この春、公開された映画『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ』。2016年に公開された映画のなかでトップの世界興行収入記録と、文句なしに大ヒット中だ。主演のクリス・エヴァンスの筋肉には思わず見とれてしまう!
それはさておき……この世には『キャプテン・チャイナ』という漫画が存在するのをご存知だろうか? 文字通り中国のキャプテン。キャプテン・アメリカっぽい中国のヒーローなのだ!
・空前絶後の共産主義ヒーロー!
『キャプテン・チャイナ』、中国語だと『中国隊長』。彼は、1960年前後に毛沢東が行った「スーパー人類計画」により誕生した戦士で、50年の眠りから覚めて……って、うわぁぁぁ! どっかで聞いた話やん!!
その姿を確認してみると、こ、これは!? アメコミヒーローばりのムッキムキの体に、真っ赤なヒーロースーツ。胸にはもちろん、5つの星が輝いている。直視できないくらいに中国国旗! 空前絶後、文句なしの共産主義ヒーローなのだ!
・実際に読んでみた → 笑った
そんな『キャプテン・チャイナ』の第1話は、50年の眠りから目覚めるシーンから始まる。毛沢東時代のままで時が止まったキャプテン・チャイナは、完全に困惑気味だ。
「もう時代が違うんだよ。この国はもう資本主義に入ってるからね」と言い含められつつも、反抗するキャプテン・チャイナ。そんななか、訪中予定の米国大統領の暗殺計画が判明! 阻止できるのはキャプテン・チャイナだけ!! でも肝心の本人の心は……米大統領の命は!? という話である。
Kindleストアでも英語&中国語のセットが販売されているので、気になる人は是非実際に読んでいただきたい。実際に読んでみて、サブタイトルの「偉大な共産主義ヒーロー」、なのにガチのアメコミスタイル、そして必殺技の「レボリューション・キャノン(革命砲)」には笑った。
・最初はギャグ漫画の予定だった
作者のひとりであるチー・ワンさんは、フロリダを拠点に活動するコミックアーティストだ。『キャプテン・チャイナ』は当初、ギャグ漫画の予定だったという。しかし、2009年に上海を訪れて、その気持ちが変わる。米国以上の発展を遂げつつも、米国とは異なる歩みを見せる中国に衝撃を受け、方針を転換させたのだとか。
こうして「アメコミ風ヒーローが共産主義と資本主義が混じり合った舞台で活躍する」という作風が決定したとのことである。ちなみにワンさんの漫画人生はマーベルや DC でのインターンに始まるそう。マーベルでは今でもアーティストとして関わっているようだ。
道理で本場仕込みの作風なわけだ! ワンさんの思いを見る限り、ただのパロディではなさそう。現在、5巻まで発表されているが、今後、『キャプテン・チャイナ』がどんな展開を見せるのか楽しみである。
参考リンク:Amazon『キャプテン・チャイナ』、Excel Comics、Linked in(英語)、ぴあ映画生活
執筆:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.
▼毛沢東の「スーパー人類計画」によって誕生したキャプテン・チャイナ(中国隊長)
▼「世界の偉大な共産主義ヒーロー!」らしい
▼ストリートファイターのベガっぽい
▼素顔はこんな感じ
▼2巻では新キャラも登場だ
▼Kindleでは「English Edition」と紹介されていたが、買ってみたら中国語版も同梱されていた