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2016年6月15日、マイアミ・マーリンズのイチロー選手は、敵地で行われたパドレス戦に代打で出場し、ファーストゴロに倒れた。あと1本と迫っていた日米通算安打数の記録はお預け。日本中が待ち望んでいる歴史的瞬間は、明日以降へ持ち越しとなった。

その活躍が毎日のようにニュースで流れ、祝福ムードが高まる中で水を差しているのが、歴代記録保持者のピート・ローズ氏である。……というのも、彼は日米を合わせた記録を快く思っておらず、嫌みともとれるコメントを発しているのだ。

・嫌味発言をするピート・ローズ氏

その問題発言は、ここ数日続いている。「日本では俺をヒット・クイーンにしようとしている」「次は高校時代に放った安打もカウントし始めるのではないか」と、彼は嫌味をチクリ。どうやら、イチロー選手が日本プロ野球で放った1278本の安打を認めたくないらしい。

確かにイチロー選手の安打数は、すべてメジャーリーグで積み重ねた訳ではない。しかしながら、2001年にメジャーリーグへ移籍してから驚異的なペースでヒットを量産。シーズン最多安打(262本)も放ち、メジャー3000本安打にも迫ろうとしている。もちろん、そのスゴさは誰もが認めるところだ。

・歴史を作ったピート・ローズ氏だからこそ賞賛すべき

それにもかかわらず、なぜピート・ローズ氏は頑なに否定的なのか。ましてや、彼は4256本もヒットを積み重ねており、イチロー選手さえもまだ到達できていない世界を味わった唯一の男だ。40歳を超えて第一線でプレーすることの難しさも知っていることだろう。

怪我をしないことの大変さ、年齢の壁さえも跳ね除ける技術と精神力……その苦しさを一番わかっていることを考えると、嫌味発言は残念でならず喝。今後、破られそうにない記録が生まれようとしている今、プライドで自らをおとしめている場合ではない。

・器の小さい男ではないハズ

いずれにせよ、ピート・ローズ氏がメジャーリーグで放った4256本の安打記録は色あせることはないのだ。メジャーリーグでもっとも多くの安打を放ったのはピート・ローズ氏、世界記録の安打を打ったのはイチロー選手でいいではないか。

もっとも、イチロー選手は記録のことを気にしていないだろうが、ピート・ローズ氏には逆に「あっぱれ」と言うくらい、懐の広いところを見せて欲しい。何なら彼がセレモニーに登場するくらい大きな器であってもいいだろう。誰も彼の記録が大したことないなんて思わないのだから。

(お詫び 2016年6月16日:当初ピート・ローズ氏が「高校時代に放った安打をカウントしている」と発言したとしていましたが、「次は高校時代に放った安打もカウントし始めるのではないか」”but the next thing you know, they’ll be counting his high-school hits” の間違いでした。ピート・ローズ氏、ならびに読者の皆様に深くお詫び申し上げます。)

参考リンク:USA TODAY(英語)
執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.