1

犬や猫、ウサギ、鳥など、ペットだって大事な家族。そんなことあたりまえだが、それでも多くの人々が様々な理由で彼らを手放す。引っ越し、子供ができたから、アレルギーになったから……などなど。

しかし今回紹介するホームレスの男性は、そうではない。「私は絶対にあきらめない」と、飼い犬との幸せな生活のために不断の戦いを続けているのである。

・寒い冬に路上で暮らす男性とワンコ

2014年11月に米ミシガン州からインディアナ州インディアナポリスに越してきたバーナード・オーランドさん、53才だ。最初は家族の家に身を寄せていたが、イザコザの末、路上で暮らすことに。しかし彼は一人ではなく、2歳の雑種犬のメス「オレオ」も一緒だったのだ。

・オレオを決して諦めない

冬がやってきた街は徐々に寒さに包まれ、外での生活は厳しくなる一方……。特に冷え込む夜には、外で寝られないくらいだ。そんな厳しい状況に直面したオーランドさんには、「家族の元に帰る」という選択肢だってあった。

ただし、家族は犬を家の中に入れてくれなかった。つまり、帰るにはオレオを手放すという条件付き……。そんな選択肢を、オーランドさんは受け入れなかった。理由はもちろん、「何があっても、オレオを手放したくない」からだ。

・オーランドさんが自立するまでオレオを安全な場所に

とはいえ、夜の路上の寒さは堪え難い……そんな彼らに救いの手を差し伸べた人物がいる。それが、犬の保護施設「Wigglebutt Doghouse」の運営者。この寒い冬の間、オーランドさんが自立するまで、オレオを保護施設で預かってくれるというのだ。

その上、オレオへのワクチンや避妊手術などのお世話も見てくれるとのこと。この申し出をありがたく受けることにしたオーランドさんは、オレオを保護施設に一時的に預け、自分の生活の立て直しに専念することにしたのである。

・オーランドさんが大好きなオレオ

一方のオレオは、他の犬たちとも仲良くなり、保護施設で楽しく暮らしているようだ。それでもオーランドさんへの愛は変わらない。週に数回、保護施設にやってくるオーランドさんを、オレオは大歓迎で迎える。尻尾をブンブンと振り、ピョンピョンと飛び跳ね、これでもかと喜びを爆発させるのだった。

オレオが生後4カ月のときに、オーランドさんの元にやってきて以来、ずっと一緒だった1人と1匹。「いつだって一緒にいたい」という気持ちは、よく分かる。

・一緒に暮らすために

寒すぎる夜以外は、今もまだ路上で暮らすオーランドさん。ホームレス保護施設の「Horizon House 」が提供する職業訓練を受けながら、職探しを行いつつ、住むところも探しているという。実は、この「Horizon House」が、オーランドさんとオレオの窮状を「Wigglebutt Doghouse」に知らせたのだった。

かつては、シカゴで会社を経営していた彼だったが、ギャングに発砲されて大怪我を負ってしまった。しかし今では、インディアナポリスにて新しい人生を歩みはじめ、オレオとの幸せな暮らしを築こうと奮闘中なのである。

犬を守るために、安全な住まいよりも、寒い屋外で暮らすことを選んだオーランドさん。その姿からは、「大切な存在の手は、そう簡単には放してはいけない」ということがヒシヒシと伝わってくる。私たちも、大切な存在を守るために “戦うこと” ができるか、我が身を振り返る必要があるかもしれない。

参照元:Indy Star、Twitter @INDY STAR (英語)
執筆:小千谷サチ

▼お互いが「かけがえの無い存在」であるオーランドさんとオレオ