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ウマいそば屋を求めて色んな街を放浪する「立ちそば放浪記」。以前、絶対に「ごちそうさま」と言ってしまう男のそば屋をご紹介したが、今回もそれに勝るとも劣らない男のそばである。いや、むしろ男に寄り添う女……、“夫婦(めおと)のそば” と言ったほうがいいかもしれない。

やってきたのは東京・水道橋。駅前の橋の上から、はるか下を通る中央線を見るたびに私(中澤)は上京してきた10年前のことを思い出す。ぽっかり口を開ける空、遠くに立ち並ぶ高層ビル、そして、はるか下に流れる川と何本もの線路。

当時はこの立体的な風景に、どこか突き放されるような “都会っぽさ” を感じて圧倒された。しかしながら、東京にも慣れてくると、当時は感じられなかった人の営みに溢れていることに気づく。満員電車も、足早な人の群れも、結局みんなこの街に負けないように懸命に生きているゆえなのだ。

そして、今回ご紹介するそば屋は、そんなこの街の人の営みを感じる “口コミ” によって知らされた店である。始まりは、ロケットニュース24編集部に届いた一通のタレコミだ。

お名前: N.E子さん
立ちそば放浪記で、水道橋の『とんがらし』が安くてお勧めなので
ぜひ取材してきてほしい。
まさにボリュームは男のそばだと思う。
中澤星児さんよろしくお願いします♪

リクエストページもないペーペーの私にわざわざお便りをくださりありがとうございます。N.E子さんのおかげでこの連載を続けていこうという勇気が湧きました。好きです。結婚してください。ということで、N.E子さんオススメの『とんがらし』に行ってみたぞ! 初めての共同作業だ!

・店主と女将のコンビネーション

店の前に着くと、結構な行列ができていた。この街の人達に愛されている店であることを再度確認する。店主と思われる男性は、奥でひたすら天ぷらを揚げ続け、女将(おかみ)は、注文を聞きながらそばに天ぷらを乗せていく。この二人が夫婦かは定かではないが、このコンビネーションは夫婦並だ。

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・メニューの2倍えびを乗せる女将

私が注文したのは盛り合わせそば550円。メニューに書かれた天ぷらの内容を見ると、いか、えび3個、なす半分とのことだったが、実際出てきたそばには、えびが6個くらい乗っていた。メニューの倍のえびを乗せているにも関わらず、平然とした顔の女将。なんだこの大盤振る舞いは!? 今日は結婚記念日か何かなのか!?

・見た目も豪華な天ぷら祭り

天ぷらは注文を聞いてから揚げているため、衣がカリっとした揚げたてほやほや。そんな天ぷらが、有名チェーンの天丼よりも多く乗っている。店内の張り紙を見ると、14時30分から天丼もやっているらしい。むしろ、この店は天丼屋なんじゃなかろうか?

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食べても食べても終わらない天ぷら。そこに寄り添うようにそばがある。そう……、まるで亭主関白の夫(天ぷら)に寄り添う妻(そば)のように!

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・やはり盛り合わせそばが人気

お昼時を少し過ぎた時間だったが、店内は賑わったままだ。盛り合わせそばを頼む人がやはり多い。今度来店する際は、天丼も頼める時間に来ようと思う。水道橋近辺のハングリー精神溢れる若者の昼食に是非お勧めしたい。

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・今回訪問した店舗の情報

店名 とんがらし
住所 東京都千代田区三崎町3-2-10 池本ビル 1F
営業時間 月曜日~木曜日 11時15分~15時45分 17時10分~19時00分、金曜日11時15分~15時45分、土曜日11時20分~14時20分
定休日 日曜日

Report:立ちそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼西口改札を出て、ホテルメトロポリタンエドモントの方向へ
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▼この太い通りを真っ直ぐ進むと……
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▼5差路に出るため、右手前の路地に入る。目印は「トランクルーム」の看板
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▼路地に入ってすぐ左手の青看板が『とんがらし』
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