日本ではウザいほどある自動販売機も、アジアでは珍しい存在だ。先進国でも日本みたいに販売機だらけの国はまずない。ましてや途上国となれば皆無である。むろん、カンボジアもそうだった。
自販機を置けないほど治安が悪かったわけだが、ここ半年前から市内数カ所で、しばしば「どこから見ても自販機」を目にするようになった。確認した限り、今のところプノンペン市内に約4箇所。全て広告用の液晶モニタがついた同一機種である。
「んなもん、絶対まともに機能するわけがねーよ!」という根拠なき先入観のもと、実際に買い物したことは一度も無かったが、そろそろ検証すべき時が来たようだ。というわけで使ってみると、ことあるごとにイライラする不思議な仕様だった……。
・カレンダーから狂いっぱなし!
しつこいようだが液晶モニタ付きである。ハイテクである。スマートである。モニタにはスポンサーの広告が表示され、自動販売機でジュースを買うナウな消費者に最先端の広告を見せつけるって寸法だが、今のところ出てくるのは自動販売機の広告ばかり。つまり、自分を置いてくれと広告しているわけで、かなり痛々しい。
それだけならまだしも、残りのハードディスク容量とか、2023年にセットされた狂ったカレンダーとか、OSのバージョンなど、わけのわからない情報も垂れ流し状態。
・ワナにかかったサルみたいな気分!
ショーケースにはソフトドリンクのほか、お菓子も並んでいる。残念なことにドリンクの商標が裏返って、何のジュースかわからないものもあった。んまっ、このへんはじき解決するだろう。
使い方は日本と逆で、先に欲しい商品の番号をキー入力。続いて表示された金額を投入する形だ。カンボジアはコインがないので紙幣だけになるが、そのくせ紙幣の認識精度が貧弱で、しわしわの札を何度も何度もイライラしながら突っ込み、何度目かでようやく吸い込んでくれた。すると、
ンギーッ、ンギッ、ギッ、クコッ…………ゴトッ
はい、ワザとかよと思うほどギーコギーコ勿体ぶった挙げ句、不安感で胸がいっぱいになったタイミングで静かに商品が落ちてくる。やっと出てきたか、感慨深げに取り出そうとした瞬間、ガコッ! ガコッ! ガコッ!
取り出し口が異様に狭く商品の幅ギリギリ。泥棒よけは分かるけど、金を払って取り出し口から手が抜けないって、罠にかかったサル気分。他に買ってる人を未だ一人も見たことないが、来年までこの会社が存続するか、静かに見守りたい。
Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.
▼動画でバッチリご覧ください!
▼カンボジア語のインストラクションカード
▼欲しい商品の番号を入力して──
▼投入口にお札を突っ込む
▼テキトーに並んだ商品が「ガタン」と落ちてくる
▼お菓子もあるよ。落ちたショックで粉々になりそう
▼運良く商品補充に立ち会うことができた。まったく普通だった