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「暴力団関係者及び、日本人女性の入店お断り! 入店した場合は威力業務妨害とみなし、警察に突き出します」

こんな厳しい警告文を高々と掲げる不思議なカフェが、ラオスの首都・ビエンチャンにあるという……。日本人に恨みのある外国人経営と思いきや、マスターは正真正銘の日本人。しかも現地に住む日本人相手に商売しているそうな。

客の半分を占めるであろう女性を、問答無用で切り捨てるとは只事じゃない。一体どんな理由なのか、日本人観光客を代表して真相を調査すべく、私はラオスに飛んだ!

・国境を越えて移動する謎カフェ

ビエンチャン市内のパゴダ近くにあるという、問題の「ホワイトキャットコーヒーハウス」。ところが噂の場所にそれらしい店舗が見当たらない。近所の人に訊ねると「つぶれたよ」との返事。しまった! 遅かったか!

諦めきれず、現地在住の日本人に聞き込むと、つぶれたというのは誤りで、隣町に現存することがわかった。しかし、その隣町というのがラオスではなく、メコン川をまたいだタイ領の町、ノンカイと知ってちょっとひるんだ私。

だが、ここまで来たら行くしかなかろう。というわけで、ビエンチャンから国際バスに揺られ、1時間半かけてノンカイへ移動。

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例の店はすぐ見つかった。バスターミナル脇の煤けた商店街の片隅に「コーヒーハウス」というステッカーを貼り付けたそれらしい店があった、知らなきゃ日本人経営とは思えない、とてもシンプルなお店だった。

・マスターは噂以上の人見知り

玄関のガラス戸には「暴力団関係者及び日本人女性の入店をお断りします」の貼り紙。これこれ、これだよ……。これを見に来たんだ。

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正真正銘の日本男児である私は、カウンター、本棚、テーブルふたつ。それ以外何もないがらんとした空間に文句あっか!と侵入。すると奥から、痩せぎすの大人しそうなマスターが音もなく登場。

50半ば、タイ人にもラオス人にも見える面構え。ただ、どういうわけか彼は、とび職の人が愛用するダボダボの作業ズボン「ニッカポッカ」を着用していた。内装工事でもしていたのか!?

「い……。いらっしゃい」

本棚には古びたガイドブックや小説に混じって、コレクターが喜びそうな大昔の「ガロ」に加え、私が20年前に書いた本まで並んでいる。サブカル不毛な最果ての地で、これを読む者が何人いるのだろう。

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コーヒーのお供に、マスター自慢のフードメニュー「スパゲティミートソース(約200円)」を頂いた。給食用のソフト麺に、想像を絶する味付けのソースが絡み、ほとんど創作料理の域に達している。

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・わかったような、わからないような……

ひと息ついたところで、日本人女性を拒む理由を訊ねてみると、マスターはひと言、「やかましいから……」と自分に言い聞かせるように小さく呟き、「英語教師も入店できません」と付け加えると、さっさと店の奥に消えてしまった。

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やかましい彼女を英語教師に寝取られたのだろうか──。妄想は膨らむが、マスターはそれ以上、話したくなさそうだった。

釈然としないもやもやを抱えたまま、無口なマスターのふた言を聞くために、バスで往復3時間。来年もう一回来よう……。

Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.

▼ごくごく普通のローカル喫茶店に見えるが……th_th_1-%e5%95%8f%e9%a1%8c%e3%81%ae%e3%82%ab%e3%83%95%e3%82%a7%e3%81%af%e3%83%8f%e3%82%99%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%9f%e3%83%8a%e3%83%ab%e3%81%ae%e9%9a%85%e3%81%ab%e3%81%82%e3%81%a3%e3%81%9f

▼日本人自体、ほとんど見かけない場所だが、頑なに女性を拒んでいた
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▼中はがらんとしているが、普通といえば普通である。
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▼細い、薄い、手書きのスパゲティメニューにピンと来た
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▼外観は普通だが、生まれて初めての味。多くは語るまい
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▼40年以上昔のガロが何冊もあった。マスターのコレクション?にしては雑な……
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▼おっと、犬と英語教師も入店禁止です。ご注意を!
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