セミの声も聞こえ始め、いよいよ2017年も本格的な夏が始まった。夏といえば「海」「そうめん」そしてNHKラジオ『夏休み子ども科学電話相談』である。1984年から30年以上も続く同番組は、子供の純粋な質問に、その道のスペシャリストたちがわかりやすく答えてくれる人気放送だ。

今年も『夏休み子ども科学電話相談』が始まっているのだが、7月26日に放送された「アトムは善悪を区別できますが、今のAIは判断できますか?」という質問に対する先生の答えが深いのでお伝えしたい。

・AIは善悪の区別が出来ますか?

質問に答えるのは、ロボットクリエイターで東京大学先端科学技術研究センター特任准教授の高橋智隆(たかはし ともたか)先生である。果たして子供から寄せられた「アトムは善悪を区別できますが、今のAIは判断できるの?」という質問に、先生はどう答えるのだろうか?

質問を受け、高橋先生がまず切り出したのは、

「そもそも、良いことと悪いことって何なんだろう?」

という、禅問答のような言葉。質問した子供も「わかりません」と素直に答えるところが微笑ましい。その後、先生は善悪のモロさや立場によっての差異を説きつつ「良いことと悪いことは絶対的な決まりがあるわけではない」としている。

そして質問については、以下のように回答した。

「ロボットは人間が良いことだと思ってるんじゃないかな? 悪いことだと思っているんじゃないかな? ……としか想像できません。人間が悪いことを教えると、悪い行動をしてしまうようになります。

非常に奥が深い質問で答えにくいですが、結論としてロボットは、人間の振る舞いや多くの人が考えている良いこと悪いこと、それを参考にしながら想像することができます。だけど、それは必ず正しいとは限らないし、変わっていくかもしれません」

・人間次第

要するにロボット(AI)の善悪判断は “人間次第” ということなのだろう。SF映画にあるような「AIが暴走して人間を支配する」なんて世の中も、人間の振る舞いや考え次第で現実に起こってしまう……のかもしれない。

なお、『夏休み子ども科学電話相談』はNHK第1放送で午前8時5分から11時49分まで放送中だ(土日はお休み)。聞き逃したという人は一部がアーカイブ放送で聞けるから、そちらも合わせてチェックしてみてはいかがだろうか?

参照元:NHKラジオ「夏休み子ども科学電話相談」
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼AIの善悪判断は人間次第のようだ。