ミシシッピ州にあるリハビリ施設で「セックス依存症」の治療に取り組んでいると報道されたタイガー・ウッズ。昨年12月末から治療を開始し、滞在予定は6週間で、カウンセリングを中心に毎朝早くから1日約8時間もの治療を受けているそうだ。

治療は中毒的な行動をコントロールすることに焦点が置かれ、健康的な性意識の教育や個人カウンセリングと家族セラピーなどがある。瞑想が効果的な場合もあり、プロザックやアナフラニルなどの薬を処方する事もある。

過去にセックス依存症の治療を受けた著名人には、元クリントン大統領他、マイケル・ダグラス、ロブ・ロウ、ビリー・ボブ・ソーントン、エリック・ベネイ、デビッド・ドゥカブニーなどがいる。セックス依存症と聞けば響きがまだ良いが、薬物依存と薬物中毒が同義語であるようにセックス依存もセックス中毒(sex-addict)と同義語である。

ではセックス中毒とはどういう事かというと、異常に強い性欲の持ち主やセックスに強い執着を持っている人の行動を指すという。セックス中毒者は、セックスに関する考えと性行動に常に支配され、仕事や健康的な人間関係を築くのを妨げるほど。歪んだ考えに陥り、大抵は自分に問題があるのだが、それを認めず、自らの行動を正当化して他人に問題があるのだと責めたり言い訳をしたりする。また、後先考えず色々な性行動にふけり、露出狂、エッチな電話、痴漢など違法行為に発展することもある。その結果、仕事や社会生活を損なうリスクを負ったり、精神的、肉体的に傷付く場合もある。

<中毒行動例>

・頻繁な自慰
・結婚相手以外との複数の肉体関係
・行きずりの性関係、たくさんの性関係
・ポルノを常に利用
・危険なセックス
・電話やサイバーセックス利用
・交際欄を通じての度重なるデート
・売春または娼婦の利用
・露出狂
・覗き見
・セクハラ
・痴漢、レイプ

10人を超える愛人との不倫関係を持ったウッズに当てはまる点も幾つかある。多くのセックス中毒者は多くの場合、仕事を失うとか結婚の崩壊、逮捕、健康問題などの重大な事件がない限り自分に問題があるとは認めたがらない。ウッズも離婚とキャリアの危機に直面して初めてリハビリ施設に入る決心をしたようだ。

それにしてもどうしてセックス中毒がアメリカの男性に多いのか?専門家は、アメリカにはセックスに関するありとあらゆる情報が満ち溢れていて気軽にオンラインのセックス・チャットルームやポルノサイトを利用できるから、としている。そう言えば「X-ファイル」でモルダー捜査官を演じたデビッド・ドゥカブニーは暇つぶ
しによくTVでポルノを見ていたが、あれが実生活通りの姿だったのかもしれない。

確かにアメリカにはセックス・ミュージアムもあればハードコアのポルノ映画もある。街角にセックスショップもあればセックスクラブもある。「セックス・アンド・ザ・シティ」なんていうドラマまであった。セックス、ドラッグ、ロックン・ロールはアメリカとは切っても切れないものらしい。 (記者:セリー真坂)

Photo:ニューヨークにある「ミュージアム・オブ・セックス」

■参考リンク
Sexual Addiction