2016年9月以降、日本に出回っているオレオは全て中国産になったことはすでにお伝えした通り。「国産じゃないのか」「ヤマザキに敬意を表して、新たなリッツもオレオも食べていない。私はルヴァン派だ!」そんな声も聞かれるが、国産と中国産で味はどう変わったのか? 詳しくは、こちらもお伝え済みのレビューを参考にしてみてほしい。
さて今回取り上げたいのはオレオの表面。オレオのクリームを挟んだクッキーには、なにやらデコボコと模様が彫ってあると思うのだが……この模様がどう作られたかご存じだろうか? またなんらかの意味が隠されているかもしれないとネット上でささやかれているらしいのだ。
・1912年に発売されたオレオ
オレオの販売元である『ナビスコ』。元々は『ナショナル・ビスケット・カンパニー(National Biscuit Company)』という名前だったが、その「ナ(Na)」「ビス(Bis)」「コ(Co)」がつながって『ナビスコ』になった。
そんな『ナビスコ』がオレオを発売したのは、1912年3月。『サンシャインビスケット』が販売していたクッキー「ハイドロックス」の類似商品として登場したと伝えられている。
当初オレオとハイドロックスは、同じような味・見た目をしていたとのことで、共にクッキーの表面に花冠が描かれていた。『ナビスコ』は違いを出すために、1924年にはオレオの表面に2組のキジバトを追加。その後1952年には、オレオのデザインを一新することにしたのだ。
・新たなデザイン
『TIme』など複数の海外メディアによると、新たなデザインを考えだしたのはウィリアム・トニアという男性だったそう。彼はビスケット中央に位置する「OREO」の名前だけを残して、他は全て変えることにした。
彼がデザインを変えた主なポイントは、次の通り。
その1:多数の「花びらが4枚の花」を円に沿って散りばめる。
その2:中央の「OREO」の文字を円で囲み、その上に1本の縦線と2本の横線が交差する “複十字” を配置。
その3:「OREO」の文字の上下に小さな三角形を配置。
その4:周辺をギザギザにする。
・会社側もデザインを気に入り、新オレオ誕生!
「OREO」を囲んだ円と複十字のデザインは、『ナビスコ』のシンボルマークを少し変えたものだそう。またこれは、中世ヨーロッパに修道士たちが手書き原稿の下部に入れていたもので、“今の自分が作った最善のもの” であることを示す印だとも説明されている。
会社側は新しいデザインをたいそう気に入り、オレオを彩る新たなパターンとして採用されることになったのだった。
ちなみに本件を取り上げた『The New York Times』の記事では、1912年、1924年、1952年の3パターンのデザインを画像付きで見比べることができる。
・テンプル騎士団に関する隠しメッセージ?
現在もオレオの表面に認められるこのデザインだが、ネット上では「意味が隠されているのではないか」とささやかれてきた。
最も有名なのは、「花びらが4枚の花」が、中世ヨーロッパのテンプル騎士団が用いた十字の紋章に似ているとの説。また「複十字」も、同騎士団のロレーヌ十字であることから、「オレオのデザインにはテンプル騎士団に関する隠しメッセージが込められているのでは」と推測する声が聞かれるのだとか。
また、友愛結社フリーメイソンやドイツ軍などの十字にも似ているとの指摘も寄せられているようだ。
・ウィリアムさんの息子「特に意味は隠されていない」
けれどもウィリアムさんの息子ビルさんは、『Mental Floss』でそれらの推測を否定。ビルさんは「あの花はヤナギランです。昔住んでいた家の裏庭に生えていました。父は単純に花の見た目が好きだったんです」「父は、多くの人からオレオのデザインに何か隠れているのではないかと質問を受けることに辟易していました」などと話しているのだ。
オレオに施された “ギザギザ=90個” 、“花=12個” などの数にも、なんの意味もないそう。また「OREO」の上下に置かれた “小さな三角形” も、「すき間を埋めるために入れたのでは」とビルさんは話す。
ただ、ウィリアムさんの父親はフリーメイソンに属していたそうなので、彼がフリーメイソンのシンボルを目にし、無意識に影響を受けていた可能性もあるようだ。それでもビルさんによると、オレオのデザインに深い意味は込められていないと考えるのが妥当だという。
・正式な説明はなされていない
「オレオ」のデザインについて、『ナビスコ』が正式に説明したことはないもよう。ウィリアムさんについても「デザインエンジニアとして名簿に記録が残っている」と言及しただけで、誰がデザインを手がけたか特定できないと発表しているそうだ。
それでも、ビルさんの家には1952年版オレオのデザイン設計図のコピーが残されており、ウィリアムさんのお墓にはオレオのイラストが彫り込まれているということだ。
身近なオレオのデザインに、こんな過去や意味があるかもしれないとは知らなかった。表面をジックリ見たこともなかったしなあ……ということで、次にオレオを食べるときはデザインにも注意してみてね!
参照元:Mental Floss、Time、The Atlantic、Neatrama(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24.