どんなに友好的と言っても、国同士の外交とは、やはり腹のなかの探り合いではないだろうか? いま、ある国家元首の腹のうちがチラリと漏れてしまったと騒動になっている。
なんと英国のエリザベス女王が、中国の習近平国家主席ご一行が「とても無礼だった」とつぶやいたというのだ。これを英国メディアが報じると、中国メディアも応酬。ちょっとピリっとした展開になってしまっているという。
・英国女王が中国訪問団に不満?
イギリスBBC中文版によると、エリザベス女王の “本音” が漏れたというのは2016年5月10日の園遊会。ロンドン警察のルーシー・ドルシ氏との会話でのことだ。
ドルシ氏は、2015年に習近平夫妻が英国を訪問した際に警護を担当したそう。それを聞くとエリザベス女王は「まぁ、運がなかったこと」と切り出したのである。その様子はしっかりと映像に収められている。
その後、2人は当時の話をしたというが、ドルシ氏によると警護の任務を中国サイドに妨げられたらしい。彼女はそれを「厳しい試練でした」と振り返っている。女王は「知っています」と話し「彼らは(駐華英国)大使にも無礼だったわね」と続けたのだとか。ドルシ氏も「本当に非礼でした」と同意したという。
・中国メディア「西洋メディアはゴシップ狂で野蛮でナルシスト」
ここ数年、英国と中国の関係は「黄金時代に入った」と言われていただけあり、この女王の発言は注目されることに! 世界に広まり、もちろん中国にも伝わった。すると、中国共産党機関紙の国際版である『環球網』が激しくお怒りの社説を発表したのだ。
その社説のなかで「西洋は近代以来、輝かしい文明を築いてきたが……」とした上で、今回の報道を “ゴシップ狂”、“ナルシスト”、“野蛮” という言葉を並べ批判。
そして、最後に「しかし、同時に我々は信じている。東方5000年の文明との交流のなかで、彼らが進歩してくれることを」と締めくくっている。この “東方” とはもちろん中国のことだ。
・中国外交部「訪問は大成功だった!」
この騒動を受け、中国外交部の定例会見ではエリザベス女王の言動についての質問が相次いだそうだ。中国外交部は「訪問は大成功だった!」とコメント。習近平夫妻の訪問が、中英の黄金時代を新しいステージに押し上げた、と認識しているとのこと。
英国サイドも「女王の私的な会話についてコメントする立場ではない」とし、「訪問は大成功だった」と発表しているそうだ。なんだか、場外だけがブチ切れしているようにも見えるが……やはり、腹のなかを決して見せないのが外交なのだろう。
参照元:YouTube、BBC中文網、環球網、多維新聞(中国語)
執筆:沢井メグ