肛門から放たれる気体と言えば、「オナラ」だ。「屁」とも言う。お洒落に「ガス」と言う人もいる。オナラというのは、人には聞かれたくないものであり、また他人のを聞くのも嗅ぐのも嫌なものである。かと言って、我慢すると身体に良くないし、全く放屁せずに生きるのは不可能という、なんとも厄介な存在なのだ。
そんな厄介者のオナラが、騒音の中でもよく聞こえると感じたことはないだろうか。周囲がうるさく、会話もままならないような状況で放たれたオナラほど、やたらと耳に入ってくるのだ。
・騒音に紛れて放屁
地下鉄のホームで、電車が進入してくる音に紛れてブーッ! 家電量販店のガヤガヤとした音に紛れてプゥ~! トラックが走る音に紛れてブ、ブブブッ! 周囲の音が騒がしくなると、ここぞとばかりに誰かが放ったオナラの音が聞こえてくる。
・聞こえなさそうに思えてはっきり聞こえる
これは、「騒音によってオナラの音をかき消してもらいたい」という人々の願いが込められた現象だと思われる。その想いを否定するつもりはない。誰だって、静かなところで堂々と体内の余分な気体を放出するよりは、雑音に紛れさせて無かったことにしたいものだ。当然である。
ところが、騒音の中で放たれたオナラというのは、意外中の意外と言えるほど、よく聞き取れてしまうのである。放出者本人は上手く紛れさせたつもりでいても、運悪く近くにいた人の耳にはちゃんと入っているのだ。最悪の場合、鼻にも入っている。
・本人はすまし顔
音を聞き取った周囲の人間は、たいてい発信元を特定できる。騒音の中でも聞こえるほどのオナラは、そう遠くから発射されているはずがないからだ。
それにもかかわらず、当の本人はほぼ100パーセントの確率で「私じゃないぞ」といった顔ですましている。体内の不要物を放出してスッキリとしたその表情からは、余裕さえうかがえるほどだ。まさに、「余裕チャキチャキ屁の河童」といった様子なのである。
・ヘタすると濡れ衣を着せられる
このとき、音を聞き取った人間が注意すべきなのは、うろたえないようにすることだ。音にビックリしようが、鼻がヤラれて呼吸困難になろうが、とにかくうろたえてはならない。ヘタに動揺すると、周囲から発信元認定されてしまうからだ。濡れ衣だけは御免である。
・あなたのオナラは聞こえている
聞こえなさそうで周囲にはバッチリ聞こえてしまっている、それが騒音の中で放たれたオナラの凄さなのだ。……と言っても、周りなど気にせずオナラの気の向くままに放出してあげるという、まさしく「オナラなんて屁でもないさ」タイプの人には関係のない話だろう。
だが、聞こえてないと思って、「騒がしい場所では大胆に放屁」タイプの人は、今一度ご注意いただきたい。あなたのオナラは意外と聞こえているのである。
▼聞こえなさそうで周囲にはバッチリ聞こえてしまっているのだ。