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日本には「八百万の神(やおよろずのかみ)」という言葉がある。自然に存在する “すべてのモノに神が宿っている” という考え方だ。すなわち、モノには「魂」がある。乗り物が好きな人ならば、愛車が「生きている」と感じた経験もあるだろう。

もちろん衣類にも、それぞれ神(魂)は宿っている。だが、その中でも、最も強烈に魂が宿っているのが下着(パンツ・ショーツ・パンティー)なのだと、その筋の専門家は真顔で語る。さらに、“みんな知らず知らずのうちに「パンツは生きている」と認識し、行動している” というのだから驚きだ。詳しく話を聞いてみた。

・パンツ界のマエストロ(1カ月ぶり3回目の登場)

「パンツは生きている」と断言するのは、パンツ愛好家の「白い三角定規」さん(36)。変態的なパンツ者ではなく、純粋に “パンツ” が好きすぎるだけの常識的な紳士である。

氏のパンツへの造詣はペルーのコルカ渓谷よりも深く、男モノ女モノ問わず、常に “史上最強のパンツとは何か” を模索し続けているため、パンツ界のマエストロと呼ばれることも。それはさておき……

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──パンツが生きているというのは本当ですか?

「本当も何も、あなた自身も、そしてこの記事を読んでいるみなさんも、無意識的に “生きている” と思いながら生活しています

──えっ! そんな風に思ったことは……

あります。たとえば、教室やオフィスにパンツが落ちていたとしましょう。それも、くたびれたパンツ……つまり “誰かしらがはいた形跡のあるパンツ” です。つまりは、ホカホカのパンティが落ちていた、と」

──そりゃ確実に「誰のパンツだろう」と、ざわつきますね。

「ですよね? では仮に、それがパンツではなく、シャツや靴下だったとしたら……? また、使用済みパンツではななく、明らかに新品のパンツだったとしたら?」

──そこまでざわつかないかもしれません!!

「そこです。もうその時点で、他の衣類とは違う “ナニか” を感じ取っているのです」

──言われてみれば……そうですね! 明らかに反応は違います。

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「では、もうひとつ質問します。そのパンツに、マジックで「サトウ」と書いてあったとしたら……? さらに、そのサトウのパンツが、ダラ〜リと情けなく横たわっていたとしたら……?」

──さ、佐藤さんが……佐藤さん本人が、ダラ〜リと情けなく横たわってることをイメージしてしまいます! 「み、見ないでくれ……」と言っている声すら聞こえてきます!

「そこです。もう、佐藤のパンツを佐藤英典本人、すなわち “パンツを人として見ている” わけです。こんな経験は珍しいことではなく、たとえば学校のプールの時間とかでも、更衣室で誰もが経験していると思いますよ」

──ありました。確かに、そんな事件は年に一度はありました!

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「おもしろいのは、ブラジャーではここまで具体的にイメージが広がることはありません。男女問わず、ここまで “人(=魂)” を想像してしまうのはパンツだけです。それはなぜだかわかりますか?」

──な、なぜって……大切なところを……

「いいセンついてます。男女問わず、パンツは大切なところを守る布。その大切なところは、生命の誕生と直結する場所。人間、すなわち魂を生み出してしまう壮絶なパワーを持った場所……! そこに密着している布に、魂のパワーが染み付いてしまうことは当たり前のことなのです」

──もうなんか、納得するしかありません。

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「だからね、私みたいなパンツ愛好家は、パンツを見ているのではなく、言い換えれば “魂” を見ているわけです。八百万の神を感じているわけです。それはそれは、尊いものです。

ゆえに、チラリと見えたら「ありがとうございます」と手を合わせたくなるし、神様に対しても「ありがとうございます」と感謝の気持ちが抱くのです」

──たしかにパンツが見えたら「ごちそうさまです」という気持ちになります。

「世界的に見ても、日本人は古来から特に変態という話もありますが、これまた日本独特の考え方 “八百万の神” に通じているわけです。擬人化なんて、まさにそれです。人ではないモノから魂を感じ、パンツからも魂を感じるのです」

──その後も白い三角定規氏は、次から次へと「パンツは生きてる説」を語り続けていたが、キリがないので割愛したい。なお、彼は最後に「なぜパンツ泥棒や盗撮が罪なのか」についても力説していたが、いつの日か、その話も聞いてみようと思う。

協力:パンツマエストロ・白い三角定規
Report:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.