現代は何かとストレスの多い時代です。仕事や恋愛のすったもんだでストレスが溜まっているというお悩みをしょっちゅう耳にします。ところで、人間はストレスを溜めすぎると(最悪の場合は)死に至ることがありますが、ストレスが全くない状態でも死んでしまうという説をご存知でしょうか。

そもそもストレスとは、外部からの刺激に対して心身が反応することを指します。「上司がキライだ」とか「彼氏とうまくいっていない」などは、外部からの刺激と解釈できますね。そして、それら外部からの刺激に対して、「会社に行きたくない」とか「彼氏に苛立つ」という感情が沸くことが「ストレス」になります。

そのほか日常生活における、「急いでいるのに信号がなかなか青にならない」や「ATMでオバタリアンに割り込まれた」など、ほんの些細な事柄もストレスの一種です。そういった些細なストレスも含めて、外部からの刺激がゼロになってしまうと、空虚感や物足りなさを感じ、生きていく活力が失われるケースもあるでしょう。

そう思うと、ストレスが無いと死んでしまうという説にも頷けます(ややオーバーな表現ではありますが)。ただし、人間が生きていくうえで、ストレスがゼロになることは皆無ですから、「ストレスが全くないために死んでしまった」ということはありえないでしょう。

さて、人間はストレス過小な状態が続くと、わざわざ自分からストレスを求めてしまうことがあります。何不自由なく育った深窓の令嬢が、家出して苦界に身を沈めるケースなども、己の人生にストレスを欲しているからでしょう。

人生という大きな枠組みのみならず、恋愛においても同じことが言えます。彼氏とラブラブで、不安に思うことなど何ひとつない状態だと、自分でも無意識のうちに「ストレスが無い=ワタシ、死んじゃうかも」という思考に至り、わざわざストレスを求めてしまう女性がいます。

彼氏のツイッターやフェイスブックを細かくチェックして「カレったらキモヲタ発言しているわ! ああ、ワタシはキモヲタなカレの本性に気付かないフリをすべきなのかしら!」と悲劇のヒロインに成り切ったり、彼氏のケータイを盗み見て、「母親とのメールがやたら多いわ! 結婚後の嫁姑問題が怖いッ!」と余計な心配をしたり。社内恋愛の場合なら、カレがほかの女性社員と言葉を交わしただけで「カレを、あのオンナに奪われちゃう!」と取り乱したり……。

上記のように、現在の恋愛のあら探しをしてストレスを作り出すなんて馬鹿馬鹿しいと思いませんか? 適度なストレスを欲してしまうなら、もっとポジティブなストレスを作り出しましょう。たとえば、「週末、ホウレンソウのキッシュを焼くから楽しみにしていてね」と、作ったことのない料理を提示してハードルを挙げたり、「アソコでバナナを切る芸を身に着けたの。次のチョメチョメで披露するわ」と、難易度の高いプレイを提案したり……。

次のデートまで、「なんであんな大口を叩いちゃったのかしら、ワタシのバカッ!」とボヤきながらも、何度も料理の試作をしたり、括約筋を強化するトレーニングをするのは、ポジティブなストレスですよね。一番いいのは、「ストレスを求めているのは幸せな証拠」と自分を納得させることですが、どうしてもストレスを欲してしまうなら、ポジティブなストレスをセレクトしましょう。

恋愛コラムニスト:菊池美佳子 Twitter / ブログ