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突然だが、皆さんは女性の胸部のことを何と呼ぶだろう? ひらがな4文字のアレは公(おおやけ)の場ではちょっと下品だし、かと言って英語の「bust」や「breast」をカタカナ読みするというのも、変に意識しているみたいでチョット気まずい。

さらに「乳房」に至っては専門用語としても使用されるにもかかわらず、なぜかお茶の間が凍りつく。これは、先人たちが残していった膨大な遺産のせいであろう。

かと言って「胸」だとぶっきらぼうだ。恥ずかしくなく、失礼でなく、上品に言いたいときはどうすれば良いのだろうか。その疑問に答えが出てしまったので、お知らせしたい。「お胸(おむね)」と呼べば良いのである!

・老舗百貨店のお姉さんが「お胸」

あれは、とある百貨店でブラジャーの試着をお願いしたときのことである。男性のなかにはご存知ない人もいるかもしれないが、多くの下着屋さんでは試着の際、お店のお姉さんがブラ紐の調整をし、手で胸を寄せて上げて、正しいつけ方を教えてくれる。

実際に試着をし、お姉さんチェックが入ろうとしたそのとき――

「はい~、ではお胸の方ちょっと失礼しますね。こうやって、背中に流れてしまったお胸を戻してあげるんですよ~(ギュッギュッ)。お胸、苦しくないですか?」

……おむね!! そうか、百貨店では「胸」のことを「お胸」というのか!!

百貨店と言えば、セレブでおハイソなマダムも来る場所だ。スタッフには立ち居振る舞い、言葉遣い、何もかもフォーマルであることが求められるはず! そんな彼女らが「お胸」と言っているのだ。これは間違いない!!

・クリニックの看護師さんや女医さんも「お胸」

さらにさらに! 最近、健康診断に行ったときのことだ。そのクリニックは、ホスピタリティの高さがウリ。至れり尽くせりで、私のような長年ゲリラ部隊をやっている者は完全に恐縮してしまうレベルである。そこでも看護師さんがこう言ったのだ。

「では上着をお胸までグーっと上げてくださいね」

看護師さんだけじゃない。女医さんも触診の際に「はい、お胸に違和感はないですか~」と、言っていた。丁寧でお上品なクリニックでも胸は「お胸」なのか! これは本物だ!!

・「お」をつけるだけで柔らかく、優しい雰囲気に

確かに、ただ「胸」と言うよりも、「お胸」の方が、上品で、さらに柔らかく、優しそうな雰囲気を醸している気がする。そして何よりも大切なことは、口に出す方も、言われる方も気まずくないということだ。

基本は「胸」で差し支えない。しかし、長い人生のなかでは、「胸」ですら、「失礼かも……」と感じたり、恥ずかしくてモジモジしちゃうような瞬間があるかもしれない。また、「細かいニュアンスが伝わらなくて困る」ということだって! そんな場面に遭遇したら、是非使ってみてほしい。かく言う私は、ロケットニュース24の記事でも、たびたび使っているが、実に便利な言葉である。

執筆:沢井メグ
Photo:Rocketnews24