12月4日、NHK教育で放送された2時間特番『ETVワイド 笑っていいかも!?』は、いろんな意味で衝撃的な内容だった。「史上初の障害者バラエティ」と銘打たれたこの番組では、障害者自身が主役になって、運動会で真剣にはしゃいだり、どっきり企画で芸人を罠にはめたりしていた。これまでのテレビでは、「障害者」を単に「かわいそうな人」として扱ってきた。そうではない大胆な切り口で彼らの新たな一面を切り取ってみせたのは、この番組の大きな特色だった。

中でも最もインパクトが強かったのは、障害者のお笑いパフォーマーが芸を競う「SHOW-1グランプリ」。聴覚障害など、さまざまなハンディキャップを抱えたパフォーマーたちが、不器用ながらもしっかりした漫才やコントを披露していた。

ここで見事優勝に輝いたのは、周佐則雄、DAIGOのコンビ「脳性マヒブラザーズ」。脳性まひである二人が、自分たちの障害をそのままネタに生かすという大胆不敵な試みを行っていた。健常者が演じたなら、差別的だと言われてもおかしくない危険なネタだが、本人が堂々と演じる分には文句のつけようがない。ゲストのカンニング竹山は、彼らのネタを見てあきれたようにこんな感想を漏らした。

「同じ芸人の立場から言わせてもらうと、お前ら汚ねぇよ!」

これは、竹山ならではの絶妙なバランス感覚に裏付けられたコメントだ。障害者パフォーマーである彼らの立場を十分に認めた上で、笑いを取るための武器として迷いなく障害を活用する様子を見て、あえて「汚い」という評価を下したのである。この言葉には、彼らのことを自分と対等な芸人だと認めているというニュアンスも含まれているので、嫌な感じがしない。

こういう難しい状況に置かれたときこそ、竹山の針の穴に糸を通すような精緻なコメント力が発揮される。ゴールデンタイムに障害者メインのバラエティ特番を放送する、という前代未聞の試みでスタッフも出演者も全体的に浮き足立っている中で、竹山の的確で落ち着いた立ち回りが光っていた。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田

イラスト:マミヤ狂四郎