ついに、あの男が帰ってきた。体調不良が原因で長期休養に入っていたナインティナインの岡村隆史が、11月27日放送の『めちゃ×2イケてるッ!』で約5カ月ぶりにテレビ復帰を果たしたのだ。
この日のロケで屋外に設置されていたのは、チリ落盤事故の救出現場そっくりのセット。そこに集まっためちゃイケメンバーは、救出カプセルから江頭2:50が出てくると聞かされていた。ところが、実際にそこから姿を現したのは、ナイナイの岡村だったのだ。
岡村は、驚きの表情を浮かべるレギュラー陣一人一人とがっちり握手を交わして抱き合った。そして、ジャルジャル、重盛さと美といった新レギュラーともあいさつ代わりに簡単なやりとりを繰り広げていた。
この企画で最も印象的だったのは、岡村が相方の矢部浩之に抱きついて、彼の耳元で何かをささやいたシーン。岡村がそこで何を言っていったのかは分からないが、彼のささやきを耳にした矢部は、照れ笑いを浮かべながらこう返していた。
「大丈夫、大丈夫」
岡村が相方にだけ告げた言葉がいったい何だったのか、その答えは矢部にしか分からない。自分の留守を預かって、ナインティナインという看板を必死で守ってくれた相方の矢部に対して、感謝や謝罪の気持ちを素直に表した一言がそこにはあったのだろう、ということは何となく想像できる。長年連れ添ったお笑いコンビの絆の強さが垣間見えた。
その後、岡村は休養中に発行されたスポーツ新聞を開き、矢部とTBS・青木裕子アナの熱愛記事を見て目を丸くした。二人がTBSの特番『ドアーズ』で共演していたことから、「そうか、こっちのドア開けたか」と納得。それを聞いた矢部は「あんた、(病気)治ったな!」と嬉しそうに微笑んだ。小さい体で最前線に立ち、力を振り絞って笑いを生み出していく岡村と、それを温かく見守って優しくツッコミをいれる矢部。お笑い界屈指の名コンビが、完全復活を遂げた歴史的瞬間だった。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田)
イラスト:マミヤ狂四郎