日本を代表する自動車メーカーのひとつである「トヨタ自動車株式会社」。高度な技術で世界をリードしているだけあって、やはり社員研修の内容もハンパなものではない。
以前の記事でもお伝えしたが、同社は2014年から従業員自らが大陸を走る 『TOYOTA GAZOO Racing 5大陸走破プロジェクト』という取り組みをスタート。ついに2017年にはヨーロッパ大陸を走破したとのこと。今回はその過酷なチャレンジの経過を動画と共にお届けしたい。
・本気の社員研修ともいえる『5大陸走破プロジェクト』
先述の通り、『TOYOTA GAZOO Racing 5大陸走破プロジェクト』は、従業員自らが “大陸を走る” という経験によって「もっといいクルマづくり」をするための人材育成を目的としたもの──つまり、本気の社員研修ともいえる取り組みだ。
なぜここまでやるのか? それはトヨタが掲げる「現地現物」というキーワードに由来する。「実際に現場に足を運び、現場の事実に基づいて考える。問題を解決し、困難を乗り越えるための答えは、必ず現場にある」という意味である。
すでに2014年にはオーストラリア大陸、2015年には北米大陸、2016年には南米大陸を走りきっているが、2017年に走破したヨーロッパ大陸ではいったいどのような経験を得たのだろうか?
・壮大かつ過酷なヨーロッパ大陸走破
特設ページによると、ヨーロッパ大陸で走破した国は全23カ国。3チームに分かれた141人の日本と現地の従業員が85日間で走りきった距離は約21000kmだという。日本列島の長さがおおよそ3000kmであることを考えると、いかに壮大かつ過酷であるかがわかるだろう。
ヨーロッパ大陸走破にあたっては、ポルトガルをスタート地点にドイツ、イギリスを経て寒さの厳しい冬の北欧へと移動。クルマがそれぞれの国に深く根付いた “文化” であることを、身をもって体験したのだそうだ。
例えば、時速無制限のエリアがあるドイツのアウトバーンでは、各運転者が自らの技量にあった速度で走行。そこには整然としたルールとマナーが存在しており、時速無制限であるにも関わらずクルマが美しく流れるように走っていたとのこと。
スペイン・バルセロナからフランス・アヴィニョンへの道中では、高速の田舎道が続いたかと思えば、信号のない円形の交差点「ラウンドアバウト」で減速。その後、また一気に加速したりと、多くの一般道において日本とは違うスピードでクルマが走行していることがわかったという。
さらには、マイナス20度を下回るような北欧の雪道でもクルマに求められるレベルの高さは変わらず、突然現れるトナカイの群れや、対向車が巻き上げる雪煙への瞬時の対応が絶対条件であることを知ったそうだ。
・EV専用の充電施設の多さにクルマの未来を予感
その他、EV(電気自動車)専用の充電施設を備えた駐車場が日本に比べてはるかに多く、クルマの未来を予感させられたとのこと。クルマ文化発祥の地であるヨーロッパを走ることで、蓄積された文化を知ると同時に、クルマの未来も見えたようだ。
なお、トヨタが公開している動画「5大陸走破 欧州走破 コンセプトムービー」では、ヨーロッパ大陸走破の様子を確認することが出来る。以前の3大陸とはまた違った、多様で美しい風景は必見だ。
・そしてアフリカ大陸へ
このあとアフリカ大陸へと続く『TOYOTA GAZOO Racing 5大陸走破プロジェクト』。テストコースでは感じ取れないことを本物の道から学ぼうとする姿勢は、さすが世界をリードするトヨタといったところ。過酷な大陸走破で得た経験が、どのような形でクルマづくりに反映されるかが楽しみだ。
参照元:YouTube、TOYOTA GAZOO Racing「5大陸走破プロジェクト」
執筆:K.ナガハシ