野球は何が起こるかわからないスポーツだ。わずかでも可能性がある限り何か起きる……なんでこんなことが起きるんだと思う一方で、そんな一面も野球のおもしろさといえるだろう。
ということで今回はその例として、メジャーリーグで起きた伝説級の珍プレーを動画「Segura’s baserunning adventures」と共にご紹介したい。直訳すると「セグラのベースランニング冒険」である。
・2013年の出来事
時は2013年の4月19日。ミルウォーキー・ブリュワーズ vs シカゴ・カブスの試合でその珍事は起きた。タイトルにあるように、当事者はブリュワーズの俊足内野手「ジーン・セグラ選手」だ。
・ダブルスチールから挟殺プレーに
5−4とブリュワーズがリードして迎えた8回裏。まず先頭打者として出塁したセグラ選手は、次打者ブラウン選手の打席で二塁へ盗塁成功。無死走者二塁という絶好の追加点のチャンスを作り出す。
そこからブラウン選手が四球で歩き、無死走者一・二塁と、さらにチャンスは拡大。ところが! どでかい問題が発生するのはここからである。ブリュワーズベンチがダブルスチールを仕掛けると……
・一塁まで逆走
走者の動きを察知した投手が牽制し、セグラ選手が二・三塁間で挟まれてしまう。進めないと判断した彼は二塁に戻ろうとするも、ブラウン選手も進塁しているため、なんと二塁上に2人がいる不思議な状況ができあがってしまった。
普通の挟殺プレーであれば、素直にタッチされ一死走者二塁から再開するところだが、セグラ選手は違った。なんと彼は一塁まで逆走。そして試合は、なぜか無死走者一・二塁から一死走者一塁という場面で再開されたのである。
・前の走者が優先
結果的にセグラ選手が生きたままになっていることを不思議に思う人もいるだろう。しかし、これはアンパイアが正解で優先権は前の走者にあるため、二塁上で両走者にタッチをした場合……この試合でいうとセグラ選手はセーフになるのだ。
つまりセグラ選手が一塁まで戻ってしまったのが大きなミス。そのまま二塁に居座り続けても彼に問題はなく、一死走者二塁から再開できた。塁上に2人いて同時にタッチしたとしても、アウトになるのは後者のみなのである。
・故意の逆走はアウトの対象
ちなみにこの後どうなったのかというと、セグラ選手は再度盗塁を試みるも刺されてアウト。一度の出塁で二盗を2回成功させるという彼にしかできない “快挙” は達成ならず。無死の走者ながらまったくチャンスを生かすことができなかった。
ただ、一三塁からダブルスチールで逆走し、混乱を招いたケースがあるため、故意の逆走だとアンパイアが判断すれば、アウトを宣告されることもある。この場合は、意図して混乱を招く走塁をしたのではないと判断されたようだ。