南極点無補給単独徒歩の冒険を続ける荻田泰永(おぎたやすなが)氏。冒険の序盤は1日15km程度のペースで進み、ここ最近は20kmを越える距離を進んでいたのだが、この日は30kmに迫る勢いで前へと進んだ。24日目を終えて定時連絡が入ったので、現在の状況をお伝えしたいと思う。

・荻田氏からの定期連絡(日本時間 12月11日)

現在地:南緯 83度39分 西経 80度18分
この日の移動距離:28.2km
標高:1229m
天候:晴れ
気温:マイナス16度

・最高移動距離を再び更新

今回の冒険でもっとも長い距離を移動した荻田氏。すでに標高1200mに達しており、この先はさらに急こう配の山を登っていくことになる。目の前にティール山脈を臨み、この先キツい登山が控えていることを見越して、約30kmもの距離を移動したのだろう。

・標高はどんどん高くなる

地図を見ると、ここからは一気に標高が高くなる。1500mに達したと思ったら、すぐに標高2000m。さらにその先は南極点に向かって、2500mの等高線が横たわっている。

山登りがきつくなる前に、少しでも距離を稼いでおきたい。そんな荻田氏の心の声が聞こえてきそうだ。


・お悩み相談の回答

では、荻田氏のTwitterに寄せられた「お悩み相談」の回答を紹介しよう。


相談「荻田さんは、冒険の際、リスクとかはお考えになりますか? 著書を読む限りはあまり気にされていないように見えますが。リスクある決断をするときにどんなことを考えているか教えてください」

荻田「リスクは当たり前ですが考えてます。リスクから思考をスタートさせますよね、冒険は。リスクのある決断をするとき、とのことですが、そのリスクが「自分の裁量で取り扱えるものかどうか」が一番大事。取り扱えないリスク、それは単なる無謀です。経験や知識、技術、事前の備えなどで取り扱えるリスクは変化します」


相談「病気で職を失い、どうすればいいか自問自答中です。この先、どうすればいいか?」

荻田「私なんて定職に就いた事すらないまま、もう40歳ですよ。だからこそ、ひと所にジッとする訳にもいかず、常に動いてないと死んじゃうマグロみたいな生き方になってます。とにかく動きましょうよ。

人生をガラッと変えるには、住むところを全く変えるといいですよ。私はそうやって30歳のころに生まれ育った関東から、知り合いも全くいない北海道に行きました。結果、すごい良かった。日本地図を壁に張り、ダーツを投げて当たった所に移住しましょう」


※南極お悩み相談
荻田氏のTwitter(@ogitayasunaga )をフォローして、「#南極お悩み相談」をつけて相談を投稿すると、荻田氏が相談に答えてくれるかも! 相談内容は日本の事務局から荻田氏に伝えられるぞ。南極大陸を歩き続ける荻田氏に、何でも相談してみよう!

協力:荻田泰永南極遠征事務局
Photo:荻田泰永, used with permission.
執筆:佐藤英典
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▼移動距離の記録を再び更新。これからのキツい山登りを見越して、距離を稼いでいる