
毎年11月になると、全国各地の寺社で「酉の市」が行われる。これは酉の日に行われるお祭りで、縁起熊手を購入して商売繁盛や家内安全や無病息災などを祈願するものだ。
2012年11月、当編集部も初めて熊手を購入した。そのときに、どんな熊手を購入するべきかわからずに、ある露店の店主にそのルールを教えてもらった。店主の言葉にいたく感動したので、皆さんにもご紹介したいと思う。熊手購入を考えている方は参考にして欲しい。
・初年度は一番小さな熊手を買う
きらびやかな露店の熊手を見ていると、どうしても大きなものが欲しくなってしまう。また通りを歩く人を見ていても、大きな熊手を持って誇らしげに歩いている姿を見ると、「あれくらい大きいのがいいのかな」と考えてしまうのだが、最初は一番小さなものを買うのが習わしだ。特に事業や商売をしている人は、年々大きくなる方が縁起がいいとされているので、いきなり大きなものを買うべきではない。
・色にも意味がある
熊手の正面には色つきの紐がつけられている。この色にも意味があり、「黄色」 → 「赤」 → 「紫」 → 「金色」の段階があるそうだ。したがって、同じサイズ・値段のものでも、ランクが違う。だから昨年黄色のついた熊手を買った場合には、翌年赤にランクアップすると良い。逆順はよろしくないようだ。
・買った熊手は買ったお店に返す
昨年、記者(私)たちはこの露店の店主と約束をしていた。「来年(2013年)、うちに持って来い」、その言葉通りに今年、店主の元へと熊手を返しに行ったのである。残念ながら、店主はその約束のことをあまり覚えていなかったようだが、1年間何事もなく仕事を続けられた証として、熊手を返しに行けることが何よりも有難かった。
正直、お互い見ず知らずの他人である。だが「来年また会おう」、そんな約束をできる人が日常にどれだけいるだろうか。熊手を通して果たされる約束は、まさしく「粋」と言えるだろう。
・2年目も同じサイズ
1年ぶりの再会をした店主に、今年はどうしたら良いのかと尋ねると、「もう1年同じサイズがいい」とアドバイスをもらった。年々大きくすることが良いと聞いていたのだが、これは「商売や仕事は慎重にやれ」という意味合いが込められている。ちょっと羽振りが良くなったからと言って、いきなりサイズを大きくすると、うまく行かなくなったときに、熊手を小さくする羽目になる。熊手のサイズが同じでも、「滞りなく1年を過ごすことができた」という証拠なのだ。
・身の丈にあったもの
余談だが、記者は店主に「もう1年がんばってみろ」という言葉を聞いて、いたく感動した。なぜなら、店主も商売であれば大きな熊手を勧めて、高い金額を払ってもらった方が良いはずである。だが、決して大きなものを勧めず、また何の接点もないのに励ましの言葉をくれたのだ。何をやっているかもわからない、ただの客に対して。「身の丈にあった生き方をしろ」、そう言われているような気がして、自然と頭が下がる思いがした次第だ。
・熊手は神様じゃない
購入した熊手はどこに飾ったら良いのか。店主は「人の目につくところに飾るといい」と教えてくれた。そして「『いってきます』、『お疲れ様です』、そう言って願をかけておくと必ず応えてくれる」とアドバイスをくれた。だが、
「でも、間違うなよ。熊手は神様じゃない。神様みたいに敬う人もいるが、神様じゃない。神様はあんたら自身だ」
つまり、願いを叶えるのは熊手ではなく、自分自身であるという。神仏を拝む気持ちは貴いものだが、自らの行動なくして祈願成就はないということなのではないだろうか。
・小さくても立派
すれ違う人たちを見ると、大変立派な熊手を持っている人もいる。昨年、最初の熊手を買うまでは、どこかでうらやましいと思うような気持ちもあった。また、「あれはいくらくらいするんだろう」と無駄なことに頭を巡らしたものである。だが、2年続けて購入してみると、手に収まるような小さな熊手でも、十分に立派だと感じることができる。
なお、酉の市は「二の酉」(2013年11月15日)と「三の酉」(11月27日)と続く。とにかく来年は店主に、「今年は大きな熊手にしよう」、そう言われたい。その気持ちを励みに来年もがんばろう!
Report:ちょい津田さん(佐藤)
Photo:Rocketnews24
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▼東京・新宿の花園神社には露店が所狭しと並んでいる
▼華やかな縁起熊手の露店は、見ているだけで楽しい
▼熊手や御札を納めるところもある。だが、できれば昨年購入した露店に持って行き、「今年1年がんばりました」とお伝えしたい
▼大勢の人が絶え間なく境内に足を運んでいる
▼露店の飲み屋さんも祭りの魅力のひとつ
▼射的も楽しいぞ!
▼こちらが2012年に当編集部で購入した熊手
▼2013年の熊手。色もサイズも同じだが、熊手が持つ意味はまったく異なる
▼来年はもうそこまで来ている
佐藤英典
















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