学生のように長い夏休みがあるわけではないのに、この時期はワクワクが止まらない。恋の予感? それとも開放的な気持ちになるから? ノンノン。それはNHKラジオ『夏休み子ども科学電話相談』があるからだ!

大人の凝り固まった頭では思いつかない子供ならではの質問に、その道のプロたちがわかりやすく答えてくれるのだから面白くないわけがない。まさに毎回が神回である。2017年8月3日に放送された「どうしてゴリラはウンチを投げるのですか?」という質問も、思わず「へぇ~」と唸らざるを得ない理由だったのでご紹介しよう。

・ゴリラはなぜウンチを投げるのか?

質問に答えてくれたのは、旭山動物園前園長で札幌市環境局参与の小菅正夫(こすげ まさお)先生だ。確かに昔からゴリラがウンチを投げるのは知っていたが、なぜ投げるのかは考えたことがなかった。果たしてゴリラがウンチを投げる理由は何なのだろう? 

──どうして、ゴリラはウンチを投げるのですか?

「そうだなぁ。まず、ゴリラにウンチを投げられて顔に当たったらどう思う?」

──汚いと思う。

「そうだよな、イヤだよな。おじさんがいた動物園では、ゴリラは砂を投げて、チンパンジーがウンチを投げていたんだ。でね、おじさんがお客さんの様子を観察していると、チンパンジーがウンチを手にしただけで観客はワーッと逃げていくんだよ」

──うん。

「動物園のゴリラやチンパンジーは狭い檻の中に入れられて、やることがなくて退屈なんだよな。それでね、たまたまウンチを投げてみたら、お客さんがワーッと逃げていく。“なんて楽しいんだろう”って思ったんだろうな。

これならみんな(観客)と遊べるな、だってウンチさえ投げればみんなキャーキャー言って逃げていくんだから。きっとこれはゴリラにとっては楽しいことで、ひとつのコミュニケーションなんだよ」

──うん。

「しかも実はコレ、なかなか出来ることじゃないんだ。おじさんの動物園には5~6頭のチンパンジーがいたんだけど、誰もウンチを投げないの。で、あるとき他の動物園からチンパンジーがやってきたんだよ。

そしたらそのチンパンジーは前の動物園でやってたんだろうな。ウンチを投げたら、他のチンパンジーたちも “こりゃ面白い!” って一気に広がってしまったの。だからウンチを使ってお客さんと遊ぶというのは、なかなか出来ることじゃないんだよ。

あと、野生のゴリラもチンパンジーも物を投げないんだ。ウンチや砂を投げるのは動物園のゴリラやチンパンジーにとっては退屈しのぎで、そして特技なんだと思うな」

なんと、ウンチを投げるのは野生の本能ではなく、動物園のゴリラやチンパンジーだけが持つ能力だというのだ。しかもその理由が「退屈しのぎのコミュニケーション」だったとは……これは知らなかったという人も多いのではないだろうか?

この放送についてネット上では「知らなかった」「野生のゴリラは投げないのか」「ラジオからウンチが連呼されてて必死にこらえている」「質問もすごいけど、わかりやすく答える先生がスゴイな」「今日も面白かった!」……などの声が挙がっている。

なお、『夏休み子ども科学電話相談』はNHK第1放送で午前8時5分から11時49分まで放送中だ(土日はお休み)。聞き逃したという人は一部がアーカイブ放送で、またアプリ「らじるらじる」でも聞き逃し放送が聞けるから、そちらも合わせてチェックしてみて欲しい。

参照元:夏休み子ども科学電話相談 、 らじるらじる (iTunes / Google Play
執筆:P.K.サンジュン
Photo:Wikimedia Commons