ロケットニュース24

【調査】「世界で最も厳しい禁煙令」の国で喫煙者はどうしてるのか / 喫煙室もオール撤去! 屋内全面禁煙となった上海のタバコ事情はこうだった

2018年5月23日

日本で議論に議論が重ねられた「受動喫煙防止法」。過去のWHOの視察では、日本の受動喫煙対策は「前世紀並に遅れている」とされ、「世界、どれだけのものを求めてるんだよ!?」と、心穏やかでない愛煙家もいらっしゃるだろう。

一方で法案では適用外にされる例外も多く、「結局、現状と変わらないのでは?」と思っている健康増進派の人も多いのではないだろうか。そんな状況に痺れを切らしたのか、東京都は独自の条例案を出すわで、もう訳がわからん!

そんな日本とは対照的に、2017年 “世界で最も厳しい禁煙令” が施行された国がある。中国だ。禁煙界のトップランナーになりたい……のかどうかはわからないが、実施から1年。タバコを愛し愛しまくる中国人がアッサリ受け入れたとも想像できないが、実際はどうなのだろう。ということで、上海民&現地で調査してきたのでご報告だ!

・上海「世界で最も厳しい禁煙令」

この「世界で最も厳しい禁煙令」と呼ばれる条例が施行されたのは上海市だ。「上海市公共場所控制吸烟条例」通称 “控烟令” である。内容をザックリいうと「屋内における喫煙の全面禁止」。

飲食店はもちろん、オフィス、ホテル、カフェ、あまねく室内での喫煙が禁止! 独立した喫煙室は撤去され、もちろん新規設置もNG。これはマジのマジで室内での喫煙が出来なくなったと読むことができ、東京の条例案より厳しいのは明らかだ。これが世界一の厳しさ……。

筆者(沢井)は非喫煙者だが、急激な禁止令は「大変だなぁ」と思ってしまう。住んでいれば自宅で吸うという選択肢もあるが、ホテルもNGな旅行者はわざわざ外の喫煙所を探しに行くハメになる。あったかいお部屋でコーヒー&シガレッツなことはハナから無理なのだ。

なお、この条例に違反すれば個人で最高200元(約3500円)、事業者で最高3万元(約50万円)の罰金が科せられるとのこと。市民による通報システムもバッチリ構築されている。

・上海民に聞いてみた

これは厳しい! しかし、カッチリ守られているとも思えなかったので、まずは上海在住の中国人に現状を聞いてみたところ、このような答えが返って来た。

「外なら吸えるよ。屋内で喫煙していい場所がなくなっただけ。みんな(外の)ゴミ箱についている灰皿で吸ってる」(会社員)

「公共エリアで吸えなくなったけど、外ではまだ喫煙できる。以前とそう変わらないと思う。厳しくはないよ」(自営業)

出た! 「差不多(チャーブドゥオ:そんな変わらない)」!! さらに。

「実はそんなに厳しくはないんだよね。外ではみんな歩きタバコしてるし。いま禁止なのは地下鉄の駅や、高級レストランなどで、実際、いくつかのカフェにはまだ喫煙エリアがあるよ。何なら一部の食堂とかまだ普通に吸える」(大学生)

「しょっぴかれるのは、むしろポイ捨ての方だと思う」(職業不明のお金持ち)

……マジか! ニュースで「厳しい、厳しい」と言っていたのは、何か不思議なチカラが働いてのことだったのか? これらの事前情報を胸に、実際に現地に赴いたところ……その結果は次ページへGO!

参考リンク:中国上海「上海市公共場所控制吸烟条例」(中国語)、厚生労働省ダイヤモンドオンライン
Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.

・喫煙者&来訪者目線

ということで協力してもらったのは、中国に行くとつい現地タバコ「中南海」、しかし吸った瞬間マッハで毎回後悔するという “赤ふん保存協会” 会長のショーロンポー・アツイ氏だ。私も上海で現地の情報を確認したが、やはり喫煙者の視点ではどう見えるのか聞くのが筋であろう。

アツイ氏は『攻殻機動隊』のクゼ・ヒデオ並に人民の心を掌握していく。そのなかでタバコを通して現地の人と仲良くなっているのを見かけ、正直「いいなぁ……」と羨ましく思ったことが100回くらいある。と言ったところで、私は吸わないけど。

──それはさておき。

アツイ氏に、現在の上海タバコ事情に関しての所感を聞いてみたところ……

アツイ「確かに “差不多(そう大差ない)” のように感じられる。一方で、実際に取り締まられた奴も知ってる。でもそれは南京東路とか観光地での話。

たとえば中国人も引くほどのローカルホテル。一応 “禁煙” とはあるけど、実際に部屋には灰皿が置いてあることも。“どうぞ吸ってください” と言わんばかりに」

とのことだった。実際の店名などは伏せるが、地域によっては公共施設や飲食店にも “暗黙の喫煙エリア” が存在する場合があるという。ネズミ1匹逃さない勢いで取り締まりが行われているわけではなさそうだ。また、路上喫煙に対する認識も日本とは少し違うようだ。

そして、

アツイ「喫煙事情がどうこうというより、ここ数年で上海の喫煙者自体が減った気がする。学生など若者は本当に吸わなくなった」

とも話していた。

・中国でこうなら、日本は?

上海で禁煙条例が実施されて1年と少し。2018年3月の時点では、事前情報のとおり、屋外での喫煙は引き続きOKだったし、庶民的な場所では特に変わらない上海タバコ事情が広がっているように見えた。「全面禁煙」というセンセーショナルな言葉が先行している印象だ。

ただ、実際にガイドブックに載っているような “ちょっといいお店” では厳格にルールが守られており、罰金が科されたという事例も多く報告されている。外国人、とくに現地で守ってくれる人がいない旅行者がしょっぴかれると誠に面倒だ。「中国だから大丈夫だろー」なんて言わずにルールに従うことに越したことはない。

中国ということを差し引いても、「最も厳しい禁煙令」でこうなのだから、フンワリした日本の「受動喫煙防止法」なら、なし崩し的に似たような状況になるのではないか。そんな気がしてしまったのであった。

参考リンク:中国上海「上海市公共場所控制吸烟条例」(中国語)、厚生労働省ダイヤモンドオンライン
Report:沢井メグ
協力:ショーロンポー・アツイ
Photo:Rocketnews24.

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