの内容から、キャンセルをしたのが「国際信州学院大学」の職員であることが分かると、ネットは非難の声で大炎上。ところがその後、飲食店も大学もすべてが架空の存在だったことが明らかになる。まさに前代未聞の珍事だ。
つまり、「国際信州学院大学」なんて学校は始めから存在しなかった、ということなのだが……本当にそうだろうか? 架空と聞いただけで、この目で確かめたわけではない。ネット社会の悪いところだぞ。そこで、大学があるという場所まで実際に行ってみることにした。
・架空の大学
ネットで「国際信州学院大学」と検索すると、かなりしっかりした公式サイトが表示される。一見普通の大学のようで騙されそうになるが、これはフェイクだ。よく見れば分かる。何だよ、名物教員・コサックダンス吉村って(驚くことに、吉村とやらの Twitterアカウントまで存在する)。
・行き方が書いてある
さあ、ここからが重要だ。サイトには大学までのアクセス方法が記載されており、それによると、キャンパスは JR大糸線の安曇追分(あずみおいわけ)駅から徒歩30分ほどの場所にあるらしい。ちなみに、この安曇追分駅は正真正銘、実在する駅である。
サイトにはご丁寧に地図まで用意されているので、これを参考に現地周辺まで行くことができそうだ。「国際信州学院大学」とは本当に架空の大学なのか? この目で確かめるべく、私(あひるねこ)は車で長野県安曇野市へと向かった。
・本当に架空なのか?
最初の目的地は、実在することがすでに確定している安曇追分駅である。ここを起点に「国際信州学院大学」を目指す算段だ。高速を降りてしばらく走ると……やがて小さな駅舎に辿り着いた。
あった。ここが安曇追分駅だ。
──繋がった。私は奇妙な興奮を覚えていた。空想の世界と現実の世界が、目の前にある のどかな駅を介して見事に繋がり、無いと思われていた存在が突如リアルとなって立ち上り始めたかのような……。これにはさすがの私も、少しワクワクしてきたぞ。
・待っていた光景
大学のサイトにある地図と Googleマップとでは道が若干異なるため、そこを調整しながら先を急ぐ。それにしてもけっこう、いや、だいぶ田舎である。こんな場所に本当に大学が……え?
ここ……大学の入口のはずなんだが。
・気配ゼロ
間違いない。この辺りに「国際信州学院大学」のキャンパスがあるはずだ。サイトを見る限り、広大な土地に様々な施設が点在しているはず。だがしかし。たしかに土地は広大ではあるものの、どう見てもただの畑である。
いや、もしかすると、外からはただの畑にしか見えないが、エリア内に入った瞬間に景色が変わるという SF的超展開が待っている可能性もワンチャンある。とりあえず、「国信通り」という道から大学の敷地内に入ってみよう。立派な名前だ。私には砂利道にしか見えないが。
・真実
そうして、ついに大学の中央付近へと辿り着いた。ここが かの有名な「国際信州学院大学」か……。
……。
…………。
……………………。
ただの畑やないか!
残念ながらそこには、校舎はおろか、講堂もコンサートホールも付属病院も、何も見当たらなかった。辺り一面、畑に囲まれていたのである。
……いや、私は心のどこかで気付いていたはずだ。きっと何もないであろうことは。架空の大学だったとネットニュースにもなっているのだから。しかし私は問いたい。それ、本当に自分の目で確かめたのかと。ニュースになっているからといって、それが真実である保証はどこにもない。
誰も信じるな、自分を信じろ。テレビを消せ。ネットも消せ。そして外へ出ろ。現場を訪れ、五感のすべてを働かせろ。そこで感じ取ったものがお前にとっての真実だ。それ以外はただのノイズに過ぎない。
そうだ、ここは「国際信州学院大学」だ! やったー! 私は「国際信州学院大学」に来たんだーーー!!
– 完 –
参照元:国際信州学院大学、Googleマップ
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
▼「国際信州学院大学」にやって来た
▼「国際信州学院大学」である
▼「国際信州学院大学」である
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▼「国際信州学院大学」である
▼「国際信州学院大学」である
▼「国際信州学院大学」である
▼余談だが、「国際信州学院大学」の近くには卵の直販所があった
▼買ってみた
▼嬉しかった