女装に興味はあるけれど、他の人に知られたらどう思われるか心配……。そんな男性はとても多い。しかし日々女装業界で、男・女・その中間、あらゆる性別を問わず接している立花(私)からすれば、杞憂のケースは少なくないと感じている。
実際、オネエやゲイキャラの芸能人が、日々テレビをにぎわし定期的に女装企画で盛り上がっている。そこから推察すると、今までのタブー的な雰囲気は少なくなり、一定以上の支持が生まれつつあるのではないだろうか? そこで、今回は実際に女性の生の声を聞きに行く事にした。
私がリサーチ場所に選んだのは、東京・秋葉原のメイドカフェの中でも異端中の異端とされる、男の娘(おとこのこ)カフェ&バー「NEWTYPE」。かわいい女装スタッフ、そして親しみのこもったフランクな接客が、開店当初から注目を集め続けている。
一見キワモノっぽいお店なのだが、週末ともなると広い店内は満席。それぞれのテーブルにみっちりと詰めたお客が、男の娘スタッフとのラフなコミュニケーションを楽しんでいる。
それにしても、意外に目につくのは女性客の多さ。ショートカットが似合う副代表のちあきさんに尋ねると、「女性客は全体の4割くらいですね。一人で来る人も多いですよ」とのこと。立花のように、趣味で女装とふれあっている人がそんなに多いのか? 実際のところ、普通(男の娘メイドカフェに来ている時点でそうではないが)の女性は、何を思っているのだろうか? そこで早速店内の女性客に女装子をどう思っているのか尋ねてみた!
整った顔立ちのひとみさん(仮名)は、どちらかと言えばカウンターの中にいてもおかしくない美少女。とても秋葉原や女装に、縁があるとは思えないが……。
ーーひとみさんは、なんでまたこんなところに?
「わたし、元カレが女装子(じょそこ)だったんですよ。元カレに連れてこられたんですけど、私の方がこのお店にハマっちゃって今は一人でも遊びにきます」
ーー彼氏が女装!実際のところ、女装子ってどう思うんですか?
「かわいいければOK! 元カレは結構がんばってる人だったかな」
ーーその感覚、女子ならではですね(笑)。ここへは何を求めてきてるんですか?
「アイドルに会いに来る感じなんです。かわいい子が一生懸命頑張ってるのを見て、キュンとしちゃう、みたいな」
なるほど、女装だからどうこうはあまりなく、単純にかわいいものに興味がある、ということらしい。
次に話を聞いたのは、親しみやすく明るい雰囲気のさえさん(仮名)。彼女は仕事帰りによく立ち寄るという、これまた常連だ。
ーーなんで女装の世界をのぞいたんですか?
「今カレが女装子なんです」
ーー彼氏の女装って、正直どうですか?
「最初はギョッとしちゃった! 男の人が選ぶ女の子の洋服の趣味って、フリルとかリボンとか、ちょっと女子的に普通じゃないんですよ。それ、その歳の女の子は着ないよ? って。」
ーーあるある(笑)。そこでさえさんは彼氏になんて言ったんですか?
「みっともないと嫌だから、コーディネート考えようよ、って。
ーーすごい理解者! 彼は喜んだのでは?
「今では洋服を一緒に選んだり、お化粧してあげたりして、二人で楽しんでますね」
ーーぶっちゃけ、女装趣味についてどう思いますか?
「かわいかったらいいかな、みたいな。ちゃんと言ってくれたら、安心かも」
それも「愛のなせるワザ」。一般的に世の中の女性は男性の女装についてかわいければ大丈夫、とおおらかだ。
ただ、口を揃えていたのは「ハッテンはNG」。つまり、女装して他の人と過剰にイチャイチャするのはお断りらしい。それ目的の人はともかく、ちょっと女の子の洋服を着てみたい、というあこがれを潜在的に持つ男子は多い。
そんな人は、勇気を出してパートナーや女友達に相談してみてはどうだろうか? 手始めに、このコラムを気になる相手に読ませ、感想をうかがってほしい。意外な反応が返ってくるかもしれないぞ!
執筆: 女装カメラマン・立花奈央子 公式サイト / Twitter
▼ 東京・秋葉原のカフェ&バー「NEWTYPE」。週末は満席! シャンパンコールで盛り上がる店内
▼ 同店副代表のちあきさん、やさしくてお母さん的な存在
▼ 中身は男、しかしその笑顔は女子。まさに男の娘と呼ぶにふさわしいぽちちゃん
▼ 目の前で美・男の娘たちがキャッキャしていると、新しい世界に目覚めるのも無理はない。左は誕生日イベントの主役、弥桜ちゃん
▼ 最初に話を聞かせてくれた、ひとみさん(仮名・左側)。誕生日イベント限定カクテルを手にご機嫌
▼ 今の彼が女装子という、さえさん(仮名)。面倒見の良い、イイオンナ!
▼ 取材当日のスタッフ集合! 普段はメイド服で勤務、その姿も必見!!