最近は、テレビや雑誌、インターネットのニュースなどで、3Dテレビの話題で持ちきりだ。大手家電メーカーの中には、3Dテレビを、利益拡大の起爆剤として活用しようと考えている企業も多い。家電メーカーの多くは、専用3Dグラス(眼鏡あり)の3Dテレビを発表してきたが、液晶テレビ「レグザ」で知られる東芝のグループ会社が画期的な3Dディスプレイを発表した。

東芝モバイルディスプレイは2010年4月27日、次世代モニターの実現に向けて眼鏡を使わずに立体映像を楽しむことができる21型裸眼式高精細立体表示(3D)ディスプレイを開発したと発表した。

新開発の3Dディスプレイは、インテグラルイメージング方式(光線再生方式)により眼鏡を使わず実物を広い視点からそのままに立体映像として再現することができる。インテグラルイメージング方式は、長時間使用しても目の疲労度が格段に少なく多視差※1を有することから、眼鏡方式にはない「運動視差※2」を持っている。また、視域が広く、自然で滑らかな立体像を表現することができる。

逆に、デメリットもある。空間分割により多視差表示するため、ディスプレイの画素数に対して視差数分だけ3D表示画面の精細度が低くなることが課題となっていた。同社は、これまで培った低温ポリシリコン技術を用いた超高精細画面と組み合わせることで、この課題を解決し、高精細、大画面の3Dディスプレイを実現することに成功した。眼鏡なしの3Dディスプレイとしては、「世界最大級! これが70インチメガネなしの3D立体LCDディスプレイ」でも紹介したように、すでに数社が開発を進めている。

今回の3Dディスプレイは、広告や娯楽機器の3Dモニターを想定しているが、各社が競って眼鏡なしの3Dディスプレイの開発を進めていることからも、近い将来、眼鏡なしの3Dテレビが登場する可能性は大いにあるといえるだろう。

注釈
※1 3Dを表現するには、少なくとも左眼と右眼の2方向からの画像データが必要となり、これは2視差の3Dディスプレイと呼ばれる。本開発品は9方向から見た画像データを再現する3Dディスプレイとなっている
※2 見る人の視点移動に合わせて見える映像も変化すること