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【本人降臨】海外『自殺防止ホットライン』の相談員が「仕事内容についてお答えします」と質問受け付け / その質疑応答39選がコチラだ!

2015年7月25日

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強い孤独や不安を抱えた人が、電話で悩みを打ち明けることができる場所と言えば……そう「いのちの電話」などの自殺防止ホットラインだ。でも一体どんな人々が、電話の向こうで話を聞いてくれるのだろう?

その答えが今回、海外サイト Reddit にて見つかった。なんと海外の「自殺防止ホットライン」非営利団体にて相談員ボランティアとして働く女性が「なんでも聞いてね!」と質問を募集したのだ。ということで厳選した39の質疑応答の模様をお届けしたい。

Q1:電話に出た後、どんな風に会話をすすめるんですか?
A1:まずこちらの名前を名乗ります。相手の名前は無理には聞き出しません。そして、電話してきた理由について質問します。その後、自殺願望があるかも聞き、「ある」という返事がかえってきたら、そのことについて話します。また自殺未遂経験があるかなども質問します。

その後も色々と質問をして、相手の状況や気持ちなどを聞いていきます。相手にたくさん話してもらえば、私たちは相手の背景をもっとよく知ることになり、その人にあった解決方法を探ることが出来ます。

Q2:何度も電話をかけてくる人っていますか?
A2:私たちの「自殺防止ホットライン(以下、ホットライン)」にかかってくる電話の多くが、リピーターによるものです。1日に10回も電話をかけてくる人もいますよ。

Q3:男女、どちらからの電話が多いですか?
A3:正確なことは分かりませんが、私の経験から言えば、女性の方が少し多い気がします。一般的に、男性は女性に比べて、他者に救いを求めない傾向にあると言われています。

Q4:相手の命を救えなかったことがありますか?
A4:ホットラインにかけてきた時点で、すでに私たちは半分 “勝っている” ことになります。なぜなら死にたくないから、人々は私たちに電話をかけてきているからです。

けれども私たちとの会話の最中に「死」へと気持ちが変わり、命を絶ってしまう人もいます。私にも「死んでしまったかもしれない」相手が1人います。ある女性が「自分の体を深く切りつけた。腕から血が流れている」と言い置いて、住所も何も言わずに電話を切ってしまったんです。彼女のことは、今でも頭から離れません。

35年のキャリアを持つ同僚は、1人だけ電話中に命を絶った人間にあたったことがあるそうです。

Q5:電話の向こうの相手が、あなたとの会話中に自殺行為を始めたらどうするんですか?
A5:とても稀ですが、「一人で死にたくないから」といった理由で、電話をかけながら自殺を試みる人は存在します。でもそれは、私たち相談者の心の傷になりかねません。

なのでそういった電話を受けたときは、こちらから切るように指導されています。もちろん切る前に「あなたを助けたい。助けられるのなら、出来る限りのコトをする」と告げますが、もしも助けさせてくれない = そのまま自殺するのなら、受話器を置きます。

Q6:なぜ、ホットラインの相談員ボランティアになろうと思ったんですか?
A6:2つ理由があります。1つは、人を助けることが好きだから。もう1つは、スクールカウンセラーを目指しているので、その経験を積むためでもあります。心の病を抱える10代〜20代の若い人たちは多いんです。

Q7:この仕事をやっていて、気分が落ち込みませんか?
A7:そうですね、気分が落ち込みがちな仕事でしょう。けれども、私が所属するホットラインの団体には、しっかりとしたサポートシステムが備わっています。私たちには2人のコーディネーターがついており、気分が落ち込んだときや、誰かと話したいときなどは、どんな時間でも彼らに電話していいことになっています。

また気分転換も大切です。難しい相手から電話がかかってきた後など、同僚とよく話して、気分を落ち着けています。それでも個人の性格も大きいですね。中には繊細すぎて、トレーニングの時点で辞めていく人もいます。

Q8:傷ついた人々と、どう接すればいいですか?
A8:相手の気持ちを肯定してあげてください。ホットラインにかけてくる大勢の人々が、絶望や不安と闘っています。彼らは、自分だけが変なのではなく、他の人も同様の感情を抱いていると確かめたいんです。

Q9:忙しい時間帯はいつですか?
A9:平日の午後6時〜10時と休日の午後11時〜午前3時が、最も忙しいです。

Q10:どういった理由が、人々の自殺を思いとどませるんですか?
A10:人によって違います。私が話したある女性は、3人の子供のために自殺を思いとどまりました。またある男性は、自分が育てているサボテンを枯らさないために、生きる道を選びました。人によって、全然違うんです。

Q11:相手に言ってはいけない言葉などありますか?
A11:マニュアルでは、「分かります」という言葉はなるべく避けるように定められています。なぜなら、私たちは相手のことを何一つ知らないからです。相手がどのような人生を送ってきたのか、全く分かりません。「分かります」なんて言ったら、「お前になにが分かるんだ!」と相手の反発心を招きかねません。

私たちにできるのは相手に寄り添って、「自分が抱えているのは、普通の感情なんだ」と実感してもらうことだと感じています。

Q12:1日にどれくらい電話がかかってくるんですか? また、今すぐ自殺しそうな “とっても深刻” な電話の頻度は?
A12:私は1回3時間のシフトに入っていますが、“とっても深刻” な電話が2〜3本。“普通の状態” でかけられてくる電話が4〜5本といった感じですね。

Q13:イタズラ電話ってかかってきますか?
A13:1日に1〜2本くらいかかってきます。その大半が、子供や若い人たちが、友人と一緒にやっているようです。イタズラ電話だと分かった時点で電話を切りますが、ある時は20分間も会話をしていたことがあります。

イタズラ電話は、とても嫌なものです。怒りすらこみ上げてきます。でも「そちらにスタッフを派遣しますね」と言えば、相手はバレるのを恐れてあわてて電話を切るんですよ。

Q14:「自殺する」と言うだけの人もいますよね? そういう人にイライラしますか?
A14:私はそうではありませんが、イライラしてしまう相談員もいるかもしれませんね。でも私たちは、どの電話も真剣に対応します。

Q15:「自殺することは、“痛み” をとめるのではなく、やり過ごすだけ」という言葉を聞いたことがあります。この言葉についてどう思われますか?
A15:複雑ですね。自殺する人間の人生・精神で何が起こっているのか、誰にも分かりません。心の痛みは、肉体の痛みと同じくらい、もしくはそれ以上に癒すことが難しいと言えます。

でも親しい誰かに自殺された人間は、その人自身も自殺してしまうリスクがすごく高くなります。私は「自殺=自分勝手な選択」だとは思いませんが、愛する人に深刻な影響を与えるということは断言できます。

……さらなる質疑応答は、次ページ(その2)へ!

参照元:Reddit [1][2]Imgur(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24


【本人降臨】海外『自殺防止ホットライン』の相談員が「仕事内容についてお答えします」と質問受け付け / その質疑応答39選がコチラだ!(その2)

Q16:電話先の相手が、今すぐ自殺しようとしているのが分かった場合、警察などに知らせるんですか?
A16:義務づけられていませんが、状況によっては相手に「今から警察に知らせる」ことを通告してから、実際に警察に通報することもあります。もちろん上司にも相談します。けれども今は携帯電話が普及しているので、相手の位置が分からないことも多いです。そうすると助けたくても、何も出来ません。

Q17:忙しすぎて、電話に出られないことってありますか?
A17:時々あります。電話中に他の電話がかかってきたら、まず今話している相手に「他の電話がかかってきたから、ちょっと待ってほしい」と告げ、もう1本の電話に出ます。

そして、どちらの電話がより緊急度が高いか判断し、より緊急度が低そうな相手に「数分後にかけ直す」か「コチラからかけ直すので、電話番号を教えてほしい」と交渉します。理想的な方法とは言えませんが……。

Q18:相談員として働き始めたばかりのとき、予想外だったことってありますか?
A18:けっこう暇なことに驚きましたね。私が働いてるのは深夜と早朝なんですが、同僚と話したり、テレビを見て過ごすことも多いです。また職場が快適なことも予想外でした。ソファベッドとリクライニング・チェアがそれぞれ2つあって、Wii が用意されていたり、映画やテレビが見放題だったりと、なかなかいい環境なんです。

Q19:相談員って、何才くらいの人が多いんですか? 年齢によって相談技術に差があると思いますか?
A19:16才から84才と幅広い年齢の人が相談員として働いています。けれども私がいるコールセンターは近くに大学があるので、相談員のほとんどが大学生ですね。年齢によって相談技術に差があるとは思いません。

Q20:電話をかけてくる人は、何才くらいの人が多いと思いますか?
A20:10代の若い人と、65才以上の高齢者からの電話が多いように感じます。

Q21:ホットラインに電話するよりも、心療内科などに行った方がいいと思うのですが?
A21:様々な事情を抱えた人が、電話をかけてきます。その多くが一度は精神科や心療内科に行ったことがある人々ですし、なかには病院に行くのをヤメてしまう人もいます。また家族や友人に相談できない人もいるんです。

Q22:私もホットライン相談員のトレーニングを受けています。なにかアドバイスはありますか?
A22:何ごとも前向きな姿勢で取り組んで、失敗しても落ち込みすぎないことが大切です。助けが必要なときは、かならず他のスタッフに相談して下さいね。

Q23:相談員になって初めて電話をとったときは、緊張しましたか?
A23:そりゃあもう。一番最初の電話は緊急性の低い内容でしたが、それでも緊張しました。トレーニングでも会話のロールプレイングをやりますが、実際にかかってくる電話では予想外のことが起こるものです。

最初はコーディネーターが会話をモニターして、上手くやれるかチェックしてくれました。私が2本目に受けた電話では、「拳銃を片手に持って、電話している」という中年女性でした。彼女と話した45分くらいの間に、何度も危険な局面がありました。でも最後に、女性が「助けてくれて、ありがとう」と言ってくれました。あの言葉があったから、私は今でも相談員を続けられています。

Q24:どんな人からの相談が、最も多いですか?
A24:トンネルに入ってしまったように、希望が持てないという人が多いですね。彼らは悪い方向にしか考えることが出来なくなっているんです。

そういった人々には、少しずつトンネルから抜け出すようにお手伝いをしていきます。周囲を見渡し、自分を助けてくれる存在を思い出してもらいます。自殺願望が出るほど絶望しているときは、周りの救いの手が見えなくなってしまうんです。

Q25:これまでで最も長い会話は?
A25:1時間半の会話ですね。でも同僚の中には、3時間対応した人もいます。シフトの終わりかけに電話がかかってきたら、もちろん残業になります。でも長くなりそうなら、他の相談員とかわってもいいか相手に打診します。通常は20〜30分くらいで会話は終了します。

Q26:「自殺する!」という電話から、「ただ誰かに話を聞いてほしいだけ」という電話もありますよね。それぞれどのように対処するんですか?
A26:「ただ話したい」だけの電話をかけてきた人も、何らかの事情を必ず抱えています。すぐにでも自殺をしそうな人、アルコールや薬物中毒者、元軍人、自殺をほのめかすだけの人など、みな違った事情を抱えています。私たちは相手の話を聞き、情報を集めながら、それぞれに合った対処法を探していきます。

Q27:これまでで最も変な会話は?
A27:一度、ベッドのダニ被害がひどすぎて、自殺したい気分だと電話してきた女性がいました。そのちょうど1週間前に、私はちょうどベッドのダニ退治をしたばかりだったので、自殺の相談ではなく、ダニ退治の方法を彼女に教えました。

Q28:相手の自殺を思いとどまらせるために、どのような言葉をかけるのが効果的ですか?
A28:相手によって違うのですが、例えば、相手の “大切な人” を思い出させるように努めます。「あなたがいなくなったら、娘さんの人生はどうなるでしょう?」などとね。

Q29:家族や友人が自殺しそうなほど落ち込んでいる人に、なにかアドバイスはありますか?
A29:「自殺したい、するかも」「落ち込んでいる」と相手が口に出してくれるのは、良いことでもあります。なぜなら相手は「助けて」と信号を発しているからです。

まず相手の安全を確保して下さい。自殺願望がある相手は、自殺させないように手を打って下さい。それから一緒に助かる道を探しましょう。カウンセラーやサポートグループなど、頼れるプロを見つけるんです。

……2ページ目は以上! 残りは次ページ(その3)へ!!

参照元:Reddit [1][2]Imgur(英語)
執筆:小千谷サチ


【本人降臨】海外『自殺防止ホットライン』の相談員が「仕事内容についてお答えします」と質問受け付け / その質疑応答39選がコチラだ!(その3)

Q30:「死ぬ権利」についてどう思いますか?
A30:私は自殺を防ぐことを目的とした相談員です。だから、正直「死ぬ権利」についてはどうも思っていません。私の命題は、相手を自殺させないことだけです。

Q31:相談員の “ファン” になってしまう、常連さんっていますか?
A31:います。私の場合、1人の10代の少女と1人の高齢女性が “常連” としてよく電話をかけてきてくれます。でも相手と個人的な関係にならないように、気を付けなければなりません。依存関係などに発展してしまう可能性があるからです。

もちろん電話をかけてきてくれることを歓迎しながらも、他の相談員にも電話をかけるように相手に働きかけ続けます。

Q32:誰かから深刻な悩みをされたとき、落ち着いて対応する秘訣は?
A32:誰かから相談を受けても、相手はあなたに全ての解決策を求めているわけではないはずです。そのことを心に留めて下さい。「私も不安になることもあるよ。一緒に解決方法を探してみよう」と手を差し伸べるだけでも、大きな助けになります。

Q33:これまで、どれくらいの人を救ってきたと思いますか?
A33:まったく分かりません。個人的には、何人救ったか考えるよりも、関わってきた1つ1つの電話を大切にしたいと思っています。

Q34:これまでに相談を受けた中で、「これなら自殺したくなる気持ちも分かるな」と感じたことはありますか?
A34:ありません。もちろん、とてもツラく堪え難い経験をしてきた人もいました。でも、人生は刻一刻と変わっていきます。思いもしない方向に進んでいくことだってあります。私たちの仕事は、まず相手に生きてもらって、それからどう問題を解決するか考えることです。

今すぐに解決方法が見つからなくても、明日、1カ月後、1年後などにスルッと解決することだってあるはずです。

Q35:私も希望が持てずにいて、自分がいつか自殺してしまうのではないかと怖くなることがあります。どんなことがキッカケで、人々は自殺するんでしょうか?
A35:自殺願望を抱くほど気分が落ち込んでいる人には、なんだって自殺をするキッカケになり得ます。すぐに誰か、どこかの機関に相談して下さい。

Q36:気分がふさいでいます。でも就職など将来に響きそうで、なんだか助けを求められません。なにかアドバイスはありますか?
A36:精神的な病と考えるのではなく、肉体的な怪我・病と考えてみてはいかがでしょう? 例えばあなたの足が折れました。どうしますか? 治療もせずに、そのまま放っておきますか? 心臓発作が起こった場合、“いつか治るさ” と何もしないでおきますか? 

今必要な助けを求めなければ、それこそ将来働けなくなるかもしれません。心の病気に対して、理解のある職場も増えてきているはずです。

Q37:親友が「自殺を考えたことがある」と告白されて、ビックリしてしまいました。確かに彼は、時々落ち込むことがあります。彼とどう接すればいいでしょう?
A37:友達に直接「落ち込んでいるか」「自殺したい気持ちがあるか」聞いてみて下さい。もちろん気まずい空気にはなるでしょう。でも親友が死んでしまうことに比べたら、気まずい空気なんてどうってことありません。

もちろん「最近調子はどう?」と向こうの気分を探ることも大切ですが、かならず「自殺したくなることはある?」とズバリと聞いてください。それが肝心です。

Q38:相談員としてどのようなことを学びましたか?
A38:人によって、自殺するキッカケは違います。彼氏と別れた、車の鍵をなくしたなんて、他人から見たら些細(ささい)なことでも、自殺への一押しになり得るんです。だから他者の困難な状況を、軽んじたり、無視したりしないことを学びました。

また、人は想像以上に回復力が強いものです。とてもヒドい状況にいながら、心の病気と闘い続ける人々もいました。そんな彼らの姿勢も学びました。

Q39:電話を切るとき、人々はどんな反応を見せますか?
A39:色々な反応がありますね。たくさんの人に感謝されますし、たくさんの人に罵られます。相手がどんな人間なのか、また私が何を言ったのかによって、反応はそれぞれ違ってきます。

参照元:Reddit [1][2]Imgur(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24

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