社会問題となりつつある「脱法ドラッグ」。どんなモノなのかを至極簡単に説明するならば、「成分的にはヤバいのに、法的にギリギリ規制されていないから合法となるドラッグ」である。念を押すが、成分的にはかなりヤバイ。
そのヤバさを、真面目な人が力説しても説得力が弱かったりもする。ということで今回は、脱法ドラッグはもちろん違法ドラッグも経験したことのある事情通の「ボブ麻亜礼(仮名)」氏に脱法ドラッグについて話を聞いてみた。
――脱法ドラッグが若者の間で流行っていますがどう思われますか?
ボブ「俺も何度か試してみたけど、あんなクソみたいなモンはマジやめとけって言いたいね。キマるつったらキマるけど、明らかにヤバい成分が入ってるって感じだよ」
――ヤバい成分?
ボブ「詳しいことはよくわかんないけど、まあ、ケミカルっつーかなんつーか、ウン。強引に “もってく” ってな感じの化学成分だな。吸っててわかる。ヤバイなって」
――ケミカル?
ボブ「つまり、大麻とかマジックマッシュルームとか自然的なモノ、すなわちナチュラルなモンじゃなくて、覚せい剤とかエクスタシーとか、そんなのがケミカルだわな」
――なんでケミカルだとヤバいんですか?
ボブ「覚せい剤とかがヤバいのは分かるだろ? やりすぎたら、エクスタシーとかで死ぬ人もいる。でも、いちおう何が入ってるのかは分かってる。でも脱法ドラッグは違う」
――何がどう違うんですか?
ボブ「脱法ドラッグって正体不明だろ。何が入ってるのかイマイチよくわからない。しかも、規制されるたびに変な感じで進化してる。そんなのをやりすぎたらどうなるの? 怖いよこれは」
――やりすぎたらどうなるんですか?
ボブ「いろんな脱法ドラッグがあるけれど、基本的には正体不明のケミカルだろ。やりすぎたらどうなるのか? 下手すりゃ死ぬと思うよ。少なくとも、体と頭にはよくないよな」
――ボブさんはやりすぎたことありますか?
ボブ「俺くらいの熟練者になると、やりすぎて錯乱したり、人様に迷惑かけるなんて恥ずかしいことにはならない。許容範囲が分かってるから。でも、そんな “自分のリミット” を知らないやつがガンガンやって人様に迷惑かけたり、捕まったりしてる。アホだよ。とんだ迷惑野郎だよ」
――ボブさんは熟練者なんですね。
ボブ「あんま詳しくは言わないけど、いろんなドラッグを経験したよ。ナチュラルからケミカルまで。脱法ドラッグが流行り始めた十数年前にもいろいろやった。そんでとんだ失敗をした」
――どんな失敗ですか?
ボブ「ロシア生まれのドラッグがあった。安かったけど、長くキマって、幻覚とかも見えたりで、超楽しかった。でも、そのドラッグのせいで目がおかしくなっちゃった」
――どうおかしくなった?
ボブ「夜、光を見ると眩しく感じたりするんだ。病院に行った。原因不明で、デカい病院を紹介されて、そこで目の全検査をやった。そしたら “目の瞳孔がひらきやすくなってる” ってことが分かった」
――治ったんですか?
ボブ「治らないよ。先生からも、“原因不明だから慣れるしかない” って言われた。一生治らないって。生活には支障ないけども、そのドラッグについて後から調べたら背筋が凍る事実が判明した」
――どんなことが分かったんですか?
ボブ「もともとはロシアで “抗うつ剤” みたいな感じで開発された成分らしいんだけど、副作用で失明する人が多いからロシアでも禁止になったっていうモノだった。今では日本でも禁止されてる」
――失明!
ボブ「そんなもんが、よくわからないパッケージや名前になって、日本に出回っていたんだよ。それを知らずに、俺はやってた。下手すりゃ失明してたかもしれない。マジで」
――危なかったですね……
ボブ「安くて手軽に入るモンは、何かの副作用があると思って間違いない。怖いモンだと思ったほうがイイ。少なくとも、頭はバカになると思うよ。シンナー吸ってるみたいなもんだよ」
――バカになる?
ボブ「俺もバカだけど、脱法ドラッグやってるヤツのほうがバカだと思うよ。いろいろやって、俺が認めるドラッグは大麻とマジックマッシュルームだけだよ。日本じゃもうやらないけどな」
――どこでやるんですか?
ボブ「それは言えねえよ。海外だけど、どこの国だかは言えないよ。でも最後に言っておく。俺みたいなジャンキーみたいなやつでも、脱法ドラッグはヤバいと思ってる。悪いことは言わないからやめたほうがいいよ」
――ありがとうございました。くれぐれも体にはお気をつけて……。
ボブ「おう、おまえもな。脱法ドラッグなんてバカなもん手ぇ出して、人様に迷惑かけるんじゃないよ。自分の体を大切にしろ。どーせだったら海外行って大麻やれ。少なくとも死ぬことはないから。俺から言えるのはそれだけだ」。