昨年末、それまで日に一度しか姿を現さなかった白黒柄の「くろた」が、部屋で眠りに就くようになりました。今までは部屋に入ってきても、ビクビク怯えながらエサを食べていたのですが、ようやく部屋に馴染み寝るようになったのです。しかし、大人しかったはずのくろたが最近になって豹変。暴れん坊である本性を見せ始めるようになったのでした。部屋の猫たちの関係に、変化が起き始めているのです。

くろたと同じようにモノクロの「白黒」は、同じ親のもとに生まれた姉妹と思われます。しかし以前から2匹は、あまり仲が良いとは言えません。白黒はくろたの存在を歓迎せず、事あるごとに威嚇しているのでした。暴れん坊だった白黒は、いつも好き放題に暴れ回っていたのです。

それが最近は、くろたが積極的に部屋中を引っかき回すようになり、時にはカメラを引っ繰り返すまでになりました。さらには押入れに入り、中にある衣類をめちゃくちゃにしたり。部屋を荒らすくらいなら良かったのですが、深刻な問題となってきたのは、やはり白黒との関係です。部屋での居心地に安心し始めたくろたは、今までの仕返しとばかりに白黒を脅すようになったのです。

ある晩のこと、私が床に就き、猫たちも眠りについたはずだったのですが、「ウー」と唸る声に気付いて目を覚ますと、くろたが白黒をけん制しているのです。「くろた、やめろ」と声をかけると、一瞬躊躇したものの、入り口間際の白黒を外に追いやってしまったのでした。

以来、立場が逆転し、白黒はくろたに怯えながら過ごす羽目になってしまったのです。力関係が全てのノラ猫たちの世界。私がいくら仲良くして欲しいと願っても、それを伝えられないのが本当に残念です。
(文・写真=佐藤英典)