日本の伝統食と言えば「寿司」。海外でもそのまま「Shushi」で通じるほど日本文化として浸透している。

寿司の歴史は古いが、今日のいわゆる「寿司」は江戸時代が直接のルーツだ。その江戸三大寿司と数えられた寿司が当時の雰囲気そのままに食べられるお店があるそうだ。創業元禄15年(1703年)の「笹巻(ささまき)けぬきすし」である。

当時の江戸寿司が食べられる「笹巻けぬきすし」は東京都千代田区神田、大通りをちょっと入ったところにある。こちらのお店は創業なんと元禄15年(1703年)! 元禄15年と言えばまさに江戸時代真っ只中。「生類憐みの令」で有名な5代将軍徳川綱吉の時代でもあり、忠臣蔵の討ち入りが起きた年でもある。

ビル郡の中に突然現れた笹が植えられた小さな店舗。こじんまりとしながらも、力強い文字の看板は歴史を感じさせる。

「笹巻けぬきすし」は「与兵衛寿司(よへいすし)」、「松がすし」に並ぶ江戸三鮨のひとつ。名前の通り、笹で巻かれた寿司だ。もともと戦国時代に携帯食として笹の葉にご飯を包んで持ち歩いたのがルーツだと言われている。ちなみに「けぬき」はピンセット状の「毛抜き」のことであり、ネタである魚の骨を毛抜きで抜いていたことに由来するらしい。

早速笹を開いてみると、ふわっと爽やかな酢の香りがし食欲がそそられる。味は関西の押し寿司を連想させるが、それより少し塩味が強いようにも感じられる。だが、醤油をつけずそのまま食べるので、濃すぎることなくちょうどいい。

酢は香るといっても笹でくるまれているせいか、ツンとせず優しい香りだ。ネタは季節によって異なるが、コハダや鯛、あわびなどが入ることもあるそう。あっさり小ぶりなので、いくつでも食べられてしまうぞ。

発祥が保存技術があまり発達していない時代だったので、とにかく「日持ちさせる」ことが重視。そのため酢が強めに入っているそうだ。ネタも塩漬けにしたり、酢でしめられているものが使用されている。保存技術が発展するにつれ、酢の量は減らしているというが、江戸時代の人と同じものを食べているのかと思うと感慨深い。

お持ち帰りの他にお店で食事もできる。店内は畳の小さなお座敷があり、まるでお茶屋さんのよう。歴史ある店内で江戸の太平の世を感じるもの粋なものである。なお、「笹巻けぬきすし」は一日に出せる数に限りがあるそうだ。来店前に電話で確認した方がいいだろう。
 
・今回ご紹介したお店のデータ
店名: 笹巻けぬきすし総本店
住所: 東京都千代田区神田小川町2-12
電話: 03-3291-2570
都営地下鉄 新宿線小川町駅徒歩1分

参考リンク: 食べログ
 
写真: RocketNews24.

▼殿! こちらがお店でござる
▼ショーケースも歴史あるたたずまい
▼趣ある箱です
▼こちらが江戸名物「笹巻けぬき寿司」でございます(10貫:2047円)
▼ネタはいろいろ、こちらはえび
▼おぼろ
▼鯛
▼光り物
▼白身魚
▼のり
▼正真正銘の江戸名物だよ