シンガポールは中華系、マレー系、インド系、東洋人と西洋人の混血ユーラシア人から成る多民族国家である。それ故、同国では本格的な中華料理、マレー料理、インド料理を味わうことができる(ユーラシア人は全人口の2%に満たないため、ユーラシア料理の専門店はあまり見当たらない)。

横浜中華街のように中国各地の料理が味わえる「チャイナタウン」、北はパンジャブ地方から南はケララ地方まで、インド各地のさまざまなカレーや、ナン、ロティ・プラタ、チャパティといったインドパンを供する店が軒を連ねる「リトル・インディア」、スパイシーで濃厚なマレー料理が味わえる「カンポン・グラム」、中華料理とマレー料理が融合した奥深い味わいのプラナカン料理の店が並ぶ「カトン」など、国内にいながら世界を旅しているかのように本場の料理を味わうことができるのがシンガポールの食の最大の魅力だ。

だが、こういった場所は観光名所となっているため、店によっては価格が少々割高に設定されていることも多い(それでも日本で食べるよりはるかに安い)。「だったらシンガポール庶民に混じって、シンガポール料理を楽しみたい」という方におすすめなのが屋台。東南アジアといえば、三度の食事を屋台で済ませるほど屋台文化が発展しているが、シンガポールも例外ではない。

屋台へ足を運べば、ピーナッツソースをつけて食べるシンガポール版焼き鳥「サテー」や、海老と野菜を炒めた塩味のスープ焼きそば「福建麺」が食べられる。ほかにも、チキンスープで炊いたご飯に蒸し鶏やローストした鶏肉を添えて食べる「海南チキン飯」、ナスやオクラなどに魚のすり身の詰物(魚と豚肉を混ぜたタネを詰めることもある)を茹でた彩の良いシンガポール版おでん「醸豆腐(ヨン・トーフー)」、小魚の風味と青唐辛子が効いたスパイシーなチャーハン「ナシゴレン・カンポン」など、3~4シンガポールドル(200~300円程度)で食べることができる。

また、屋台でもちょっと豪華に食事を楽しみたいという人には、シンガポールを代表する甘辛い蟹料理「チリクラブ」(1kg、25ドル程度~:1600円~)や、中華風の火鍋「スチーム・ボート」(1人前、20ドル程度~:1300円)をおすすめしたい。

シンガポールで屋台料理を味わうなら、Chinatown hawker centre(チャイナタウン周辺の屋台)、Maxwell Food Centre(マックスウェル・フードセンター)、Amoy Street Food Centre(アモイ・ストリート・フードセンター)、Tiong Bahru food centre(ティオンバル・フードセンター)などがおすすめ。また、シンガポール料理を日本で味わってみたいという方は、シンガポール政府観光局のサイトを参考にするとよいだろう。

バラエティー豊かなシンガポール料理、あなたも一度試してみては?

記者 / 鈴木香穂里
Photo by Rocket News24 Staff / 本誌記者撮影