就職活動中はもちろんのこと仕事を円滑に進めるうえで「コミュニケーション能力」が非常に重要だと言われるようになって久しい。どれだけテストの結果が優秀でも「コミュニケーション能力が低いと仕事にならない」なんて話はよく耳にする。
自分で言うのは何だが、私(P.K.サンジュン)はコミュニケーション能力がかなり高い方だと思う。点数にすると85点くらいはあると思うが、私の知り合いにはコミュニケーション能力120点の「コミュニケーション能力の化け物」がいるから恐ろしい。今回はその人の話をしよう。
・コミュニケーション能力の化け物
その人物は私の25年来の先輩で、仮に名前を「誠一さん」としよう、誠一さんは私より8つほど年上で、当時10代半ばだった私を非常に可愛がってくれた。私のコミュニケーション能力がそれなりに高いのは、多感な時期に誠一さんと知り合ったことも大きいのかもしれない。
今でも誠一さんとはたまに食事へ出かけるのだが、つい先日もグルメさんたちには有名な「一見さんお断りのお店」に連れて行ってもらった。私もその店の存在は知っていたが「一見さんお断りじゃ無理だよなぁ」なんて諦めていたのだ。
既に誠一さんはその店に何度も足を運んでいるらしく、ガンコ親父と噂の店のご主人とも和気あいあいとやっていた。「相変わらずコミュニケーション能力が高いなあ」と感心していたが、そういえば誠一さんは誰かに店を紹介してもらったのだろうか?
・一見さんなのに……
気になりその辺りを尋ねてみると「誰にも紹介してもらってねーよ。俺が直接電話したんだよ」と言うではないか。一体どういうことだろう? 以下で、初めて誠一さんが店に電話予約したときの様子を再現VTR方式でご覧にいれたい。
誠一さん「もしもし。予約をお願いしたいんですけど……」
おやっさん「予約? あんた初めての人? ダメダメ、うちは一見さんお断りしてるから」
誠一さん「ええ! でも誰にだって初めてはあるじゃないですか。僕、絶対に行ってみたいんです!」
おやっさん「俺はさ、初めての人イヤなんだよ。すぐにドタキャンするしさ」
誠一さん「しません! 僕は絶対にドタキャンしません!!」
おやっさん「うちは時間厳守なんだよ。そう言ってるのに初めての客はだいたい遅れるんだ」
誠一さん「守ります! 絶対に時間厳守でお邪魔します!!」
おやっさん「でもお前が時間を守っても他のメンバーが遅れたら同じなんだよ」
誠一さん「毎日連絡して時間を守らせます!」
おやっさん「でもなぁ……」
誠一さん「僕は一度もお邪魔したことがないから、このままじゃ一生店に行けませんよ。どうしたらいいですか?」
おやっさん「わかったよ。じゃあ予約入れておくからちゃんと来てくれよ」
誠一さん「ありがとうございます! 絶対に時間厳守でお伺いしますので!!」
いかがだろうか? まず、普通なら「一見さんお断りのお店」に電話しようと思わないが、誠一さんはその類稀なるコミュニケーション能力で幾度も現状を打開してきたのだろう、敷居の高さにビビらないのが素晴らしい。
・親父さんもニコニコ
さらに、相手に何を言われてもシュンとせず、瞬発的に対案を出すあたりはさすがである。今では親父さんも普通のお客さんには出さないような “裏メニュー” まで出してくれるようで、ニコニコしながら「誠一さん、いらっしゃい!」なんてやっていた。
社会人として生きていく上でコミュニケーション能力がバリバリ高い必要はないかもしれないが、低いと少々生きづらい現代社会。才能もあるかもしれないが、自分次第でコミュニケーション能力はある程度鍛えられるから、何事にもすぐに心を閉ざさずにいたいものだ。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.