きょう4月20日は大麻の日……らしい。「マリファナデー」や、「大麻解放の日」とも呼ばれているらしいのだが、詳しいことは “あの人” に聞くのが間違いないだろう。
ということで今回も、「バレンタインデー」や「あんぱんの日」に聞いた時と同じく、危険ドラッグに警鐘を鳴らしまくる正義のドラッグ事情通・ボブ麻亜礼(ぼぶまあれい)氏に、大麻についての思い出を聞いてみることにした。ボブさ〜〜〜ん!
──突然ですが、今日は大麻の日です。
ボブ「えっ! タイマーの日? タイマーつったら、iPhoneのタイマーはよく使う……」
──いいえ、時計のタイマーではなく、ボブさんの大好きな大麻です。
ボブ「えっ! ヘンプの日?」
──いいえ、繊維とか洋服とか、着たりする方のヘンプ(HEMP)ではなく、キマる方のカナビス(CANNABIS)です。
ボブ「えっ! 北海道江別市の大麻(おおあさ)? 大泉洋の出身地らしいけど、北海道の大麻のこと?」
──そろそろウザいです。大麻(おおあさ)ではなく大麻(たいま)です。もちろん、北海道の大麻についても聞きたいと思いますが……わざと間違えないでください!
ボブ「すごい昔、北海道産の大麻を知人からもらったことあるけど、種がデカいよな」
──そうです。その大麻です! やっと調子が出てきましたね!!
ボブ「ちなみにアメリカとかで『420』って数字は大麻を意味するスラングらしくて、毎年4月20日にはマリファナを吸って祝うらしい。
由来は諸説あり、アメリカの警察無線における大麻系事件の交信コードが “420” という説や、1970年代にアメリカの某高校の生徒たちが午後4時20分に銅像前に集合して大麻を吸っていたから……という説がある。
いずれにしても420。よって、今日4月20日はマリファナデーというわけだ」
──知ってんじゃないですか! しかもメッチャ詳しいじゃないですか!!
ボブ「まあ、でも俺、アメリカでは吸ってないから、アメリカを語る資格はないよ」
──じゃあ、どこの国なら語る資格あるんですか?
ボブ「タイ、カンボジア、ラオス、ベトナム、中国、ネパール、インド、スリランカ、バングラデシュ、エジプト、ケニア……くらいかな」
──いろいろ行ってるんですねぇ! まるで『世界の果てまでイッテQ!』みたいな!
ボブ「俺の場合は『スッテQ!』だけどな……」
──それはいいとして、中国でも売ってるんですか!!
ボブ「あるよ。雲南省は楽勝だな。大里(だいり)とかな。おばちゃんが声かけてきて、家にホイホイ付いて行くわけだ。そしたら、寝室に少数民族の衣装を着たおばーちゃんが寝てた。何族だか忘れたけど、少数民族の家でな。
んで、『お客さんか……』みたいな会話してたら、おばーちゃんのベッドの下から大麻がコンモリ入ったバケツが出てきた。そこかよ! ってな。すごいワイルド。バケツだぜ?
で、買って部屋に戻って吸ってみたけど、あんまりキマらなかった。でも、いろいろな取引の中でも、一番のどかな取り引きかもな。いかにも大里って感じで」
──いきなり饒舌(じょうぜつ)になりましたね。
ボブ「エジプトは最悪だったな。真夜中のカイロ、誰もいない裏路地みたいなところで、頭のおかしいプッシャー(麻薬の売人)と取っ組み合いのケンカになったんだ。
ケンカの原因はガンジャ(大麻)の価格なんだけども、向こうはオレのことを日本人だからってナメてきたから、俺も意地になってチンピラみたいに虚勢を張って。
結局は俺が勝ったけど、その後、そのプッシャーまじでクレイジーだから、街で会う度に『こいつは大麻を買いました〜!』って大声で叫ぶんだよ。超めいわく。
で、ネットカフェの店員さんに聞けば、街でも有名なウザいやつらしく『かかわらないほうがいい』って言ってた。エジプトのカイロは、そんなクソみたいなプッシャーが多いから要注意だ。あとな、カイロはマジで詐欺師が多いので要注意な」
──ふつうの人は、プッシャーとは接触しません!
ボブ「そうか。俺は必ず接触するけどな。彼らの情報力はハンパない。仲間にしたら百人力だぜ? いろんなことの裏側を知ってるヤツからネタを収集するのが、昔からの俺のスタイルだから」
──ある意味、2つのネタをゲットするわけですね。
ボブ「まさにそうだな。インドとかでも、必ずその街のプッシャーと接触するようにしてる。飾り気のない、リアルなインドの日常風景も見られたりするからな」
──麻薬の売人って時点で “日常風景” ではないような気もしますが……
ボブ「いいや、そんなことはないよ。麻薬の売人だって街人だよ。そこに生きてる現地人だよ。おれ、いろいろあって麻薬の売人の家にまで行ったことがあるよ」
──売人との思い出話を語り始めたらノリノリになってしまったボブ麻亜礼氏。とりあえず今日の『大麻の日』の詳細が聞けただけでも、今回の人選に間違いはなかった。
ちなみに、話の続き「インドのプッシャー編」は次ページ(その2)に掲載するが、興味のある人だけ読むようにしよう。また、日本には大麻取締法があるので要注意。ボブさんいわく「海外でやれ。できれば合法の国に行ってやれ」とのことである。
執筆:GO羽鳥
協力:ボブ麻亜礼
Photo:RocketNews24.
【大麻の日】マリファナについての思い出をドラッグ事情通に聞いてみた(その2)
──で、ボブさんがインドで目の当たりにした “リアルなインドの日常風景” とは?
ボブ「場所はバラナシ(ワーラーナシー)。ガンジス河での沐浴が有名な、あのバラナシ(ヴァラナシ)だ。めっちゃ普通のオッチャンが、俺に「最高のネタがある。ガンジャもハシシもある」って声かけてきたんだ。価格は忘れたけど、やや高め。
かなり気になる話だったけど、やや高いから、当然のごとく俺は「そんな値段じゃ買わねえよ。半額以下にしろ」って交渉した。言い値じゃ買わない。当然だ。
ふつうだったら、ネバりにネバって半額くらいで落ち着く。でも、このオッチャンはビタ一文負けようとしなかったのよ。「マジで最高級のネタなんだって!」って。さらに「俺を信じろ!」って。俺は「信じられねえよ!」って」
──行ったら “人生観が変わる” とも言われるヒンドゥー教の聖地で「信じる信じない論争」ですか。
ボブ「そしたらオッチャン、「どうすれば俺の話を信じるんだ!」ってキレ始めたから、俺も逆ギレしながら「取り引きはおまえんちだ! 今すぐ、おまえんちに連れて行け! そしたら半額で買ってやらあ!!」って言ったところ、「じゃあ来い!」って」
──すごいハイテンションなラリー! それにしても、家に入れてもらうのに半額とか鬼ですね。
ボブ「で、お互い無言でバラナシの小道を歩いて、「ここだ……」と、オッチャンの家についたわけよ。そしたら、なぜかオッチャン、やや緊張してるの」
──勢いで「じゃあ来い!」つったけど、後悔してるっぽいような?
ボブ「そうそう。言わなきゃよかった的な。でも、じゃあ入ろうってことになって、オッチャンが「ただいま〜」みたいな感じで、一緒に家に入ったわけよ。そしたら!!」
──そしたら!?
ボブ「オッチャンのヨメさんが、すっごいたくましい体型……まあアンコ型のインド人女性が、開口一番「なんなの! あんた、何いきなり観光客を連れてきてんのよ!!」って烈火のごとくブチギレてさ!
狭い部屋で。2部屋しかないような。でも、その中に、ちびっ子も4人くらいいて、ワーワーやってて。「ナマステ〜!」みたいな感じで、遊んで遊んで的に集まってきて。
で、オッチャンは「こらこら、あとで遊んであげるからあっち行ってなさい!」って怒ったりしつつ。それを見て、ヨメさんが「遊んであげなさいよ!」とか怒って。もうなんだか泣きたくなるような生活感あふれる修羅場でさ」
──超リアルなインド人の家!!
ボブ「んで、相変わらずヨメさんは激怒ってるんだけど、オッチャンは「うるせえ! 仕事だコノヤロー!」とか応戦しつつ、俺に「こっちだ!」って狭い寝室に招き入れてくれて。
タンスがあって、その中にヨメさんのサリーとかが、着物みたいに畳んであって。そのサリーの一番下に、ビニール袋に入ったブツが隠されてて。もしガサ入れされても、ヨメさんの洋服タンスとか物色しにくいからなのかなぁ〜なんて思ったり」
──やっぱりインド人の売人でも、隠し場所には気を使うんですね。
ボブ「で、奥の部屋では、まだヨメさんが料理しながら「はやく帰らせなさいよ!」みたいな感じで激怒してて。やっぱりカレーの香りがしたなぁ。
いっぽう、オッチャンは「ブツのニオイをかげ。グレイトだから」とか言ってて。ためしに嗅いでみたら、マジですごい。チョー新鮮。オッチャンの言葉にウソは無かった。
で、ここまでしてくれて半額じゃ申し訳ないな……と思ったから、俺は「買うよ。さっきの言い値でいいよ」つったんだけど、逆にオッチャンは「半額でいい。お前は、半額で買うと言った」と、決して最初の額では売ろうとしないわけ」
──えっ! なんだかよくわからないけど美談になってる!!
ボブ「いいよ、払うよ。いいや、そんなにもらえない……みたいな、インドあるまじき値上げ合戦がしばらく続いて、結局は半額チョイで折り合いがついたんだけども、なんか、インド感が変わったね。
約束は守る、みたいな。“家に招き入れたら半額” の条件だから半額なんだ、と。曲がったことは許さない的な。なんだかよくわからないけど、武士道的な。インドにも、いろんな人がいるんだなぁって」
──麻薬の取り引きしてるだけなのに、なぜか感動で目頭が熱くなってきました……!!
ボブ「ちなみにブツは、まさに “最高のネタ” だった。でも、俺としては、このプッシャー親父との取り引きで経験したことも、ブツと同じく “最高のネタ” だった」
──ある意味、2つの最強ネタをゲットできたわけですね。
ボブ「まさに。インドのリアルな光景も見えて、ある意味、人生観が変わったね」
──さすがはバラナシ! 話は尽きなさそうですが、今後のボブさんの目標とかってありますか?
ボブ「そろそろオランダとジャマイカあたりは攻めたいけど、最近気になってるのはパナマ文章で有名なパナマだね」
──パナマ文章!! それはどうして?
ボブ「なんでも、パナマには『パナマレッド(Panama Red)』っていう、赤い大麻があるらしいんだ。写真で見たけど、とてもキレイだったな。効き目もキョーレツらしいから、いつかは試してみたいと思ってるよ」
──とのこと。なお、ボブ氏は最後に「日本で大麻やって捕まるほどバカバカしいことはないから、日本ではやめとけ。だから俺は、海外に行くんだ。でも、海外でも気をつけろよ。下手すりゃ死刑だから」と真顔で話していた。皆も私も、気をつけよう。
執筆:GO羽鳥
協力:ボブ麻亜礼
Photo:RocketNews24.