「キツツキは知っているけど、見たことはない」という人、多いのではないだろうか。特に都心が生活の拠点となっている人たちにしてみれば、それが当たり前なのかもしれない。
だが実は、都会にも実は多くのキツツキが棲息しているのだ。
そもそも日本には10種類ほどのキツツキが棲息しているが、その中で最も小さなキツツキである「コゲラ」は、ちょっとした林があるような場所ならば、市街地であっても充分に棲息することが可能で、実際に筆者もこれまで何度も23区内で見てきている。そうそう、新宿3丁目交差点付近の街路樹にいるのを見たこともある。恐らく新宿御苑を拠点にしている個体なのだと思われるが。
「コゲラ」は、体長約15cm程度(スズメと同じ位の大きさ)、キツツキ目キツツキ科に属する日本最小のキツツキだ。日本全国、市街地から山間部まで様々な場所に棲息しており、昆虫などを捕食する他、木の実や花の蜜なども食べる。以前紹介したシジュウカラなどの群れと行動を共にすることもある。都心部においても彼らの棲息数はかなり多いと考えられるのだが、非常に小さい上に見た目も地味、しかも木の上の方にいることが多いので、いてもなかなか目にする機会は少ないであろう。
そこで、例えば仕事の昼休みにでも、近所の公園(小さな公園でも、ちょっとした林のようになっていればOK)などに行き、木陰でそっと、聞こえてくる音に集中してみると良い。コゲラがもしもその辺りにいたならば、きっと「コンコンコンコン」という小気味良い乾いた音が聞こえてくる筈だ。これは、コゲラが木を突いている音、いわゆる「ドラミング」音だ。小さな音なので耳を澄ましていないと聞こえないが、もし本当にコゲラが近くにいるのであれば、聞くことができるであろう。音が聞こえてきたら、その音の鳴る方向を、静かに注意深く覗き込むと、きっと一所懸命にドラミングをするコゲラの姿を発見することができると思う。
都会の片隅でもこのような光景に出逢えるということは、筆者自身、何度体験しても心が躍るものである。是非とも一度、試してみてもらえればと思う。
またもう一種、都心部で見られるキツツキの仲間を紹介しておこう。
さすがに都心部での数は少なく、滅多にその姿を現わしてはくれないのだが、「アオゲラ」というキツツキも棲息している。コゲラと同じくキツツキ目キツツキ科、体長は30cm近くにも及ぶ。頭部の赤色が特徴的で美しい鳥だ。
コチラは多少大きな雑木林のある公園などに行かないとなかなか見られないのだが、身体が大きい分ドラミングの音も大きい為、その場に棲息していることは比較的容易に判別できる。
コゲラを発見することができたならば、是非とも次はこのアオゲラを探してみてもらいたい。
記者:里中遊歩
▼頭部の赤色が特徴的で美しい鳥『アオゲラ』