作家にとって、紙を使わない「電子書籍」は、未来につながる唯一の希望である。出版社から「出版不況のご時世ですので、ウチから出版することはできません!」と言われても、自ら電子書籍にまとめ、自らの力で売りだすという道が残っているのだ。
だが、その道は果てしなく険しい。いざ電子出版したものの、8冊しか売れなかった──という知人も実際に存在する。告知不足? それとも……? ともあれ、その作品の存在を知ってもらうには、どこかで宣伝するしか道はない。
ネットでダウンロードをする電子書籍なのだから、一般的に考えたらネット告知がセオリーだ。だがしかし……! つい昨日、私(筆者)が目の当たりにした宣伝方法は、まさしく盲点! 目からウロコが落ちるレベルの、驚くべき方法だったのである!
・普段ならゴミ箱直行のチラシの中に……
つい昨日の深夜。やることが多すぎてハゲアタック後編にも手を付けられない状況が1カ月以上続いていたものの、昨日の定例ミーティングで「突撃日」が決定し、ホッと一安心しつつもヘトヘトになりながら下高井戸の自宅に帰宅した私。
いつものように郵便受けを確認すると、ピザ屋や不動産のチラシが入っている。それらはグワシとつかんでエレベーター脇のゴミ箱にダンクシュート。ちょっと怪し気なマッサージのチラシ(名刺サイズ)は、しばし熟考してから断腸の思いでゴミ箱へポイ。
・極太マジックで『少子化打破』
そして残った1枚のチラシに……私の目は奪われた。なんてことはないA4サイズのコピー用紙に、極太マジックで『少子化打破』と力強く「タ イトル」が書いてある。とてつもなく怪しい……いや、妖しいオーラが漂っていた。
さらにその上には、これまた独特な手書き文字で「電子本・最重要問題・販売中」と書いてあり、「アマゾン・キンドルストアと楽天KOBOストア」にて、「250円」で販売されているとのこと。さらにさらに、写真付きで著者名も書いてある。
・ITの最先端を行ってるナカキン(87)
中野金次……なかのきんじ、と読むのであろう。見るからにおじいちゃんであるが、すぐに私は「ナカキン」と心の中で命名していた。後の調査によると、ナカキンは昭和3年生まれの87歳。そんな高齢の大先輩が、ITの最先端である電子書籍を作っているという事実に、作家の端くれでもある私はショックを受けた。俺は一体、何をやっているんだ、と。
さらに、この「チラシで電子書籍を宣伝」という、ありそうだけど誰もやらなかった手法にも、脳天に稲妻がズガーンと落ちるほどのショックを受けたのであった。ネットなのに、チラシをポスト。さらに手書き。しかも、チラシのデザインがインパクト大! 明らかに怪しいが、逆に興味をそそられる……ナカキンデザイン、マジやばい!
・さっそく購入してみた!
もう疲れなんてどこかに吹っ飛び、私の心はナカキン率100%、一体どんな内容なんだ『少子化打破』とワクワクしつつ、Amazonの「Kindle」で検索してみると──
ねえっ! ないよっ! 中野金次で検索しても出てこねえええええっ!! ……とTwitterやらで騒いでいたら、数々の知人から「ありますよ」との情報が。どうやらAmazonや楽天KOBOストアで検索したら出てくるらしく、実際にドーンとヒットした。
だがしかし、ヒットした電子書籍『少子化打破』の表紙画像を見てみると……これまた私の心をグラグラと揺らしまくる、誰もが「予想外」と感じるであろう驚愕のデザインだったのである! どんな表紙なのかは次ページ(その2)へGOだ!
参考リンク:Amazon『少子化打破』
Report:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
この発想はなかった! 驚愕の方法で自らの電子書籍を宣伝する87歳のおじいちゃん作家がスゴイ!!(その2)
めっちゃキレイ。整っている。一体全体、あの手描きチラシは何だったんだ……と思うほどに、ちゃんとしている。電子書籍なのに「帯」まで付いている始末だ。
もしかしてナカキン、本当はデザインの猛者なのに、あえてインパクト重視で「マジック&手書き」という “手作り感満載” の手法を使ったのでは……と推理してみると、諸葛孔明レベルの「かなりの策士なのでは?」とまで思ってしまう。やるな、ナカキン!
・実際に買ってみた!
ともあれ、迷うことなく250円でポチっと購入。送信先をKindleにして、いざ「少子化問題が叫ばれる中で、 現代を築き上げた80代の著者が、現代の日本社会についてもの申す! 電子書籍として自信の考えを綴り、満を持して出版!」と、内容紹介の時点で誤字っているような気もする『少子化打破』の世界へ……行ってみた!
……が、あっという間に読み終えた〜!! よくよく電子書籍の情報を確認すると、全24ページだったのでサクッと読み終えるのは当然といえば当然なのだが、まるでジェットコースターのようにナカキン節が炸裂しまくり、「ハッ」と思ったら終わっている……というような感じである。
ちなみに、どんな内容なのかは実際に購入して確認してほしいのだが、あえて印象に残ったことだけをAmazonレビュー風に書いてみると……
「前立腺から痔の話になり、和田アキ子の『あの鐘を鳴らすのはあなた』の性的解釈までをもジェットコースターのようなスピードで一気に綴るという狂気の傑作」
──といった感じである。おそらく、“もはや精力剤” とも言われている、『眠眠打破』の強烈版『激強打破』を飲みながら『少子化打破』を書いたのでは? と私は勝手に予想している。とにかく精力絶大の内容だ。
また、開始早々 “下高井戸” の地名が出てきたあたり、おそらくナカキンは私のご近所で、やっぱり自らの足で配ったんだなぁ……と思ったりした。ナカキンすごい。本当にスゴイ。こんな精力的なおじいちゃんに、私もなりたい。
・ナカキン直配布なら価格も妥当か
ボリューム的に250円という価格はチト高い気もするが、“87歳のナカキンが自らポスティングしている” という事実を考慮すると、妥当な値段なのではないかとも思う。なお、ナカキンはチラシ配布だけではなく、ポスティング中に「すれ違う人に声をかけて宣伝する」という、ダイレクトすぎる宣伝も行っていることが判明した。
電子書籍しかり、LINEのスタンプしかり、デジタルな商品は山ほどある。それらをPRするには「ネットしかない」と思い込んでいた私にとって、ナカキン式は「その手があったか!」なのであった。発想が柔軟でないと思いつかない。事実こうして私がナカキンの事を書いているということは、宣伝として成功しているということなのだから。
参考リンク:Amazon『少子化打破』
Report:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
▼すべてはここから始まった
うちの郵便受けに、なんかヤバそうなチラシが入ってた。ポスティングで自らの電子書籍を宣伝するとは……中野金次、デキるヤツ! 著者写真がどう見てもおじいちゃんなんだけど、逆に最先端いってる気がした。検索して、買う! pic.twitter.com/e6C2CUIAeg
— GO羽鳥 (@olymposgo) September 2, 2015
▼見れば見るほど美しいナカキンデザイン
▼デザイナーとしてもリスペクトできる存在だ
▼ものをパクるということをしたことは一切ありません
▼ハゲアタック、もう少しお待ちくださいm(_ _)m
@norapod 本日の定例ミーティングで決行日が決まりました。ここ1ヶ月忙しすぎて身動きとれず、お待たせしまくってて申し訳ない限りですm(_ _)m
— GO羽鳥 (@olymposgo) September 2, 2015