秋葉原と言えばアニメの聖地! メイド喫茶が軒を並べる萌え萌えキュンキュンな街……というのはここ10年くらいの話。元々は超硬派な電気街だ。部品屋に積み上げられた商品は、素人にはわからない宝の山。一種独特の雰囲気が好きだという人も多いだろう。
そんな「電気街・秋葉原」の老舗がまたひとつ消えることとなった。電子工作マニアならば知らぬ者はいない、あの『鈴商』が……2015年11月29日をもって閉店するというのだ。公式サイトには以下のように発表されている。
・『鈴商』が閉店
「営業のご案内
11月29日にて店舗営業は終了します。12月より通信販売のみ営業になります。(公式サイトより引用)」
……えらいアッサリしてはりますなぁ! これがアキバの部品屋らしいと言えば部品屋らしい。しかしこの普段通りのクールさに、かえって何かがこみあげてくる。この悲報について、鈴商ユーザーに話を聞いてみたところ、以下のようなコメントを得ることができた。
・鈴商ユーザーの声
「悲しい。初めて行った時は、ちゃんと調べてから来てねと、まさかの退店宣言。ただ通う度に、何かしらの電気関連知識が得られる良店だった。多くを学ばせて頂きました」
「ロジックICは鈴商で買うという俺の秋葉原ルーティーンが……」
「千石が店舗を増やし、秋月が店内の模様替えをする時代の中で、旧秋葉原の部品屋を感じられるお店の一つでした。寂しくなります」
「大学での実験に必要な部品を購入するために、よく行かされました。その歴史に敬意を払っておりました」
「初デートは鈴商。理系男子っぷりを見せつけようとして来店するも、逆に店員にやり込められたのは良い思い出。そして黒歴史」
・厳しさに触れられるのは11月29日まで
アキバの古き良き店はこうなのだ。勉強してから行かないと、モノを買うことさえ許されない。だが、その厳しさこそが多くの電子工作マニアを育てたと言っても過言ではないだろう。
店舗は30年の歴史に間もなく幕を閉じる。完全に通販に切り替わるとのことで、店自体が消滅するわけではないが、またひとつアキバの景色が変わることはやはり寂しいものだ。泣いても笑っても11月29日(日)まで。あの厳しさに触れたい人は、鈴商にGOだ。
参考リンク:鈴商
執筆:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.