就職において、日本のような「新卒一括採用」は世界に例を見ない。そんな話をよく聞く。日本の新卒信仰は異常。新卒の前には、数年の経験なんて無いに等しいらしい。
そんな新卒&若さ信仰を肌で感じたことがある。27才の頃、転職支援サイトに登録、カウンセラーに相談しに行ったところ、年齢を理由に門前払いされてしまったのだ。えええ、まだ若いつもりだったのに! 新卒と5つ違うだけで価値ナシなの!?
・27才女が転職しようとしたら
私・沢井メグは当時満27才。その際、就いていた職種は「事務職」。当時の職務は、いわゆる一般事務+中国語の翻訳や通訳などなどであった。
……という状態で、転職支援サイトに登録。そのサイトは求人情報を閲覧できるだけでなく、さらにキャリアカウンセラーが面談をしてくれるという。何でも転職希望者のキャリアや強みを見てアドバイスしたり、求人を紹介してくれるのだとか。早速予約し、実際に会ってみた。すると……
・「年を取りすぎ。どこの会社も採用したがらない」
カウンセラー「男性なら27才は転職に適した年齢ですが、女性だと……申し上げにくいのですが、どこの会社も採用したがりませんね。結婚や妊娠出産を機に辞める人が多いでしょう。
女性でも理系修士以上の研究職なら、ご紹介できる可能性もありますが……文系卒の転職は第2新卒枠の22~24才が限界ですね。
仮に転職できたとしても確実に給料は下がりますよ。今の仕事は辞めない方がいいかと思います。弊社ではお力にはなれそうにありません」
年齢の話しかしやしねえええええ!! これまでの職務経験、全力スルーかよ! 年取ってるからダメってか!! そもそも学生時代に中国に留学していた私は、新卒の時点で24才。スタートラインからアウトじゃないか。結婚も出産の予定もないのに……
というか! 登録のときに履歴書を出したはず。「ハネるなら登録か面談の電話予約のときにしてよ……」そう思いながら、マッハで退会した。
・3年は働けって言ってたじゃん!? あれ何だったの?
実はその転職支援サイトは、系列に新卒の就職支援も行っており、私も大学卒業の際に利用したことがあった。そのとき彼らはこう言っていたものだ。「3年は最初の職場で働くべき」「3年働いてやっと経験が認められる」と。
良く言えば素直、悪く言えばマジメ系アホだった私は、しんどくても「3年は頑張らなきゃ」と一生懸命働いたが、その結果がこれ。3年の経験なんて考慮される余地もなく、性別と年齢で切られましたとさ。3年の根拠は何だったのか!?
・しかし実際は……
私、もうダメなのか……とガックリきたが、結局、2年後の29才のときに転職することになる。死ぬまでに一度チャレンジしたいと思える求人があり、応募したら採用されたのだ。同期の女性には年上も既婚者も、小さなお子さんがいる人もいた。
「なんだ、一概に性別や年齢で希望の仕事を諦めなきゃならないわけじゃないんだな」と思った次第である。その後、2回職場を換え、今にいたる。
・いまになって思うこと「自分が思うように行動すべきだった」
今になって思うが、転職支援サイトもビジネスだ。決して善意で転職希望者を “支援” しているわけではない。効率よく「成功率」をあげるために、とりあえず年齢で足切りしていたのだろう。
そして、これはあくまで当時の話。2018年のいま、私と同じ状況の人が転職活動をしたら、また別の答えが返ってくるかもしれない。しかし、今でもこれらの言葉をよく聞く。「3年は働け」とか「“適齢期” の転職は無理、諦めろ」とか「新卒で失敗したら、あとは転落するだけ」などなど。これらの言葉を鵜呑みにするのは危険ではないだろうか。
日本の就活や転職活動において、新卒、もしくは新卒年齢に近ければ近いほど選択肢が広いのは確かだ。これらの言葉も100%嘘ではないが、その裏にはいろんな “大人の事情” があり、決して善意で発せられたものでもなければ、全ての人に当てはまるわけではないはずだ。
あくまで私の経験からではあるが、根拠も確かめずに「そうなんだ」と受け入れず、自分が思うように行動すべきだった、と思う。もちろん失敗したときの責任は自分だ。リスクと責任に正面から向かい合えば、今、動くべきか動かざるべきか、何をすべきなのかハッキリ見えてくるのではないだろうか。
執筆:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.