人間、どんなに気を付けていても “うっかり” してしまうことはある。それが人命に繋がる重大なミスならば許されないが、ちょっとくらいの “うっかり” は許してあげるのが大人だろう。しかし、天丼チェーン「てんや」の今回の “うっかり” は、そういった次元ではないと思うのだ。
時折ワケの分からない新メニューを発売し、我々を混乱の渦に叩き込む「てんや」。私(あひるねこ)はその行為を「ご乱心」と呼び、長きに渡って注目してきた。ところが、今回「てんや」が発売した新メニューは、これまでとは少々様子が異なるのである……。私は問いたい。なぜそれをさらに揚げたのか、と。
・謎すぎるチョイス
種(タネ)と呼ばれる食材を、衣をつけて揚げた料理が天ぷらだ。肉類を揚げることもあるが、基本的に種は魚介類や野菜がメインとなるはず。しかし、本日2018年4月26日に発売となった新メニューにおいて、「てんや」が選んだネタはどういうわけかチキン南蛮だった。
・なぜそれを選んだのか
私の記憶が確かならば、チキン南蛮とはそもそも揚げ物のはずだ。すでに完成された料理のはずである。そのチキン南蛮を天ぷらにするなんて、いくら「てんや」でも反則ではないのか? ついに一線を越えてしまったような感覚を覚えながら、新メニュー『チーズチキン南蛮天丼(税込730円)』を注文してみた。
・天ぷらなのか何なのか
チキン南蛮だけでは飽き足らずチーズまで足してくるとは、なかなかの乱心ぶりである。気になる内容はというと、国産鶏天が2枚にチーズかき揚げ、その上に南蛮ソースがかかっており、別添えでタルタルソース&ピクルスが付いてくる……。ご乱心というか、ただのチキン南蛮やないか!
そこへタルタルソースをかけると、いよいよ意味が分からなくなってきた。これは一体何なのだ……? もうええわ、食ったれ! タルタルがたっぷりかかった鶏天をガブーッといってみる。うむ、ウマい。ウマいが……これは一体何なのだ?
・ウマいが意味不明
ウマいのは間違いない。タレと鶏天の相性もいい。しかし、チキン南蛮なのか天ぷらなのかがよく分からないのだ。味はチキン南蛮だが全体的には天ぷらでもあるし……だからこれは一体何なのだ? タルタルによるノイズの影響か、その判断が非常に難しい。
・お手上げ
食べ進める私の思考は混迷を極めていた。チキン南蛮なのか天ぷらなのか? 何が正義で何が悪なのか? それを裁く権利が我々にあるのか? なぜ「てんや」に入ってこんなに混乱しているのか……? 一旦落ち着くためチーズかき揚げの方を食べてみるが、なんかもう、チーズすぎてうるせえ。サクサクしていて、ウマいことはウマいのだが。
・敗北
結局、明確な答えを出せないまま私は店を後にした。天ぷらの概念を覆すという、とんでもない “うっかり” をしてくれた「てんや」に、近年まれに見る敗北を喫したのである。それにしても今回の乱心はレベルが高すぎた。今後もこんな “うっかり” が続いてしまうと、私の身が持たないだろう。
【追記 2018年4月27日14:10】
『チーズチキン南蛮天丼』について、なんと編集部宛てに「てんや」から連絡が来たのでお伝えしたい。内容は以下の通り。
「今回の鶏天は、チキン南蛮(味付けしてあげた鶏)を天ぷらにしているのではなく、生の鶏肉を、店舗にて天ぷらにしております」
なん……だと……? チキン南蛮を揚げているわけでも、二度揚げしているわけでもないだと……? それってつまり、普通の鶏天やないか! そう、実はこの新メニュー、鶏天をチキン南蛮っぽく仕上げていただくという、「てんや」にしては至極真っ当な天丼だったのだ。
マジかよ、これは完全に裏をつかれたな。乱心するフリをして、まさかクールだったとは。「てんや」が繰り出す緩急自在な乱心テクニックに、私はまんまとしてやられたということになる。完全敗北を改めて認めざるを得ないだろう。
繰り返すが、今回の鶏天は生の鶏肉を揚げたものである。チキン南蛮を揚げているわけではないので、注意していただきたい。
参考リンク:てんや「チーズチキン南蛮天丼」
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
▼小さな星型チーズが私をさらに混乱させる
▼別添えでタルタルソース&ピクルスをよく混ぜ……
▼かける! ……これは一体何なのだ?