ここ数年、ロボット技術は目覚ましい進化を遂げている。米ボストン・ダイナミクス社の4脚歩行ロボ「SpotMini」は従来より動物的な動きをするようになり、同社の2足歩行ロボ「アトラス」は人間のようなバランス感覚を備えている。トヨタのヒューマノイド「T-HR3」は人間のようにしなやかに動く。

でも! おじさんたちが望んだロボット技術はそれじゃない! 「わしゃあロボットに乗りたいんんじゃ!! 乗って動かしたいんじゃああああッ!」というロボ好きなおじさんたちに超朗報だ!! 搭乗して操作できるロボはもうあるぞ。全長約8.5メートル、重量7.3トンの巨大ロボットが群馬県に誕生していた! そしてその製造裏話がスゴかった。

・「ランドウォーカー」を作った会社

そのロボットの名は「LW-MONONOFU」(MONONOFU 弐式陸上)という。本稿ではわかり易く「MONONOFU」と表記したい。さて、このモノノフを製造したのは、群馬県の榊原機械株式会社だ。

同社は2014年冬のワンダーフェスティバルに別のロボットを出展しており、本サイトでも以前にお伝えしているから、会社の名前に聞き覚えのある方がいるかもしれない。

なお、2014年冬のワンフェスで出展されていたのは搭乗型2足歩行ロボット「ランドウォーカー(LANDWALKER)」である。実は同社がこの機体を製造したのは2005年のことで、それから12年を経て完成した新たな搭乗型ロボットがMONONOFUだ。

私(佐藤)は「ぜひとも取材して欲しい」との連絡を受けて、群馬県にある同社の倉庫を訪ねた。


・倉庫を覗くとそこには!?

取材するにあたって、私(佐藤)が想像していたのは、新型は動きが早くなったとか、せいぜい一回り大きくなって2人搭乗できるようになったとか、その程度の進化だ。そして都内から車で片道2時間半かけて倉庫まで行くと……

到着する頃には運転疲れしていて、新型について考えるどころではなくなっていた。「これじゃあいかん」と思いながら自らを奮い立たせて、倉庫を覗いてみる。

「ごめんください~」、そう呼び掛けると、今回連絡をくれた同社の南雲正章さんが出迎えてくれた。

南雲さん 「お待ちしてました。遠くまでお呼びたてしてすみません。来ていただくしかなかったもので……」

そういう南雲さんの後ろを見ると……。


え?


ええ?


ええええ!?


ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!! デカすぎるだろッ! 3.4メートルのランドウォーカーとは比べモノにならないほどデカい!!

・デカすぎるだろッ!!

どうみてもガンダムのモビルスーツ、もしくはパトレイバーである。デカすぎてサイズ感がよくわからないが、ランドウォーカーと並べると一目瞭然。

全長3.4メートル重量1トンのランドウォーカーに対して、MONONOFUは全長8.5メートルで重量7トン。倍以上デカくて、なおかつ重い。進化するにしてもやりすぎだろ! また気になるのは、これが操縦可能なのか? そもそも動くのか? という点だ。まあ動かなくても十分スゴイと思うのだが。

・搭乗の仕方がカッコイイ!

とにかく乗ってみよう。そこでどこから乗るのかと南雲さんに尋ねると、「後部にハッチがあります」という。裏に回ると南雲さんはリモコンを取り出した。

「これで開けます」と言って、ピッと押すと……ハッチは次第に上がっていく。

ウィーーーーンという機械音と共にハッチオープン!!


ナニコレ!? カッコイイ! 超カッコイイイイイイイイイイイイイイ! こういうのが欲しかったんだよ、コレがロボットだよーーーッ!! 初代ガンダム世代のオッサン(私)にとっては、この仕掛けが最高に響いた。長時間運転の疲れが秒速で吹っ飛んだよマジで!

しかも! 搭乗の仕方がまたイイッ!!


ウィンチでブランコが降りてきて……。


それに乗る!


ステキやん! めちゃめちゃステキやん!! ちょっと怖そうだけど、とてもイイ!



・コックピット

当然コックピットもカッコイイぜ。ただ乗れるだけではなく、MONONOFUを操作することができる。ゴテゴテと何やらナゾのスイッチがいっぱい並んでいると思ったら、かなりシンプルだ。ムダがない。

簡素化されていて、非常にスッキリとしている。正面にモニターが4台並んでおり、それぞれ機体外の様子を確認することが可能だ。なお、頭上にも1台モニターがあり、こちらはMONONOFUが右手に持つエアーライフルの先端カメラの映像を映している。

それから、コックピット前面に窓がある。ただし、見える範囲は限定的。特に足元は全然見えないため、カメラでとらえた映像をモニターで確認する必要がある。


なお、足元のペダル、右で機体の前進・後退を操作。左ペダルで上半身の旋回を操る。


・独自の駆動技術

さぁ、いよいよお待ちかねの稼働。現在のところ操作できるのは、MONONOFUを手掛けた南雲さんだけだ。ちなみに動力はAC200Vで、稼働時はコンセントからの電力供給。また、バッテリーも装備しているらしいが、すぐにバッテリーが切れてしまうそうだ。重量を考えたら当然か。

とにかく、実際に動いている様子を見ると……

おお! すごくスムーズだ。足底のローラーでスベるように動くのかと思ったら、片脚ずつ出して前に進んでいる。膝が曲がっているように見えるけど……実際はどうやって歩いているんだ?

7.3トンもあるのに動きがスムーズでビビる

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南雲さんによると、足底にローラーはついているものの、ローラーを駆動するのではなく、人間の骨盤に相当する部位を作り、片脚を擦る前に押し進めるそうだ。わかり易く言うと、「すり足」の要領で前へと進んでいるという。これは、ランドウォーカーに採用された仕組みを応用し、さらに巨大になっても荷重に耐えられるように進化させた結果らしい。

また上半身の動きも実になめらか。これら動きについては、すべてコンピュータで制御しているそうだ。そのおかげで、簡単に操作できるようになっている。誰でも操縦できることを目的にしているので、難しいことは一切ない。


・何人で作ったかと言うと……

それにしても、一体どうしてこんなに巨大なロボットを作ったのだろうか? 当然全社をあげて製造に取り組んだと思うのだが、実は……

この巨大ロボット、設計から製造全般、全行程のすべてとほぼ南雲さん1人で行っていたのである! マジかよ、こんなデカいものを1人で作るとは!?

かかった歳月は6年!

南雲さん、マジですごい! あなたこそ、MONONOFUのコックピットに乗るに値する人物だ!


・農業関連機器の会社

ちなみに同社では、直線型攪拌機や飼料ミキサーなど農業関連機器を設計から製造まで一貫して行っているらしい。これらのロボットもまた、アミューズメント機器として一貫製造を行っているという。

これまで同社が培ってきたノウハウを生かし、誰にでも簡単に扱えて、なおかつ安全な機器の開発を心掛けているそうだ。実際に子どもが搭乗することのできるアミューズメント機器は、音が静かであらゆる危険要素が徹底的に排除されている。そんな技術のすべてを注ぎこんで完成させたのが、このMONONOFUだ。

・ひとつだけ大きな問題が

できるだけ多くの人に見て、驚きと感動を味わってもらいたいのだが、ひとつだけ問題点がある。それは……。


倉庫の高さいっぱいで作ってあるため、外に出せないことだ。重量が7トンもあり、輸送手段がないという。つまり、この倉庫から外に出ることができないのである。分解できる構造にはなっているそうだが、たしかに運べるトラックはないだろうなあ~。将来的にさらなる改良が加えられて、イベントなどで人に囲まれているところを見てみたいものだ。

それにしても、榊原機械天晴れ! 6年かけてロマンを形にした、その心意気が素晴らしい!! 世界よ、ここまでやるのが日本のモノづくりだッ!

取材協力:榊原機械株式会社
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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