全4回の特集記事『韓国ウルルンド滞在記』は、観光目的で韓国・鬱陵島(ウルルンド)へ訪れた日本人観光客A氏へのインタビューをまとめた記事である。鬱陵島といえば、日本人議員が視察をしようとして韓国に出向いたものの、入国拒否をされて行くことができなかった島でもある。
今回の『韓国ウルルンド滞在記』第3回は、鬱陵島到着直後のようすをインタビューを通じてお伝えしたいと思う。前回と同様、A氏のプライバシーを守るため、性別、年齢、職業を伏せている。
・鬱陵島に到着とともに警察に連行
記者第3回もよろしくお願いします。
A氏こちらこそ、よろしくお願いします。
記者フェリーに乗って無事に鬱陵島へ到着したようですが、その後のお話しを聞かせてください。
A氏鬱陵島に到着し、フェリーから降りた瞬間、韓国の警察官にすぐに呼び止められて、交番のような場所へ連れていかれました。
記者またですか。
A氏またです。
・1時間も警察から取り調べを受ける
記者港の警察から島の警察に連絡が行っていたのかもしれませんね。
A氏そこで1時間程度の取り調べを受けました。質問内容はフェリーに乗る前とほぼ同じで、なぜこの島に来たのか? 目的は何なのだ? 取材か? ……など、何度も同じことを聞かれました。
記者正直に観光だと言っても信用してもらえないのですね。
A氏日本語や英語が上手な人がいなかったため、意志疎通がとても大変でした。あと「いつこの島を離れて、いつ日本に帰国するのか?」とも聞かれました。
・警察の取り調べ地獄で観光できず
記者手荷物検査はあったのでしょうか?
A氏さすがに、それはありませんでしたね。
記者取り調べ時、何人くらいの警察官がいたのですか?
A氏5人くらいですかね。取り調べ中、ある警察官が私に電話機を渡してきました。話してみると電話口の男性が、片言の英語で私に質問してきました。質問の内容はこれまた同じで「なんの目的で鬱陵島へ来たのか」というものでした。だから口を酸っぱくして何度も……と言いたくなりましたよ。
・しつこい警察の取り調べに疲労困憊
A氏私の英語はかなりひどいのですが、電話口の男性の英語も同じくらいひどいんですよ。間違った内容でお互い理解していたら、問題になってしまうのではないかとさえ思い、不安に感じていました。
記者結局、取り調べは1時間程度だったのですか?
A氏そうですね、でも1時間強はあったと思います。浦項でも取り調べを30分程度受けて、鬱陵島でも取り調べ。2回も連行されて疲労困憊でした。おそらくですが、観光でも取材目的でも、外国人を鬱陵島に入れたくないんでしょうね。ちょっと民主主義的ではないなあと感じました。
・韓国警察の意図とは?
記者その後、島での宿泊はどうされたのですか?
A氏もともと、鬱陵島へ到着したら自分で予約しようと思っていたのですが、韓国の警察が「こちら側で手配してもいいですか?」と言っていたので、それでお願いしました。
記者なぜ、警察が宿を取ってくれたのでしょうか?
A氏警察が宿を取った理由は2つあると考えられます。1つは、鬱陵島は竹島問題で緊迫していて、現地で日本人は宿を取れないかもしれないから。つまりは安全上の理由からですね。もう1つは、警察側が滞在先を把握できることによって行動をチェックできるということ。あくまでも憶測ですが。
・謎の韓国人
記者宿まではどうやって行ったのですか?
A氏取り調べが終わった直後に、40代~50代の私服の韓国人男性が取り調べ室に入ってきて、宿まで案内されました。その人はまったく日本語も英語も話せないので終始無言でしたね。でも感じの良い方でした。
・ホテルはいたってシンプルなつくり
記者その私服の男性は警察の人なのでしょうか?
A氏多分、警察ではないと思います。警察関係者かもしれませんが。
記者案内された宿はどんな所だったのでしょうか?
A氏ホテルとかモーテルとかそういう類のものではなく、ゲストハウス的なところでした。リビングキッチンは共有で、各部屋に簡素な鍵が付いているような。各部屋には、シャワーとトイレが付いているのですが、結構汚かったですね。部屋の隅に布団が重ねてあって、それを敷いて寝ました。
A氏は、案内された宿舎でまずはシャワーを浴び、その後、鬱陵島の港周辺を散策したようだ。『韓国ウルルンド滞在記』第4回(最終回)は、鬱陵島がどんな島だったのかをインタビューを通じてお伝えしたいと思う。
▼右に見えるフェリーで鬱陵島にA氏はやってきた。ここが港のようだ。
▼港から降りて撮影した街の様子。深夜のため薄暗く、人はあまりいなかったそう。